「スポーツ×地域×SDGs」の可能性とは。KPMGコンサルティング佐渡誠氏に聞く

5月に開催され、盛況のうちに幕を閉じた「HALF TIMEカンファレンス2022」。当日は3セッションが繰り広げられたが、時間切れで答えられなかった質問も多数。そこで今回は、KPMGコンサルティング 執行役員の佐渡誠氏に、昨今スポーツ界で注目の集まる「SDGs」についての質問に特別に答えてもらった。

KPMGコンサルティング 執行役員ビジネスイノベーションユニット統括パートナー 佐渡誠氏

そもそも、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)とは2015年の国連サミットで採択された、2016年から2030年の15年間で達成するために掲げられた目標で、中長期的な取り組みが必要になる。

Jリーグが2018年に社会連携活動「シャレン!」をはじめ、スポーツ界でも本格的にSDGsに対する意識が高まってきた昨今、そもそもSDGsに取り組む意義から質問が挙げられた。

――ファンやスポンサーがSDGs・持続可能性に関する取り組みを意識することが、チームによって高まってきています。これは具体的に、どのように広がり、発展してきているのでしょうか。また、スポンサーにとってはどのようなメリットになっているのでしょうか?

佐渡 誠氏(以下、佐渡):これまでは、チームはチームの事業活動を通じて、企業は企業の活動の中で自らができる社会貢献活動を行ってきたのが実態です。それは今後も高まっていくでしょうが、「よりよくしたい地域・街」という共通の場において協働して動くという活動はまだまだ生まれていません。

今回のプラットフォームが仕掛けとして機能して行けば、スポンサーにとっても単なるマーケティングメリットを超えた経営リターンにつながっていくと想定しています。

カンファレンスでは東京会場とオンラインから質問が挙げられた

カンファレンスに先立つ5月20日、KPMGコンサルティングは、湘南ベルマーレと共に「地域共創型SDGsプラットフォーム」の構想も発表。

これは、クラブを取り巻く地域の企業や団体、自治体などさまざまなプレーヤーが、デジタル上のプラットフォームでSDGs推進に向けた情報収集、企画発案、連携・実行、そして効果測定までできるようになるもので、一層の地域連携が期待される。

――SDGsの共創プラットフォームは、基本的に法人、団体、自治体などを起点にSDGs活動を産み出す仕組みだと認識しています。一方、アスリート個人でも実際に活動されている選手も多く、起点になり活動を起こしたいケースもあるかと思います。そのようなケースにも備えておく方がよいと思いますが、何かお考えはありますか。

佐渡:はい、将来的には「個人」も参画できるプラットフォームに進化させていきたいと考えています。選手やアスリートの方々も積極的に活用できる仕組みを検討していきます。

――デジタル上のSDGsプラットフォームと、通常のスポンサードはどのように区分けされていくのでしょうか。SDGsのプラットフォームの利用料が、スポンサー料の中に組み込まれていくのでしょうか?

佐渡:スポンサー権益とどのように整合立てていくかは、今後の検討論点として現在進めています。権益の中で使える機能と、権益外で使える機能。その辺りをしっかりと設計していく予定です。

今後、デジタルプラットフォームではD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)の推進を目的とした「ブラインドサッカーイベント」や、地域の子どもたちへのデジタル教育となる「プログラミング教室」を、湘南ベルマーレのパートナー企業の立案により開催予定とのこと。

ここからどのような企画、そしてSDGs推進の大きなうねりが生まれてくるか、目が離せそうにない。