2020年東京オリンピックが間近に迫り、「オリンピック公式スポンサー」などのフレーズを耳にすることが増えてきました。オリンピックのスポンサーと聞くとスポーツ業界やテレビや新聞などのマスコミ業界を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。ここでは、東京オリンピックではどのような企業がスポンサーとして名を連ねているのか紹介しましょう。
オリンピックのスポンサーは全部で4種類
「オリンピック公式スポンサー」というフレーズを耳にしたことがある人もいるでしょう。公式スポンサーと一様に言われていますが、実はスポンサー契約には4種類あります。「ワールドワイドオリンピックパートナー」、「オリンピックゴールドパートナー」、「オリンピックオフィシャルパートナー」、「オリンピックオフィシャルサポーター」の4種類です。では、スポンサーとは具体的にどういう役割を担っているのでしょうか。
オリンピック開催にはお金がかかる
オリンピックのスポンサー企業は、「スポンサー」の名が示す通り、金銭面でオリンピックをサポートしています。オリンピックを開催するための予算はおよそ2兆円と言われており、そのうちスポンサー契約料が4割と言われています。すなわち、約2兆円の予算の半分近くをスポンサー契約料が負担しているのです。オリンピック開催において欠かせない収入源と言えるでしょう。
スポンサーになったら何ができる?
スポンサーは金銭面でのサポートをする代わりに、さまざまな権利を得ます。まず、「呼称の使用権」です。「東京2020オリンピック競技会」「東京2020パラリンピック競技大会」、「オリンピック日本代表選手団」、「パラリンピック日本代表選手団」の呼称を使用できます。次に、「マーク類の使用権」です。「東京2020大会エンブレム」、「東京2020大会マスコット」、「JOCエンブレム」、「JOCスローガン」、「JPCエンブレム」が挙げられます。また、「商品/サービスのサプライ権」や「大会関連グッズ等のプレミアム利用権」、「大会会場におけるプロモーション」、「関連素材の使用権」もスポンサーになれば行使できる権利です。
スポンサーのメリット
上位のスポンサーであればあるほどメリットが大きいのが特徴です。最上位であるワールドワイドオリンピックパートナーに関しては1業種1社限定のスポンサーのため、「オリンピック公式」というネームバリューは非常に大きいと言えます。また、世界が注目するオリンピックでの大会事務局のシステム、警備などもスポンサーが一手に引き受けるため、オリンピックを成功させればその業績は高く評価され、契約料以上に得られるものは大きいと言えるでしょう。
ワールドワイドオリンピックパートナー
ワールドワイドオリンピックパートナーは、正式には「TOP(The Olympic Partner)パートナー」と呼ばれ、国際オリンピック委員会と契約します。ワールドワイドオリンピックパートナー以外のスポンサーは各国のオリンピック組織委員会と契約し、大会を行う国に限定されたスポンサーです。対して、ワールドワイドオリンピックパートナーは、国内外問わず世界中でその権利を行使できること、また1業種1社限定であることが大きな特徴です。契約期間は10年、年間契約額は公表されていませんが、トヨタの契約は10年で2000億円とも言われており、世界経済を支える影響力のある大企業が名を連ねています。なお、2020年東京オリンピックでは13社が契約しています。
企業一覧
コカ・コーラ(契約カテゴリー:ノンアルコール飲料)
ブリヂストン(契約カテゴリー:タイヤ、タイヤ・自動車サービス、自動車(電動モーターアシスト除く)、免震ゴム・樹脂配管システムなどの化工品)
アリババ(契約カテゴリー:クラウドサービス/Eコマースプラットフォームサービス)
アトス(契約カテゴリー:インフォメーションテクノロジー)
GE(契約カテゴリー:発電・送配電システム、医療法画像診断・情報システム、照明機器およびシステム、輸送管理システム、鉄道輸送システム、航空機エンジン、オイル&ガス設備、水処理システム)
ダウ・ケミカル(契約カテゴリー:化学品および原料)
インテル(契約カテゴリー:不明)
パナソニック(契約カテゴリー:AV機器、白物家電、電動自転車)
オメガ(契約カテゴリー:時計、計時、得点記録および会場結果)
サムスン電子(契約カテゴリー:ワイヤレス通信機器)
トヨタ(契約カテゴリー:モビリティ)
P&G(契約カテゴリー:パーソナルケア及びハウスホールドケア製品)
Visa(契約カテゴリー:決済システム)
オリンピックオフィシャルパートナー
オリンピックオフィシャルパートナーは別名「Tier2」と呼ばれ、ゴールドパートナー同様スポンサー活動は国内のみに限定されます。ただし、ゴールドパートナーとは異なり与えられない権利がいくつかあるので注意が必要です。「JOCシンボルアスリートの肖像使用権」、「JOCジャパンハウスでの選手団記者会見におけるパートナーロゴ露出」、「JOCホームページのトップページにパートナーロゴ露出」、「JOCゴールドパートナー×JOC1社独占記事広告の提供」はゴールドパートナーのみに与えられる権利であり、オフィシャルパートナーは行使できません。スポンサー契約料は年間およそ20億円と言われており、現在32社が契約しています。
企業一覧
味の素
air weave
キッコーマン
JTB
セコム
全日本空輸
綜合警備保障
大日本印刷
大和ハウス工業株式会社
東京ガス
東京地下鉄株式会社
TOTO
日清食品ホールディングス
日本郵便
日本航空
三菱電機
ヤマトホールディングス
読売新聞
朝日新聞
日経新聞
その他12社
オリンピックオフィシャルサポーター
オリンピックオフィシャルサポーターは、オフィシャルパートナー同様スポンサー活動は国内に限定されますが、オフィシャルパートナーよりもその権利の幅が狭まるのが違いと言えるでしょう。現在15社が契約しています。
企業一覧
コクヨ
清水建設
パソナグループ
丸大食品
産業経済新聞社
AOKI
Aggreko
ECC
KADOKAWA
モリサワ
TANAKAホールディングス
乃村工藝社
パーク24
ヤフー
北海道新聞社
オリンピックスポンサーは、誰もが知る企業が名を連ねる
オリンピックスポンサーは、高額なスポンサー料を支払える企業であるのはもちろん、誰もが一度は聞いたことのある企業が名を連ねています。スポーツ業界やマスコミに限らず、あらゆる業種がオリンピックを盛り上げようとスポンサーに名乗りを上げているのです。4種類あるオリンピックスポンサーはそれぞれスポンサー料も権利も異なりますが、こうしたスポンサーの協力なしにオリンピックは開催できないと言えるでしょう。
《参考記事一覧》
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