2019年に開催されるラグビーワールドカップ。
ラグビーとビジネスは、一見関係なさそうに見えますが、理念や方針、そして、手法など、共通するポイントがたくさんあります。
そこで、今回はラグビーとビジネスの共通点と互いのノウハウを活用した事例について紹介します。
ラグビーが日本の企業のブランド向上に貢献する
ラグビーには、日本企業のブランド力を向上させる力があります。
ラグビーでは、「結束(SOLIDARITY)」「尊重(RESPECT)」「品位(INTEGRITY)」「情熱(PASSION)」「規律(DISCIPLINE)」という5つを「ラグビー憲章」として掲げていますが、これらの理念は、ビジネスシーンや企業経営にも通じるものがあると言われています。
また、日本ラグビーフットボール協会の理事、前田直毅氏は、「肉体激しくぶつかりながら、品位を持ってプレーすることを追求するラグビーの理念が、企業のブランディングと共通するポイントが多い」としています。
年々増える若者のラグビー人口
近年、アジアの若者のラグビー人口が増加しています。これは、ワールドラグビーの独自プログラムによるところが大きいとされています。
アジアには、世界の若年人口の8割が暮らしているとされていますが、これまで、アジアでラグビーが普及しているのは一部の国と地域のみでした。そこで、ワールドラグビーと地域協会がアジア地域で本格的にラグビーを普及させようと動き出したのです。
その取り組みの結果、アジアの多くの地域でラグビーをプレイする人が増えています。
楽しみやすいタグラグビー
近年、アジアの若者の間でラグビーが広がりを見せています。
そのきっかけの一つになったのが、タグラグビーです。
タグラグビーとは、年少者や初心者が親しみやすいノータッチ、ノーコンタクトのラグビーのことです。幅広い層が楽しめるスタイルのラグビーであると言えるでしょう。
タグラグビー教室の開催や審判の講習会などを、AIGジャパンなどの企業が支援して行っていて、タグラグビーが広く知られるようにっています。
ラグビーそのものは、競技として知られていますが、気楽にできる競技ではありませんでした。そこで、気軽に楽しめるタグラグビーが最適だったのです。
タグラグビーは、2008年の学習指導要領に記載され、現在、約6割の小学校で行われています。
ラグビーワールドカップに向けての取り組み
ラグビー業界では、ワールドカップ2019に向け、日本やアジアの放送網を拡大して世界的にラグビーを広げる取り組みも行っています。
最終目標は、アジアで100万人以上のプレーヤーを増やし、ラグビーのプレーヤーを合計200万人以上にすることです。
名将エディーが変えたラグビーとビジネスの関係性
ラグビーとビジネスの共通点に関して語る上で外すことが出来ないのが、エディ・ジョーンズでしょう。
彼は、日本ラグビー界に革命を起こしました。
エディー・ジョーンズってどんな人?
エディ・ジョーンズは、過去にはラグビー日本代表のヘッドコーチをつとめた人物であり、現在はイングランド代表のヘッドコーチとして活躍しています。
チームを言葉巧みに盛り上げ、ワールドカップでの戦績が通算1勝にとどまっていた日本代表を、2015年のワールドカップでは3勝させるという功績を残しました。
しつこく徹底的に決めた言葉を使い続けるエディー
エディ・ジョーンズは、キャッチフレーズを作成する天才で、言葉巧みにチームを盛り立てました。
彼が日本代表のヘッドコーチを務める間に定着させた言葉には、
- ヘッドスタート
- ハードワーク
- レジリエンス
が挙げられます。
ヘッドスタート
ヘッドスタートとは、早朝のウエイトトレーニングのことです。朝5時からトレーニングを行い、肉体改造に励みました。
ハードワーク
ハードワークとは、長時間練習する、という意味ではなく、集中して行うということ。
練習中、試合中には激しい動きを常に求めました。
レジリエンス
精神的、肉体的に追い込むことで、爆発的な反発力をつけさせました。
こうした言葉を繰り返し使って、選手のトレーニングを行ったのです。
シンプルで分かりやすいフレーズを使うことによって、チームの進むべき道を示しました。
「ラグビーはコミュニケーションを取るものである」
エディ・ジョーンズは、高校生を指導した際に、トークをせずに練習していた高校生たちに対して、「トークをしないのなら、ロッカールームでスマホでもいじっていてください」と喝を入れ、「ラグビーはコミュニケーションのスポーツである」と言いました。
このことから分かるように、練習においても、コミュニケーションをとることを大切にしていたのです。
エディ・ジョーンズの指導を受けた後、高校生たちは積極的に声を掛け合うようになり、練習の活気もアップしました。
各々がどうすれば強くなれるかだけでなく、チームワークを常に大切にしながら練習する環境づくりを積極的に行うのが、エディ・ジョーンズのやり方なのです。
エディーの手法はビジネス界へと浸透
エディーの手法は、ビジネス界にも大きな影響を与えています。
分かりやすいフレーズを、何度も使うことで浸透させ、実行する。
この手法を実践する企業が増えています。
特に、ラグビーをプレーしていた人が管理職についた企業は大きな影響を受けたようです。
なぜ、日本は強豪南アフリカチームに勝つことができたのか?エディーの組織作りがカギだった!
エディ・ジョーンズの指導を受けたラグビー日本代表チームは、強豪の南アフリカチームに勝つことが出来ました。
その勝利のカギは、エディーの組織づくりです。
リーダーシップ
リーダーシップは、ビジネスにおいても重要となるものですが、エディーは、ラグビーの指導にリーダーシップを取り入れています。
エディーの場合、周囲の人達のベストパフォーマンスを引き出すことを重視したものであり、選手たちに能力があることを気づかせ、能力を引き出そうとしたのです。
リーダーには、観察力も重要です。人それぞれによって適した指導方法を見極めて、どのようにすればその人の能力を引き出せるかを、把握しておくことが必要です。
マネジメント
チームの運営には、選手だけでなく、スタッフの力を引き出す必要があります。
そのため、マネジメントが重要です。
選手やスタッフごとの違いを理解し、コミュニケーションを工夫をすることで円滑なチーム運営ができるのです。
自分の強みを知ること
ラグビー日本代表の身長は、世界に比べると高いとはいえません。しかし、背が高くない代わりに素早い動きができるという強みがあります。この「素早い動きができる」という自分たちの強みを知ることによって、勝利を掴むことができたのです。
規律と文化を構築すること
規律や文化は、対をなす要素です。「規律」とは、ルールを守る事であり、ルールを守ることはとても大切なことです。
ルールに違反した人を罰するのではなく、チームが勝利を得るために必要とされることをルールとして取り決めているので、決められたルールはチーム全員が理解し、守ることが重です。
しかし、そのルールが本当に必要なものなのかどうかを検証することも必要です。
規律を守る一方で、文化の共有も大切です。それぞれの生い立ちや世代間ギャップなどをしっかりと把握しなければ、一方的なチーム運営になってしまいます。
お互いに理解し合うことで、チーム内のコミュニケーションが円滑になるのです。
学ぶ環境を構築すること
チームを強くするには、チームについて学習し、将来を見据えて準備しておくことも大切です。将来的に必要なスキルやノウハウをあらかじめ取得しておけば、それらが必要となったタイミングで結果を出す可能性を高めることができます。
さまざまなことにチャレンジして学ぶこと。
もし失敗しても、失敗から学ぶことによって、成長に繋げることができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
エディ・ジョーンズ氏の指導によって、ラグビー日本代表チームは強豪チームの仲間入りができるほど、強くなりました。
2019年に開催されるラグビーワールドカップで、日本代表チームがどのような活躍を見せるのか、期待が高まります。
参考記事一覧
ラグビーは企業ブランドの向上に役立つのか? アジアで増える競技人口(ビジネスIT)