りそなグループは昨年7月1日、公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ(Bリーグ)のタイトルパートナーになった。「タイトルパートナー」はプロスポーツのリーグ戦や大会では一般的だが、実はBリーグにとって2016年にリーグが始まってから初のタイトルパートナーとなった。
りそなグループにとってもスポーツリーグのタイトルパートナーになるのは初めてのこと。同社はどのような狙いを持ってBリーグのタイトルパートナーになったのか、そして、どのようなことを実現していくのか。りそなホールディングスの松井邦夫執行役に話を聞いた。
「アリーナで街が変わる」太田市で見た景色
松井氏は昨年の10月3日、群馬県太田市のオープンハウスアリーナ太田での開幕戦、群馬クレインサンダーズ対広島ドラゴンフライズを現地で観戦していた。
「私は群馬県出身なので太田市の土地柄は分かっていますし、以前の体育館(太田市運動公園市民体育館)でも観戦をしたことがあります。明らかに、アリーナができる前と後では盛り上がりが違いますよね。
アリーナがあることで人が集まる。グッズ販売も、もちろん増える。様々な地域からファンが来るので交流人口も増える。今後はビジネス機会も増えるでしょう。こういったことはアリーナがあるからこその変化です」(松井執行役)
今回のBリーグとのタイトルパートナー契約は、社内でも反響が大きかったという。「実は学生時代、バスケ部だったんです」「高校で現役Bリーグ選手と一緒にバスケしていました」というような従業員の声が増え、学生時代に日本代表だったという従業員がいることもわかり、社内がザワついたという。
また、東京と大阪にそれぞれバスケ部が立ち上がり、社会人リーグを目指すことになった。部員を募ると、東京、大阪それぞれ、いきなり30〜40人が集まったそうだ。
なぜBリーグのタイトルパートナーになったのか?
りそなグループは、金融持株会社りそなホールディングスの傘下にあるりそな銀行、埼玉りそな銀行、関西みらい銀行、みなと銀行などを有する銀行グループで、総資産約76兆円に達する日本の5大銀行グループの一角だ。
既に十分に企業としての認知度はあると思えるが、なぜ億単位の金額がかかるであろうタイトルパートナーとなったのか。きっかけは、2023年が”節目の年"だったことにある。
「りそなグループは2003年に預金保険法に基づく多額の公的資金が注入されました」(松井執行役)
バブル崩壊後、不良債権処理に苦しむ多くの銀行が経営不振に陥った。りそなも例外ではなく、2003年、約2兆円の公的資金が入って実質国有化となった。「りそなショック」と呼ばれた、金融危機から長く続く再生への道のりが始まった。その後、2015年についに公的資金を完済した。
「りそなショックが起こった2003年から20年経った節目が2023年でした。それまでの再生のステージから、新たな挑戦のステージへとギアチェンジする姿を、そのタイミングで社内外に示したかった」(松井執行役)
決め手は「親和性」と「コンテンツ力」
同時期に、「金融+で、未来をプラスに。」というグループパーパスを新たに策定した。ただ、パーパスを作っただけでは、りそなが大きく変革しようとしていることが世間には伝わりにくい。そこで目を付けたのが、ここ数年で爆発的に人気が高まっている国内男子プロバスケットボールリーグのBリーグだった。
「選ぶ基準は、一つは私たちの理念・パーパスに親和性があること。りそなグループは地域に根差し、お客さまは個人や中小企業が中心であり、リテールに特化している。地域とリテールという軸に対して、全国に広がるBリーグとは親和性がある。もう一つはコンテンツ自体が意味を持っていて、力強さがあること。Bリーグはまさにぴったりでした」(松井執行役)
Bリーグも2026年秋に始まる新リーグに向けた道しるべを示した「B.革新」において、「バスケを通じて地域や社会の課題解決に寄与する」と明言している。島田慎二チェアマンも度々、地域貢献や地域創生の大切さを発信しており、それが魅力に映った形だ。
りそなグループとしては、新たな顧客層との接点をつくることも期待しているという。銀行という特性上、どうしても平日の日中に店舗に来ることのできる人は、事業主や年配の個人などに限られる。
「若い方々はネットやATMくらいしか銀行との接点がなく、来店する機会が減ってきていると思います。これから口座を作るようなより若年層となれば、さらに接点を持つのが難しい。その点、Bリーグは他のスポーツに比べても若年層のファンが多いですよね。
『りそな』という名前は聞いたことがあるかもしれませんが、どういう銀行なのかまでは知られていません。りそなグループが地域に根差している、個人や中小企業の困りごとの解決に強みがあるということを、Bリーグやチームを通して知っていただきたいですね」(松井執行役)
お役立ち資料
りそなホールディングスへのインタビューをもとに、お役立ち資料として「INSIGHT:企業のスポーツ活用とアクティベーション」をまとめています。無料でDLができ、記事には載せられなかった以下のコンテンツも掲載していますのでぜひご覧ください。
- りそなHDが考える「Bリーグ地方クラブの持つ可能性」
- 金融機関ならではの支援内容
- 子ども向け「金融×バスケ」教室のアクティベーション