ワールドラグビー、女子ラグビーのグローバル・キャンペーンを新たに展開。世界規模で参加拡大目指す 

競技人口28%増の270万人 「成功事例」の女子ラグビー、更なる成長へ

ラグビーユニオンの国際統括団体ワールドラグビーは、2019年5月、女子ラグビーの新たなブランド・アイデンティティ「Women in Rugby」の導入と、グローバルキャンペーン「Try and Stop Us」の展開を発表した。女性プレーヤーだけでなく、観戦者やファン、スポンサーや投資家など、幅広いステークホルダーに対して、世界規模での女子ラグビーへの参加拡大とエンゲージ向上を狙う。

キャンペーンでは、様々な競技レベルでラグビーをプレーする15人の女子選手をアンバサダーとしてフィーチャー。ピッチ内外での障壁やラグビーとの関わりがどのように現在に繋がるかを紹介する。発表と日を同じくして、新たなウェブサイト( http://www.women.rugby )も開設した。ソーシャルメディア向けに #WomenInRugby と #TryAndStopUs のハッシュタグも設定され、今回のキャンペーンを、今後の女子ラグビーの成長へのプラットフォームにしていく。

女子ラグビーは現在、世界での競技人口が270万人に達し、ラグビーの競技人口全体の4分の1以上を占める。競技登録者数も全体で2017年比28%増を記録。また、2年連続で男子より女子の新規登録割合が多い。さらに世界4億人のラグビーファンの4割以上は女性だ。女性プレーヤー、ファンの取り込みを進めるスポーツ界において、一つの成功事例となっている。

ワールドラグビーのビル・ボーモント会長は次のように語っている。

「今後10年間の私たちの最大の成長機会は、女子ラグビーにあると強く信じている。野心的且つ戦略的な女子ラグビーのアクションプランを通して、より平等な試合という私たちのビジョンの実現を目指していく」

先進的な取り組みを生む、ワールドラグビーの組織

キャンペーンの発表と時を同じくして開催されたワールドラグビーの理事会では、過去最大となる17人の女性リーダーが参加した。これは、ワールドラグビーが2017に策定した戦略的なアクションプラン「Accelerating the global development of women in rugby 2017-25」に基づくもので、選手やファンだけでなく、統括組織のリーダーシップにも女性を迎えていくものだ。

キャンペーンのローンチには、「Try and Stop Us」の15名のアンバサダーのうち3名が参加した。米国セブンス代表選手のキキ・モーガン氏、ワールドラグビーの理事会メンバーであり英国女子ラグビー界の先駆者であるデボラ・グリフィン氏、そしてアイルランド代表選手のリア・ライオンズ氏だ。

ワールドラグビーのビル・ボーモント会長は、次のようにも語る。

「トップスポーツのガバナンスから普及活動まで、ジェンダー・バランスを推進し、女性がピッチ内外で平等な機会を得られることに全力で取り組んでいる。これにより、ファンやオーディエンス、選手、投資家が、女子ラグビーにより関わることを促進している」

ワールドラグビーは、これまでもラグビー界の様々な課題に対して積極的に取り組んできた。2018年には、アンチドーピングキャンペーン「Be Yourself」を実施。これは「Keep Rugby Clean」というスローガンのもと、身体に有害な薬物・加工物でなく、適切な栄養素をチョイスしクリーンな試合・競技を推奨するキャンペーンだ。

この際も、イギリスのトップリーグ「ギャラガー・プレミアシップ」や、フランスのトップリーグ「フランス選手権トップ14」および2部の「ラグビー・プロD2」といった各国のラグビーユニオン・リーグ、また、「ギネスプロ14」、「欧州ラグビーチャンピオンズカップ」といったクラブチーム・各国代表の国際大会がパートナーとなり、キャンペーンを支持している。

取り組むべき課題を設定し、選手やチーム、リーグなどのパートナーと手を組み、持続可能なグローバル・キャンペーンを形作っていく。アジアで初となるラグビーワールドカップが2019年の今年、日本で開催される中、ワールドラグビーの今後の取り組みに注目が集まる。

◇参照

World Rugby