スポーツテック革新で「コネクテッド・ユニフォーム」も登場。NBA・NFLチームらが実践する“デジタル・ファンエンゲージメント”手法とは

ファンとのデジタル上の接点がますます重要になる現在、世界のブランドの約9割はデジタル体験への投資を加速させているという調査がある(英SharpEnd社)。スポーツビジネスも例外ではなく、北米や欧州では「売って終わり」の従来のマーチャンダイジングから、グッズを「ファンとつながり続けるためのデバイス」に進化させており、“コネクテッド・ユニフォーム”も登場している。世界で進むデジタル・ファンエンゲージメントについて、先端事例から読み解く。

北米で進むマーチャンダイジング革命

マーチャンダイジングを通じたデジタル・ファンエンゲージメントは、北米スポーツで最も進化を遂げている。特に注目を集めているのが、2026年シーズンにMLS(メジャーリーグサッカー)参入2年目を迎えたサンディエゴFCだ。

サンディエゴFCは、昨シーズンのMLS参入時から「Patch of the Match(パッチ・オブ・ザ・マッチ)」という施策を展開している。

ホームゲームごとにリリースされる限定パッチ。画像提供=エイブリィ・デニソン・ジャパン

これはホームゲームごとに限定パッチを配布し、スマートフォンをかざすだけで試合限定のデジタルコンテンツや特典にアクセスできるもの。パッチに搭載されたNFC(近距離無線通信)がこの仕掛けを可能にしている。

パッチは地元のアーティストと共同制作し、豊かな地域文化を称えるアート的な価値も付けている。コレクション的にパッチを自宅に持ち帰った後もコンテンツを楽しむことができ、スタジアムでの熱狂を試合後のファン体験にまでつなげる仕組みとなっている。

アメリカでは新興のサッカーだけでなく、伝統的な4大スポーツでも取り組みが進む。

NFLのサンフランシスコ・49ersでは、レジェンド選手を祝う限定Tシャツに仕掛けられたコードのスキャン率が60%を記録。NBAのサクラメント・キングスでは、1万8000名に配布したTシャツから監督のメッセージコンテンツへ誘導し、スキャンしたファンの77%が特典へ応募するという驚異的なエンゲージメント率を叩き出した。

【関連資料】MLSチームが実践するNFC活用のデジタル施策とは?最新事例集をチェック(無料)

欧州スポーツでも「コネクテッド・ユニフォーム」普及

こうしたデジタルを用いたファンエンゲージメント施策は、北米にとどまらず欧州スポーツ界でも展開されている。

サッカー・スペインリーグのラ・リーガではサマーツアーにあわせて、ユニフォームからキャンペーンに参加できる施策を実施。ユニフォーム袖のNFCバッジからキャンペーンに参加したファンは全体の22%にのぼった。

ラグビー界でも、4年に一度結成されるブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズで、2025年のオーストラリアツアーにあわせて同様の施策を実施。ユニフォーム購入者限定の特典を用意することで、販売促進はもちろんファンのエンゲージを高めることに成功した。

スマホでの読み取りを強調したコネクテッド・ユニフォームのプロモーション画像。画像提供=エイブリィ・デニソン・ジャパン

ユニフォーム提供を行うカンタベリー(CANTERBURY)のグローバルスポーツマーケティング担当SVP サイモン・ロー氏はこう証言している。

「遠征期間だけでなくその前後もファンがチームとの一体感を感じられるように、ファンの方々にユニフォームを通じてライオンズとつながる体験を提供したいと考えたのです。“コネクテッド・ユニフォーム”はスポーツアパレルの未来。ファンには購入以上の体験を提供でき、熱心なファンには特典やメッセージを送ることができるようになります」

グッズを「プラスアルファの感動」に変えるデジタル技術

こうしたグッズを通したファンエンゲージメントを可能にしているのが、米エイブリィ・デニソン社の技術だ。1935年に創業し世界で初めて「粘着ラベル」を商用化した同社は、その技術をスポーツグッズに展開。現在、英プレミアリーグや前述のラ・リーガの公式ライセンシーにもなっている。

同社の日本法人、エイブリィ・デニソン・ジャパン株式会社でコマーシャル・ディレクターを務める廣畑禎訓氏は、次のように話す。

「ファンの能動的なアクションを引き出すためには、ファン心理を理解したエクスペリエンス(体験)設計が欠かせません。ファンにとってグッズ購入の目的はあくまでも“応援”で、デジタルの仕掛けは購入動機にはなりません。

 しかし、手にしたグッズに“思いがけない特典”が付いていれば、ファンの期待を超え、心が動く。当社ではこのデジタルによる『プラスアルファの感動』こそが、ファンとの強固なエンゲージメントを生み出すと考えています」

東京・浜松町にはラボ施設がある。無料相談・デモ見学などの予約も可能(こちらのフォームより)。写真提供=エイブリィ・デニソン・ジャパン

デジタルで高度化されたマーチャンダイジングは、現在のスポーツビジネスにおいて、グッズ収益だけでなくクラブ経営全体に影響を与える重要領域となっているといえるだろう。

NFLやNBAチームなど、同社の導入事例をまとめた資料「デジタルファンエンゲージメント顧客事例」は以下よりDLできる。
スポーツチームのグッズ販売を担うマーチャンダイジング担当者や、新たなアクティベーション機会を探しているパートナー企業の担当者など、多くの方にご覧いただきたい。
https://connect.averydennison.com/ja/digital-fan-engagement-jp

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