クリケットという競技をご存知でしょうか?
競技名は耳にしたことはあるけれど、具体的にどういう競技かは分からない、という方も少なくないでしょう。
日本ではあまり知られていない競技ですが、世界的にはバスケット、サッカーに次いで3番目に競技人口が多く、人気が高いクリケット。
本記事では、クリケットの起源や語源、その歴史について紹介します。
クリケットの奥深さが分かる内容になっているので、ぜひ最後までお読みください。
クリケットの起源
クリケットの起源には諸説ありますが、その中で最も有力なのは、イギリスの羊飼いが息抜きのためにやっていた遊びが起源である、とするもの。
その遊びとは、羊飼いが仕事で使う棒状のスティックで投げ込まれる石を打ち、味方ゲートに入るのを防ぐというものでした。
この遊びを基に、徐々にルールが整備され、やがて人々の娯楽として広がっていきました。
17世紀以降、イギリスが全世界に領土を拡大するとともに、インドや南アフリカ、オーストラリアなど世界中に拡散していったのです。
「クリケット」という名前の由来
クリケットの由来には、様々な説があります。
その中で有力な説が
- コオロギの鳴き声が基になっているという説
- 棒切れや松葉杖を表す言葉が元になっているという説
の2つ。
それぞれの説について紹介していきます。
コオロギの鳴き声説
一つ目の説は、コオロギの鳴き声が基になっているというものです。
コオロギの鳴き声は英語で「chrip」。日本語で表すと「クリッ」といったところでしょうか。
コオロギの綴りはその鳴き声「chrip」にちなんで「cricket」となっていますが、バットでボールを打つときに発せられる音がコオロギの鳴き声に似ているとして、この競技を「クリケット」、「cricket」と呼ぶようになったといわれています。
棒切れ説
もう一つの説は、各地の棒切れや松葉杖を表す言葉が元になっているという説。
例えば、フランダース語は棒切れを「krick」、アングロサクソン語では支柱を「Cricc―Crycc」、英語では松葉杖を「crutch」と表しますが、これらの言葉と、棒でボールを打つという競技の特徴をあわせて、「クリケット」と呼ぶようにしたとされています。
「cricket」にはフェアという意味もある
発祥国イギリスにおいてクリケットは、「紳士のスポーツ」とされ愛されています。このことから「cricket」という言葉には、「フェアプレイ」という意味が付け加わっているのです。
さらにそこから、「not cricket」という言葉が作り出され、「公正ではない」「適正でない」という意味を表すようになりました。また、「play cricket」という言葉においては、そのまま読めば「クリケットをする」という意味ですが、「公明正大にふるまう」という意味でも使う場合があるのです。
17世紀以降、世界に広まる
世界中で3番目に競技人口の多い人気スポーツ、クリケット。
発祥説のところで少し触れましたが、クリケットが世界中に広まっていったのは、17世紀以降のこととわれています。
そのきっかけは、当時の大英帝国が世界的に領土を拡大したこと。
領土拡大とともに、クリケットが世界中に広まっていったのです。
当時イギリスの植民地であった国では現在も人気の高いスポーツであり、イングランドやオーストラリアでは、夏の国技として実施されています。
イギリス発祥のスポーツの中でルール整備が最も早い
イギリス発祥のスポーツは、クリケットのほかにラグビー、テニス、サッカーなど数多くありますが、クリケットは1774年にはルールが統一化されるなど、他の競技に比べてルール整備が早くなされました。
1846年にはプロチームが誕生。多くの人が楽しめるスポーツとなっていきます。
また、ルールが統一されたことにより、国際試合も行われるようになります。
1859年には、オールイングランドがアメリカ、カナダに遠征。様々な国との交流が頻繁に行われるようになりました。
ルールがほとんど変わっていない
クリケットのルールが制定されたのは1835年。
世界最古のスポーツクラブである「マリラボーン・クリケット・クラブ」が制定したとされています。
スポーツのルールは改正を繰り返すものですが、クリケットのルールが改正されたのはたったの4回。
多くのスポーツが何度もルール改定しながら運営されていることを考えると、クリケットのルールがいかに最初から整備されていたかがわかります。
日本に伝わったのは明治維新前後
日本にクリケットが伝わったのは、明治維新前後のこと。イギリス海軍によってもたらされたとされています。
そして、日本各地で外国人がプレーするようになり、徐々に日本人へ伝わっていきます。
1898年には、日本初のクリケットクラブ「横浜カントリー&アスレティッククラブ」が誕生。国内最初のクリケットグランドが作られたのです。
このまま発展していくことが予想されましたが、諸外国と異なり、野球をはじめとする他のスポーツの人気が高くクリケットの人気の高まりはみられませんでした。
日本におけるクリケットの発展
日本におけるクリケットの転換期は、1980年。
神戸外国語大学の山田誠教授によって競技を紹介された地元の有志が、クリケットの研究を開始し、初の日本人クリケットクラブを開設したのです。同クラブは約10年間の活動でしたが、同大学ではその功績をたたえ、体育実技にクリケットを取り入れています。
神戸外国語大学のクリケットクラブ誕生から7年後の1987年、慶応義塾大学にクリケットクラブが誕生します。そして、1989年には専修大学と中央大学、1900年には早稲田大学、1992年には東京工科大学、1994年には青山学院大学と聖心女子大学と、多くの大学で活動が開始されていきました。
また、1998年には岐阜県の小学校でクラブが誕生したほか、大学卒業後もプレーを続けるメンバーによって日本人主導の社会人クラブが数多く設立したり、静岡県や愛知県、群馬県や神奈川県では現在も在日外国人が主導してクラブが増えるなど、幅広い年齢層のクラブが全国で増加しています。
まとめ
競技人口がバスケット、サッカーに次ぐ3位と、多くの人に人気のスポーツ、クリケット。
日本国内での規模はまだまだ小さいものの、幅広い年齢層でクラブが増えてきており、今後の展開が期待されます。
(TOP写真提供 = xshot / Shutterstock.com)
《参考記事一覧》
クリケットの歴史(Recreational Cricket Association)
日本のクリケットの歴史(Recreational Cricket Association)
日本ではまだマイナーなスポーツ、クリケット。発祥の経緯や歴史を紹介(SPAIA)
野球の原型はクリケット??クリケット野球との違いとは?(Sposhiru.com)
知ろう!学ぼう!楽しもう!Part⑫(The Japanese Association Singapore)
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