英国開催の国際スポーツイベント、相乗効果狙う
ラグビーリーグ・ワールドカップ2021 (RLWC2021)は、2019年4月、バイタリティ・ネットボール世界選手権 (VNWC2019)と、パートナーシップに関する覚書(MOU)を締結した。国際スポーツイベントの主催者間でパートナーシップ締結が行われるのは世界で初めて。
ネットボール世界選手権2019は今年7月に英リバプールで開催。その運営ナレッジを、2021年にリバプールを含むイングランド18都市で開催されるラグビーリーグW杯に継承する。ネットボール世界選手権は10日間・1アリーナでの開催だが、ラグビーリーグW杯は男子・女子・車椅子が大会史上初めて一つのイベントに集約され、37日間にわたり21スタジアムで開催される。
今回の覚書により、二者間で、マーケティング、オペレーション、ボランティア、人材採用、女性スポーツ、レガシーなどの全ての分野で、定期的にナレッジシェアを行う。ラグビーW杯にとってネットボール世界選手権が格好のベンチマーク大会となるだけでな く、英国全体としては、国際スポーツイベントの開催能力を更に向上させる機会となる。
RLWC2021のCEOであるジョン・ダットン氏は次のように語っている。
「2015年に(RLWC201の)プロジェクトを開始して以来、多くのイベント主催者と会い、ナレッジ向上に向けて積極的に取り組んできた中、今回、覚書を結ぶことができ嬉しく思う。私たちは既にネットボール世界選手権から素晴らしいインサイトを得ており、一方で私たちのサポートが彼らの目標達成の一助となることを願っている」[1]
国際スポーツイベント、レガシーに課題
国際スポーツイベントの開催に関してレガシーが課題視される中、同じ国で開催されるスポーツイベントがパートナーシップを結び、効率的なマーケティング、オペレーション、リソース活用を進めるのは意義深い。レガシーは競技場などハード面だけでなく、主催者の開催能力や、コミュニティへのインパクトなどソフト面にも至るからだ。
ラグビーリーグW杯2021は、レガシー・プログラム「Inspired by 2021」を2018年6月に立ち上げており、ボランティア、施設・設備、コミュニティ・エンゲージメントを3つの柱に据える。施設・競技場に関しては、地域クラブからの補助金申請を受け付けており、クラブハウスの改修、人工芝の設置、複合クラブ化などを支援する。ボランティア・プログラムは今後発表されるが、「大会後もコミュニティクラブを支援する」ことにつなげたい狙いだ。
同大会は、全体の9割近い試合がイングランド北部地方で開催されることから、同地方へ経済的・社会的インパクトをもたらすことを目指しており、英国政府は2,500万ポンド(約38億円)の資金を拠出している。
また、大会には、レガシー・プログラムを率いるレガシープログラム・マネージャーの職も設置され、イングランドラグビーリーグ協会(Rugby Football League: RFL)出身のトレイシー・パワー氏が2018年8月に着任。次のように語っている。
「本大会は、ラグビーリーグが目に見えるレガシー・プログラムを提供し、施設・設備の改善やスポーツ参加の向上、ボランティアの拡大を行う絶好の機会だ。過去最大、且つベストなラグビーリーグ大会を開催するという意欲的な目標に取り組むことを楽しみにしている」[2]
◇参照