水難事故の多いベトナムにスイミングスクールを設立し現地の社会課題に貢献(ルネサンス)

renaissance

株式会社ルネサンスは、今後、高い成長率が見込まれるアジア市場を戦略市場と位置付け、最重点国としてベトナムへの事業展開を目的に調査・研究を実施。政府主催の官民ミッションや現地イベントを通じて現地との連携を深め、2014年6月、ベトナムに直営のフィットネスクラブ、スイミングスクールを展開する子会社「RENAISSANCE VIETNAM,INC.」を設立した。

展開コンテンツフィットネスクラブ、スイミングスクール(スポーツ施設の運営)
展開先ベトナム

東南アジアの社会課題を把握し、自社サービスを活用

ルネサンスは、スイミングスクールを全国に展開しており、水泳指導に定評がある。この水泳指導は日本独自のノウハウであり、海外ではニーズはあるが指導体系が確立されていない。

日本の水泳指導が特徴的なのは、知育・徳育・体育・集団生活・マナーなどの教育の観点が含まれていることである。日本の指導ならではの特徴にニーズを感じており、国内で本業を行う中で、東南アジアに持ち込むことのできるシーズであることは、肌感覚として常に感じていた。

ベトナムを選定するにあたっては、調査会社を活用して東南アジア内での比較検討を行った。結果として、ベトナムは習い事としての水泳のニーズが高いこと、また、マクロ視点での分析から、進出にあたってのリスクも少ないと考えた。リスクが少ない理由としては、親日国、カントリーリスクが少ない、宗教的制約がない、考え方も日本と共通する部分が多いなどが挙げられた。

具体的な海外展開に向けては、JETRO主催の健康長寿広報展や官民ミッションを通して、ベトナムのフィットネス大手チェーンや文化スポーツ局、水泳協会などと意見交換を行った。その結果、ベトナムでは、義務教育の期間に子供に対して水に関する教育、特に実技がなされておらず水難事故が多い、また、ベトナムはマナーの面で緩い傾向にあり、水泳以外の面でも教育効果があるなど、具体的なニーズを感じることができた。

日本政府の支援を活用し、現地政府とネットワーキング

立ち上がりは独資ではなく合弁で進出した。水泳指導は教育分野の事業にあたるため、社会主義国家においては独資での進出では営業許可が降りづらい。一方、現地企業との合弁ならば営業許可が降りるので、信頼できるパートナーを見つけることが非常に重要となる。

パートナーにベトナムで水泳スクールを含むフィットネスを営む事業者を選び、日本式の指導モデルを少しずつ理解してもらった。まずは、彼らの持つ水泳教室にコンサルティングする形で関り、水泳ビジネスのニーズ把握しながら、徐々に取組を本格化していった。

現地展開にあたっては、ベトナムの地域や事業者に対してどのようなメリットを提供できるのか、事業の必要性、公共性を示すことも重要であった。外貨獲得だけを目的とすると納税などの規制が厳しくなるので、公的メリット(水泳教室の普及による水難事故対策など)があることを示す必要があった。

またベトナム代表選手を日本で強化させるべく水泳協会に協力したりなどもした(SEA GAMESにて金メダル獲得)後に、合弁時代に築いた事業の実績や各方面への協力が認められ、独資での展開が認可された。独資で展開するに当たってはイオンモール内で施設を設立した。同じ日系企業で企業体力のあるイオンモールの傘下でやることは心強く、やりやすいとの判断であった。

公的メリットの観点では、現地の政府と連携できたことが効果的であった。健康長寿展に出展した際に、現地の政府要人と会話する機会が設けられており、そこで情報交換を行った。具体的にはベトナム文化スポーツ観光省とその管轄下のベトナム水泳協会である。

新興国では、まずは政府との関係構築を図ることが、事業展開でも非常に重要であることを感じた。そうしたネットワークを、日本政府を通じて構築できたことが成功の大きな要因になっている。

水難事故防止の観点で水泳の指導法をローカライズ

水泳教室は、日本よりも高い価格設定で開催した。25mを泳げるまでの保証つきで水泳指導としての効果が高い(受講者の80%が25mを完泳)ことに加え、水泳以外のマナーについてなどの教育効果を実感してもらうことができた。

ベトナムでは、義務教育で水に対する教育がない(座学はあるが実技がない)。これは、インフラ自体が少なく学校での実技が難しいことに由来する。そのため、まずは、水難事故防止や水への恐怖心を下げるため、「平泳ぎ」を教え、段階的に指導のレベルを上げていく等、指導方法もローカライズした。

着衣水泳(溺死予防)の指導の様子

ルネサンスの設備内装は、自社で設計した上で日系の建設会社に依頼した。難しいのは導線と設備機能の選定であり、特にノウハウが必要である。現地の企業では、正確なプール設計や、水道インフラ、風呂などの建設は難しく、現地企業のプールの水質はどこも劣悪であった。そもそもの水道インフラが汚いので、浄水設備も導入する必要がある。結果として、ルネサンスのスイミングスクールの水は「ベトナム1きれいな水」だと評判を得た。

日系企業と連携した海外展開の実現

ベトナム国内でのスイミングスクールへの評判は上々である。さらにベトナムで成功したことによって、他の東南アジア国からのニーズも届いている。一方で、急速に事業を拡大して質が低くなってもよくないので、一つ一つを整備しきってから次の国に向けて検討していく方針である。

また、フィットネス施設の輸出は、イオンモールや日系建設会社との連携によって実現している。ルネサンスのスイミングスクールの生徒が増え、スクールのニーズが高まることは、イオンモールへの集客数増加にもつながる。海外展開においては、スポーツ産業が他産業と連携して展開していくことでお互いのシナジーを活用してく観点も重要である。

各国の文化風習・社会・人間関係に順応し、適応していく

◇担当者コメント

事業を行うにあたり、あらゆる場面で判断と決断を要求されます。それは如何なる階級においてもです。国内での経験や築き上げた実績、日本基準だけでは誤った結果になります。その国の文化風習や社会構造、人間関係に順応し適応しているかが大事になります。其のうえで事業性を見極め、物事を決め示す必要があります。その責任と結果を実感し、推し進める事が出来る人材こそが適任者であります。その積み重ねが会社の成長に寄与できる軌跡活動だと思います。

株式会社ルネサンス 執行役員 海外事業推進部 部長

RENAISSSANCE VIETNAM,INC. General Director 大森健司氏


[問い合わせ先]

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