2015年のワールドカップで世界ランキング3位の南アフリカに勝利し、2019年、日本で開催されたラグビーワールドカップでも大活躍するなど、注目が集まるラグビー。
「にわかファン」も急増していますが、今回は、ラグビーがいつ、どこで始まったのか、そして、どのように発展したのかについて調べてみました。
日本での発展の歴史についても分かりやすく紹介します。
ラグビー発祥の地はイギリス
激しいコンタクトスポーツである一方で、対戦相手を尊重するノーサイド精神など紳士のスポーツであるラグビー。
そんなラグビーの発祥は、イギリスのイングランド地方にあるラグビー校とされています。
まずは、ラグビー発祥のエピソードやラグビーとしてルールが整えられる前のフットボールの歴史について紹介していきます。
エリス少年伝説は実在しなかった!?
ラグビーは、英国パブリックスクール(上流階級の私立校)であるラグビー校のフットボールの試合中に、ウィリアム・ウェブ・エリス少年がボールを抱えて走ったことが始まりとされています。
その逸話からラグビーワールドカップの優勝カップはエリス少年の名から「ウェブ・エリス・カップ」と呼ばれていますが、実は、エリス少年の伝説が実話であるという証拠は残っておらず、よりラグビーの起源をよりドラマティックに見せるためのエピソードという説が有力です。
サッカーとは兄弟関係
サッカーとラグビーは、元々中世イングランドで行われていたフットボールを由来としたスポーツです。
中世イングランドで行われていたフットボールは町対抗で行われており、ボールを決まった場所に運ぶということ以外はルール無用で、死人が出ることも有るなど、荒っぽいものだったようです。
試合前には、代表同士で打ち合わせを行ないルールが決められていましたが、やがて、学校ごと、地域ごとにルールが整えられることに。
そして、1863年のルールの統一へ向けた動きが、フットボール協会(FA)の創設に繋がります。
しかし、FAの定めたルールは手の使用を制限するもので、サッカーのルールと同じもの。
これに反発した人々がラグビーフットボールユニオン(RFU)を発足し、手で走ることを認めるルールを制定。これが現在のラグビー始まりです。
マンチェスターを中心に発展
FAから離脱する形でRFU(ラグビーフットボールユニオン)が結成されましたが、ラグビーは将来イギリスを背負う優秀な人材に競争力を養うため、パブリックスクールで奨励されていきます。
そして、炭鉱の町マンチェスターを中心に発展していきました。
労働者階級の選手たちは試合に出るために休業補償を求めますが、アマチュア主義を貫くラグビーフットボールユニオンは認めず、分化します。
こうして、労働者階級の多いイングランド北部にノーザンラグビーフットボールユニオンが誕生。
このプロリーグとアマチュアリーグの対立は長く続きましたが、W杯をきっかけに対立は緩和しました。
1886年、国際ラグビーフットボール評議会発足
国際交流試合が盛んに行われるようになったことをうけ、ラグビーのルールの制定や解釈、国際試合で生じた問題の提訴、解決などを担う機関として、1886年、スコットランド・アイルランド・ウエールズによって国際ラグビー評議会(International Rugby Football Board:IRFB)が発足しました。
1890年にはイングランドが加盟。
現在、日本も含めた12ヶ国で運営されています。
2014年には、その名称をワールドラグビーと改称し、国際ラグビーの中枢機関として機能しています。
ラグビー日本での発展
イギリスで発祥したラグビーは、やがて日本にも伝えられます。
ここからは、ラグビーの日本での歴史と日本独特のラグビー文化を紹介します。
日本に伝わったのは1874年、横浜
日本で最初にラグビーが行われたのは、1874年。
イギリスの船員が横浜で行ったことかきっかけとされています。
その後、1899年に慶応大学の英語講師が学生に伝えたことにより日本最初のラグビー部が創設され、大学スポーツとして発展していきます。
慶応大学は関東の色々な学校でラグビーを広めていきますが、国内で2番目にラグビー部ができたのは群馬県の太田高校。
そして、高校の卒業生が大学ラグビーをさらに盛り上げていったのです。
実は日本だけ!?「ノーサイド」と「one for all, all for one」
ラグビーというと「ノーサイド」や「one for all, all for one」という言葉を思い浮かべる人も多いと思いますが、これらは実は、日本独特の言葉。
「ノーサイド」は、試合が終われば敵味方関係無く健闘を称え合うという意味を表す言葉ですが、これは、ラグビーの試合後、対戦チーム合同でのパーティに感銘をうけ日本に持ち帰ったことが始まりです。
また、「ONE FOR ALL, ALL FOR ONE」も、元はフランスの三銃士に登場する言葉。
ラグビーのスローガンとして使われたのが浸透したとされています。
ラグビーワールドカップの歴史
ラグビーワールドカップが初めて開催されたのは、1987年。
オーストラリアとニュージーランドの共同開催で始まります。
第1回大会ではニュージーランドが優勝。
開催当初からニュージーランドが強豪国であったこと分かります。
2015年のイングランド大会で、日本が南アフリカに勝利を収める歴史的金星など、盛り上がりを見せたことが記憶に新しい方も多いと思いますが、ワールドカップは多くのスポンサーがついたり、メディアでとりあげられたりするなど多くの資本が動く一大イベントとなりました。
ワールドカップの開催によって、ラグビーのプロ化への動きが加速していきます。
ラグビーボールが楕円形の理由
ラグビーボールが楕円形の理由は、
- 豚の膀胱に空気を入れたものを使用していたため
- 古代ローマの時代に、ボールの代わりに頭蓋骨を使用していたため
- アフリカの原住民がダチョウの卵を使用していたため
- 持って走る時に楕円形の方が持ちやすかったから
- ポリネシアの人たちがヤシの実を使用していたから
など、諸説あります。
豚の膀胱に空気を入れたものを使用していたというのが通説となっていますが、ラグビー特有の楕円球は独特の回転やそれによるイレギュラーなバウンドという独特の競技性を生んでいます。
まとめ
ラグビーの歴史について紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
ラグビーについてさまざまなことを知ることで、試合の見方が変わるでしょう。
(TOP写真提供 = Melinda Nagy / Shutterstock.com)
《参考記事一覧》
ラグビー発祥の歴史、フットボールから枝分かれして世界的なスポーツに|小林恭子の英国メディアを読み解く
ラグビーの歴史とは?発祥の国や始まり・起源はいつから?|Activeる
ラグビーの歴史とは? 観戦する前に起源やボールの形の由来を知ろう|All about趣味
ラグビーの発祥地と起源を解説!日本にはどうやって取り入れられた?|スポジョバ
世界大百科事典内の国際ラグビーフットボール評議会の言及|コトバンク
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