VR技術を用いたプロ野球選手向けトレーニングシステムを海外展開(NTTデータ)

システム利用イメージ

NTTデータは楽天と共同で仮想現実(VR)を用いて投手の投球を正確に再現し、本番さながらの打撃練習が可能なトレーニングシステムを開発。2016年に実証実験を行い、翌2017年から本格運用を開始。米国の現地法人を通じて、データ活用が盛んな米大リーグ(MLB)に売り込みを行い、MLB球団でのシステム導入も決定。国内外の多くのチームでの利用が進んでいる。

展開コンテンツプロ野球選手向けトレーニングシステム(スポーツテック)
展開先アメリカ

自社の技術をスポーツ産業で活かすソリューションを検討

近年スポーツ業界においては、 ICT 技術の進展により、スポーツ競技中の映像やスコアデータだけでなく、競技中の選手の動きやボールの移動軌跡など、より精緻かつ、より大量のセンサーデータを取得することが可能となり、これらデータを選手強化へ活用する取り組みが盛んとなっている。その背景の中、 NTT グループの NTT メディアインテリジェンス研究所で、VRでの360度空間にてボールの軌跡やスピード合わせて精度高く再現するアルゴリズムを開発。

研究開発した技術からそれを活かすソリューションを検討し、その中で野球への展開が検討された。2016 年から株式会社楽天野球団と共同でユースケースやシステム利用効果に関する検証を進め、その結果、プロ野球選手が、投手の動作の特徴や球筋、バッティングのタイミングなどを確認し、実戦に活かすことが可能なシステムであると判断し、翌年 2017 年に本格導入に至った。

2016 年にホームページにてプレスリリースを発出。当初から野球が盛んな米国へのサービス展開を視野に入れていたため、英語版のプレスリリースを出していたが、 MLB の球団から連絡があったことを契機に、米国への展開に向けた本格的な動きを開始した。

ゲーム中のプレイヤーの視点及びセンシング内容

現地に赴き生の情報を収集しながら真のニーズを把握

米国展開に向けた市場調査及び現地のニーズ把握においては、 外部に市場調査を委託して情報収集するのではなく、現地に赴き生の情報を収集して真のニーズを把握することが重要と認識し、現地での活動実施に向けて社内調整を行った。

実際に現地に足を運んで営業することで、 MLBの球団や選手がトレーニングに対して何を求めているかを把握することが可能となり、現地でシステムに対するフィードバックをもらいながら、システムのブラッシュアップを進めた。結果として、各球団への営業活動においても、 現地のニーズにマッチした説得力を持った説明をすることが可能となり、システムの導入へと至った。

また、米国ではスポーツテックに係る新製品・サービスに対して積極的に試行してみようという動きがあり、日本と比べると進めやすい一面もある。知名度が無くても、良い製品やこれまでにない新規性のある製品・サービスであれば評価される。 NTT データのサービスは、米国のスタートアップと比較しても精度の高さ、映像のクリア感、投球の再現性等で高く評価されることとなった。

米国への展開に当たり、現地のネットワークを有していなかったため、担当者が関係者、知人の紹介を経て球団担当者のネットワークを“足で稼いで”構築した。また、MLB ではチーム間での担当者異動が頻繁に発生するため、担当者移動を経て別のチームにコネクションができるという例もある。

MLBとの提携による米スポーツ界でのブランド力向上

本システムの利用に向けてMLBと提携したことで、 米国スポーツ界におけるNTTデータ社のブランド力、知名度が向上し、現地でスポーツ関連企業等からの引き合いが来るようになっている。

2019 年にはMLBとNTTがテクノロジーパートナーシップを締結することが発表され、次世代の野球観戦体験の実現に向けて、 NTTの先端技術「 Ultra Reality Viewing(URV)」に代表される最新テクノロジーの導入を両者で検討する等、海外事業拡大に向けた動きも進んでいる。

現地担当者との密なコミュニケーションが重要

◇担当者コメント

海外展開に向けては、現地窓口を設置する等により、 現地で密にコミュニケーションをとることが可能な環境を整備することがポイントの一つとなります。特に米国の担当者からは突然の電話がかかってくることが多く、物理的距離を超えて気軽にコミュニケーションをとれる状況を作っておくことが重要となり、 NTT データ社においても、担当者が米国専用の電話を所有し、いつでも連絡を受けることができる体制を整備していました。

NTTデータ ライフデジタル事業部 スポーツビジネス推進チーム 荒智子氏

(参考)関連市場情報

AIなどの新しいテクノロジーを用いてスポーツ業界に革新的な変化をもたらすサービス、商品、またスタートアップなどのカテゴリーを指すスポーツテック(SporTech)は急速に注目度が高まりつつある。Crunchbaseによると、2013年に5億ドルに満たなかった同領域へのグローバルの投資額は、2018年には25億ドルまで急成長を遂げている。

特にスポーツ先進国のアメリカでは、テクノロジーがスポーツに積極的に導入されており、それらの導入も相まって今や同国におけるスポーツマーケットは2018年から2022年にかけて約13%拡大成長すると予想されている。アメリカにおけるプロスポーツの観客動員数については、MLBが最も多く、アメリカにおける野球市場の大きさが示されている。

世界におけるスポーツテック市場成長予想(2018年〜2024年)

出所:Crunchbase

[問い合わせ先]

スポーツ庁「令和3年度スポーツ産業の国際展開促進事業」

JSPIN運営事務局 info-jspin-ext@nri.co.jp

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