SHCスポーツビジネスマスターコース、2025年度の募集が開始。横浜F・マリノスを題材に、スポーツ経営で重要度増す「中期経営計画」づくりを実践

スポーツ界では「プロ経営者」が求められて久しいが、そうしたスポーツ経営人材の育成を行っているのがスポーツヒューマンキャピタル(SHC)だ。これまで述べ600名以上が修了し、実際にクラブ経営者も輩出してきた。

この2月には第18期となる「SHCスポーツビジネスマスターコース」の募集が開始。今年は横浜F・マリノスを題材にして中期経営計画づくりにも取り組むという。SHCに活動の意義とプログラムの特徴を聞いた。

SHCの「スポーツビジネスマスターコース」とは

SHCは、2015年にJリーグが設立したJリーグヒューマンキャピタルを母体に、2016年に一般財団法人として設立(18年に公益財団法人へ移行)。サッカーだけにとどまらず、競技の枠を超えたスポーツ経営人材の育成を目的としてビジネススクールを運営してきた。

2025年度で18期目となる「マスターコース」を中心に、より基礎知識の習得に重きを置いた「ベーシックコース」(23年〜、今年で3期目)を開講するほか、修了生向けのミニ講座や交流会を開催するなど、人的なネットワーク/プラットフォームにもなっている。

フラッグシップともいえるマスターコースでは、8ヶ月間にわたり講義、個人ワーク、グループワークを通じて、スポーツ組織経営を徹底的に学ぶ。プロクラブを題材にして実際の経営に深く踏み込んでいく点を特徴としており、今年度は横浜F・マリノスがテーマになる。

マスターコースの運営を担当する橋村将来氏はこう説明する。

「昨今、グローバル化という観点もスポーツクラブ経営にとって重要になってきました。そこで、(CFGグループで)マルチ・クラブ・オーナーシップ(MCO)クラブのひとつでもある横浜F・マリノスに協力いただいて、今年度のテーマとしています」

コースではグループでのディスカッションなど交流要素も多い。画像提供=SHC

今日のスポーツ組織経営で重要な「中期経営計画」

題材になるクラブは毎年変わるが、マスターコースで変わらないことがある。それが、中期経営計画づくりだ。これは第1期から現在まで行なっているもので、「スポーツ組織経営の根幹」(橋村氏)だと考えているからだ。

中期経営計画づくりはグループワークでの課題となる。横浜F・マリノスの“生の経営情報”にアクセスし、受講生のバックグラウンドをもとに振り分けられた4〜5名のグループで取り組む。

コース開講当初は5年間の計画としていたものの、現在では事業環境の変化の早さから3年計画を基本としている。「計画するだけでなく、その後の運用・実践までを見据えてもらいます」と、SHC業務執行理事の鈴木德昭氏。

中期経営計画づくりはマスターコースでの集大成となるが、その前に行う個人ワーク(ゼミナール)では受講生がそれぞれスポーツ組織を選び、事業課題について分析と発表を行う。また、講義形式の回では各団体の経営トップの登壇も予定しており、目玉の一人は昨年7月にSVリーグ初代チェアマンに就任した大河正明氏だ。

こうした体系的な学びと、受講で得られるネットワークをもとに、受講生はそれぞれに活躍の場をひろげていくことになる。

スポーツ界で活躍する修了生たち

SHCではこれまで、マスターコース・ベーシックコースあわせて述べ603名が修了。うち延べ169名がコース修了後にスポーツ団体や関連企業に就転職している。

Jクラブ34クラブのほか、プロ野球、Tリーグ、Fリーグの各チーム、Jリーグ、WEリーグ、Bリーグ、ジャパンラグビー リーグワン、SVリーグなどの各リーグ、協会・連盟、そして海外のクラブや国際競技連盟まで幅広い。

もともとスポーツ界に在籍していた修了生を含めると、今年1月時点で256名がスポーツ界に在籍している。

画像提供=SHC

実際に経営者も輩出してきている。カマタマーレ讃岐 代表取締役社長 池内秀樹氏(2019年就任、SHCスポーツビジネスマスターコース5期)、横浜ビー・コルセアーズ 代表取締役 白井英介氏(2021年就任、同2期)、ギラヴァンツ北九州 代表取締役社長 石田真一氏(2023年就任、同7期)らだ。

また、今年1月にガンバ大阪の代表取締役社長に就任した水谷尚人氏も修了生のひとり。同氏は2015年から22年まで湘南ベルマーレの代表取締役社長を務めていたが、退任後の24年にSHCを修了していた(同17期)。いわば“学び直し”ともいえる。

マスターコースは将来の経営者候補が対象ということで、ミドルキャリアの受講生が多く、35歳前後が中心だった。そうした修了生がスポーツ界で、スタッフレベルだけでなく、上記のような経営層、または部長、本部長レベルで活躍してきた。

加えて、ここ2、3年は30代前半の受講生も増えており、20代後半の受講生も各期で存在するという。ミドル世代以下にも「スポーツ組織経営」が関心ごととなってきているのは、好ましい状況だろう。

「SHCは毎回コース内容をアップデートしており、常に“今が一番良い”と自負しています。スキルアップ、そして経営者・経営を志す方々とのネットワークを得るために、ぜひ参加いただきたいですね」(橋村氏)

2025年度 募集要項

2025年度のスポーツビジネスマスターコースはこの2月より募集を開始。詳しくは〈SHC公式サイト〉より。

募集要項

コース:SHCスポーツビジネスマスターコース 第18期

コース期間:2025年5月10日(土)~12月18日(木)、全36回(予定)
※平日週1回、一部週末に対面開催

コース構成:オンラインと対面講義を組み合わせ、以下の内容を予定。
-事前課題(VOD、課題図書、事前学習レポート等)
-講義(講師・ゲストスピーチをメインとしたセッション等)
-ゼミナール(コース外の時間に各自個人での課題レポートを作成)
-グループワーク(コース外の時間にグループメンバー間で任意に実施していただく場合があります)
-プレゼンテーション
-フィールドワーク(予定)
-キャリア面談(コース期間中に実施予定)
※講義には通常科目の他、振返りワークやその他のワークショップが適宜含まれます。

定員:40名(※内、一般募集枠は20名程度)

会場:平日はオンライン開催。週末の対面開催は東京、横浜を予定

対象者:
-本コースおよびSHCの今後のキャリアデザイン支援を通じ、スポーツビジネスシーンにおいて活躍する上で必要となる、適切な経験と能力をお持ちであると認められる方(目安:2年以上の職歴)
-コースの全期間を通じて、当事者として主体的、積極的に取り組む意志のある方

受講料:55万円(税込)

<割引適用>※カッコ内は割引適用後料金
①下記団体に加盟する職員及び選手等(44万円)
・日本プロ野球機構
・日本トップリーグ連携機構加盟リーグ
・日本スポーツ協会(中央競技団体・準加盟)
・一般社団法人 日本独立リーグ野球機構
・一般社団法人 日本フットボールリーグ
・一般社団法人Tリーグ
・一般社団法人日本女子サッカーリーグ
②SHCコース卒業生からの推薦を受けた者(44万円)
③SHCスポーツビジネスベーシックコース修了者(割引あり・ベーシックコース受講料を差し引いた額)

エントリー方法:エントリー受付期間内に、〈SHC公式サイト〉内の「エントリーフォーム」にアクセスし必要事項を入力。

エントリー期間:2025年2月14日(金)~ 2025年2月28日(金) 23:59

選考方法:書類選考、1次選考(オンラインでのグループ討議)、2次選考(オンラインでの面接)
※1次選考のみで合格を決定する場合あり

問い合わせ先:公益財団法人スポーツヒューマンキャピタル

◾️スポーツヒューマンキャピタル - SHCスポーツビジネスマスターコース
https://shc-japan.or.jp/

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