国内最大級のフリマアプリの「メルカリ」が、サッカーの名門「鹿島アントラーズ」とのスポンサー契約を結んだのは2017年のことです。IT関連企業とスポーツチームの契約は珍しいことではありませんが、フリマアプリとの契約はとても珍しいことといえるでしょう。今回の記事では、なぜメルカリがスポーツビジネスに参入したのか、鹿島アントラーズの狙いはどういったものなのか?双方の利益を見ながら解説していきます。
大手フリマアプリ「メルカリ」が鹿島アントラーズのスポンサーに!
2017年4月メルカリが鹿島アントラーズのオフィシャルスポンサーになりました。大手のフリマアプリと、Jリーグの契約は、なかなかありません。
また、メルカリは障害者アスリートを雇用するなどの取り組みも行っており、スポーツ界に足を踏み入れていたのです。
双方のスポンサー契約には「デジタル化」がカギを握っていた!
メルカリと鹿島アントラーズのスポンサー契約には、デジタル化というポイントがありました。
デジタル化の中身として、VRでアウェイの試合を観戦できるシステムの開発や、公式グッズの購入などがあります。
これらの取り組みには、鹿島アントラーズのデジタル路線でサポーターと繋がろうという狙いがあるのです。そのために、IT企業のメルカリと連動しました。
また、スタジアムに高速Wi-Fiを飛ばしたり、顧客にIDをつけてマーケティング活動に役立てたりするなど、デジタル技術を駆使した営業スタイルを確立させようとしています。
そして、鹿島アントラーズのゴールは、市街地を巻き込んで長時間楽しめる場所の提供をすることにあります。
試合時間中だけでなく、試合前後の時間で地域の商店街や観光地を巻き込もうという狙いです。サッカーをきっかけに地域経済を潤そうという狙いです。
舵取りはSkyBall株式会社
「メルカリ」と「鹿島アントラーズ」の両者にとって、橋渡しとなったのが、SkyBallという会社です。
サッカー動画サービスの「サカチャン」を運営するなど、サッカーのデジタルコンテンツを制作している企業です。
また、スポーツチームと企業の契約代理店業務も行っており、スムーズな契約ができるようにしています。
デジタルコンテンツを発信する企業なので、スタジアムに来ないファンにも拡散を狙う。そしてSNSに投稿してもらうといったメディア戦略も打ち出しやすいともいえそうです 。
鹿島×メルカリの目指すものは「世界」という共通点!
鹿島アントラーズとメルカリの共通点は、世界を目指すことにあります。両者とも世界を相手に戦おうという誇り高き団体ということです。
実際に、2016年鹿島アントラーズは、クラブワールドカップで決勝まで進出しています。もう少しで世界の頂点を取れそうでした。
一方で、世界に根付いたサービスを展開しようという「メルカリ」もまた、世界を相手に戦っているのです。
世界一に迫った鹿島と、新たな価値を生み出す世界的市場を創ることに取り組むメルカリは、両者共、世界を相手に戦っている同志なのです。
メルカリが鹿島アントラーズのスポンサーになった理由とは?
ここまでは、鹿島アントラーズがメルカリと契約するメリットについてみてきました。では逆に、メルカリに側にとってはどんなメリットがあるのでしょうか。
スポーツ界に進出した理由
フリマアプリのメルカリは、女性向けのサービスの印象が強いのです。実際のユーザー比率も女性が圧倒的に多く、男性にはそれほど利用されていません。
そこで、サッカー業界に進出することで男性客の獲得を狙ったのです。男性ユーザー認知度を上げるために、男性にとって身近であるスポーツに着目しました。
つまり、メルカリのサービスをスポーツと絡めるビジネスに狙いをつけたといえるでしょう。
障がい者雇用の創出
メルカリが、スポーツ業界に参入した大きな理由として、障がい者雇用の創出があります。メルカリでは、従業員数が増えるほど、障がい者雇用に熱心に取り組む必要があると意識しているのです。
一般的にIT企業だと利用者サポーターで雇用するパターンが多いのですが、メルカリでは、優れた部分に特化して働けることが特徴です。
障がいを持った方でも、自分の強みや得意分野を活かして働くことができるのもメルカリの大きな特徴といえるでしょう。
いかに若い女性を観客席に呼び込むか!?メルカリの考えたスポーツビジネスとは?
鹿島アントラーズは、若い女性を観客席に呼びたい。メルカリとしては、男性の利用客を増やしたい。双方の思惑が一致して契約を結びました。鹿島アントラーズのスポンサーとなったメルカリは、若い女性を観客席に呼ぶことが求められたのです。
両者の客層の違い
メルカリの利用層は、20~30代の女性、鹿島アントラーズの観戦客は30~40代の男性とファミリー層が中心となっています。
このスポンサー契約には、お互いに未開発の客層を開拓するメリットがあるのです。
メルカリの強みを活かしたアピール
メルカリは独自のサービスに鹿島アントラーズ提供品の出品を求めました。その結果、鹿島アントラーズクラブアカウントが作成されたのです。
これにより、公式グッズをメルカリで販売してもらうことが可能になり、メルカリを利用している若い女性にも、鹿島アントラーズの商品が目に入るようになったのです。
出品商品においても、選手とサポーターの距離を近くしました。選手の私物をメルカリに出品してもらうことで、選手との距離が近くなり、応援したくなるように仕向けたといえるでしょう。
また、サッカーに興味がなかった人が、ネットショップがきっかけでスタジアムにきて、その様子をまたSNSで発信すれば、スタジアムに来場する人数を増やし続けることができるということです。
メルカリは、自社サービスとSNSを存分に活用し、スタジアムに人を呼び込もうとしたのです。
サッカーだけじゃない!障がい者スポーツ支援もするメルカリのスポーツビジネス
メルカリのスポーツビジネスは、サッカーだけではありません。障がい者スポーツへの支援も、柱の一つです。
前述の通り、メルカリでは障がい者の雇用も積極的に行っており、これと同様にアスリートへの支援も盛んに行っています。
ITの企業ではまだ障害者スポーツを支援するパターンは少ないのが現状で、しかも多くの場合大企業が行う風潮があるのです。
そこで、新参者の「メルカリ」が力をいれることで、障がい者スポーツへの支援をいろんな企業が積極的に行う風潮をつくりだそうとしているわけです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
フリマアプリとしては国内最大級の「メルカリ」。
自分たちの強みを生かして弱みを補填しようというビジネスの基本を、スポーツビジネスに見出したのです。
そして、「フリマアプリ」という独自のコンテンツを最大限に活用しています。今後も、スポーツビジネスにおけるメルカリから目が離せません。
《参考記事一覧》
鹿島アントラーズ×メルカリが生む、スポーツ界のデジタルイノベーションとは?(AZrena)