9月20日に開幕を迎えるラグビーW杯、その初戦となる日本対ロシア戦に使用される公式ホイッスルが日本に到着した。前回イングランド大会の舞台ロンドンから東京まで、2人の元ラグビー選手が約2万kmを走破するチャリティーツーリングで、物流大手DHLが支援するものだ。
ロンドンから東京へ 公式ホイッスルを届ける冒険
「ラグビーW杯が間もなく始まる日本に到着して、嬉しい」
南アフリカ出身のロン・ルトランド氏と香港出身のジェームス・オーウェン氏の2人が、自転車でロンドンの「ラグビーの聖地」トゥイッケナム・スタジアムを出発したのが2019年2月2日。それから半年以上をかけ、ユーラシア大陸を横断しながら26カ国を経由し、最終目的地の日本に9月12日に到着した。中国・上海から大阪に到着したばかりの2人は、興奮を隠さなかった。
「ここまで来られたことに関して、DHL、チャイルド・ファンドをはじめ多くの関係者に感謝している」
2人が自転車の冒険を続ける理由は2つ。1つは、9月20日に迫るラグビーW杯2019開幕戦の日本対ロシア戦で使用される「公式ホイッスル」を運ぶこと。もう1つは、大会公式チャリティパートナー「チャイルド・ファンド パス・イット・バック(Child Fund Pass It Back)」の認知向上とファンドレイジングを行うことだ。「Race to RWC(ラグビーワールドカップへのレース)」と称して、大会パートナーである物流大手のDHLが支援している。
前回イングランド大会の舞台ロンドンのトゥイッケナム・スタジアムから東京まで、これまで1万8,000kmを超える道中で、各国現地の人々とラグビーを通して触れ合い、ラグビーW杯の魅力を伝えてきた。Race to RWCのウェブサイトを通じて集められた寄付はすでに、7万5,000ユーロ(約890万円)以上にのぼる。
▶︎Race to RWC:https://inmotion.dhl/ja/rugby/race-to-rwc/
今後は大阪から東京を目指し、奈良、愛知、静岡、神奈川を経由して、開幕戦の前日である9月19日に東京スタジアム(東京都調布市)への到着を目指す。日本上陸を果たし、残り1週間を切ったところだが、2人が気を緩める様子はない。
「まだ残り6日かけて東京まで走らなければならないので、気を引き締めて、無事東京に(ホイッスルを)届けられるように、全力を尽くしたい」
ラグビーを通して価値共創を目指すDHL
実はDHLがチャリティーツーリングを支援するのは今回が初めてではない。
前回2015年のイングランド大会の際もロン・ルトランド氏は、自身の出身国である南アフリカからアフリカ大陸の全ての国とヨーロッパの一部を通ってロンドンを目指すという冒険を行っており、この時は27ヶ月で75カ国を訪れ、4万2,000kmを走破し、なんと25kgも体重を落としたという。
ルトランド氏は当時を回顧して「アフリカでのDHLのサポートがなければ、きっとラグビーワールドカップ2015のキックオフに6か月は遅れていたでしょう」と話している。
その後、香港ラグビー協会のビジネス開発ジェネラルマネージャーに就いたルトランド氏が、香港出身でチャイルド・ファンド パス・イット・バックのリージョナル オペレーション オフィサーを務めるジェームス・オーウェン氏と出会ったことで今回の旅路が始まった。2人は共に元ラグビー選手でもある。
DHLは2011年のラグビーW杯ニュージーランド大会から3大会にわたりワールドワイドパートナー兼ロジスティクスパートナーを務める。主な役割は、大会で使用される物品やチーム備品、そしてチケットなどを安全に、そして確実に輸送することだ。
大会パートナーの権利を活用しながら、自社の強みであるロジスティクス能力を用いて、冒険家である一個人のチャリティへの取り組みを支援することは、CSV(価値共創)の観点から理想的なパートナーシップと言える。
勿論、その個人がラグビーに対する強い想いを持ち、子供たちがラグビーなどを通じて総合的なライフスキルを身につけ、その学びを地域社会に還元し「パスをつなげる(パス・イット・バック)」というチャイルド・ファンドのミッションに共感していることも前提にある。
今回のRace to RWCの出発前、DHLエクスプレスのスポンサーシップ担当グローバル・ヘッドのフィオナ・タアーグは、次のように話していた。
「DHLはロンとジェームスの壮大な旅をサポートできることにワクワクしています。DHLは2人の移動先すべて――「RWCへのレース」の公式イベント、DHLオフィスの訪問や、折々の弊社スタッフによる自転車伴走、行く先々の地元コミュニティでのラグビーの試合――で2人を支え、そしてもちろん、この2人が必要とするロジスティクスサポートを提供し、キックオフ前に東京に確実に到着するお手伝いをします。
目を離せないのは、ロンとジェームスの自転車での走行距離の記録だけではありません。募金額の数字が増えていくのを見守るのも楽しみです。この数字をみれば、『チャイルド・ファンド パス・イット・バック』に必要な基金を集めようと、世界のラグビー・コミュニティが共に走ってくれていることがわかるのです。」