笹川スポーツ財団は6月、隔年で実施している「スポーツライフに関する調査」の2020年版を発表。週1回以上運動・スポーツを実施する人の割合が過去最高の59.5%となった。一方でスポーツ観戦率やボランティア実施率は低下。新型コロナの国内のスポーツ実施への影響がデータで示された。
エクササイズスポーツが人気に
今回の調査では、週1回以上運動・スポーツを実施する人の割合が59.5%を記録。前回2018年調査を1.6%上回り、調査開始以来最高となった。
「外出自粛」や「ステイホーム」が呼び掛けられる中で、健康維持・増進を目的としたエクササイズスポーツの人気が大きく高まった。18・19歳および20歳代では「筋力トレーニング」や「散歩」の実施率が大きく増加。
笹川スポーツ財団 スポーツ政策研究所の宮本幸子研究員は、「健康増進の時流に乗ったこれまでの上昇傾向に加えて、身近な場所や一人でもできる運動・スポーツが支持された」として、近年の健康ブームをコロナ禍がさらに後押ししたと分析する。
一方で、「密」の回避でスポーツ施設の利用が制限されたこともあり、チームスポーツの実施率は伸び悩んだ。先出の宮本氏は、「運動量のみならず、質の観点からもスポーツライフの豊かさをどのように担保するかが今後の課題」とコメントし、実施率の向上だけが全てではない点も指摘した。
観戦・ボランティアは苦境
スポーツ実施率が伸びを見せた一方で、上位10種目のスポーツ観戦率(会場での直接観戦)は前回調査を下回った。プロ野球は観戦率が前回13.7%から今回9.6%と4.1%低下し、Jリーグは2.2%、高校野球も3.0%とそれぞれ減少している。
昨年、プロ野球は開幕が6月にずれ込み、試合数やポストシーズンの削減、また無観客・観客制限でのシーズンを余儀なくされた。Jリーグも同様に無観客、観客制限でのシーズンに。リーグの「2020年度 クラブ経営情報開示資料」では、柏、湘南、磐田の3クラブを除く53クラブの入場料収入が、前年度比で約6割減少したことも明らかになっている。
こうした試合数や関連イベントの減少・制限は、スポーツボランティアの実施率にも影響。ボランティアを行った回答者の割合は前回調査の6.7%を下回り、5.3%と調査開始以来最低となった。
とはいえ、コロナ禍の中、感染症対策を講じて各スポーツでは試合や大会、シーズンが再開し始めた。東京オリンピック・パラリンピックも開催となり、開会式の視聴率は関東地区で56.4%を記録し、変わらず関心の高さをうかがわせる。今後、スポーツ実施についても機運が高まるだろう。