ラグビーの人気が高くなりつつある昨今。試合は15人対15人の勝負ですが、チームメンバーの交代について、よく分からない方もいることでしょう。
ラグビーにおいて、交代のルールは編成や場面などによって異なります。また、交代と同義の言葉に「入替」があります。入替とは、戦略的に選手を交代することですが、その具体的な違いについても分からないという方がいることでしょう。
本記事では、ラグビーの交代ルールや入替との違いについて解説しています。
ぜひ、最後までご覧ください。
ラグビーの交代とは
はじめに、ラグビーのプレー人数について解説していきます。
実際のピッチに立つプレーヤーは15人。そのため、実戦では自チーム相手チーム含めて30人のプレーヤーで試合を実施します。試合開始から出場する選手を「スターティングメンバー」、交代要員のメンバーを「サブメンバー」と呼び、このサブメンバーは8人まで登録することが可能です。
まずは、ラグビーの交代について、2つのポイントが挙げられます。
- 編成ルール
- 交代する場面
それでは、詳しくみていきましょう。
編成ルール
メンバーを編成する際に、必要なルールがあります。
競技規則では、ベンチに登録できる23人のメンバーのうち、「フロントロー」と呼ばれるポジションの選手を6名登録しなければなりません。つまり、スターティングメンバーで試合に出る3人と、リザーブメンバーで控えておくフロントローの選手が3人ずつ必要となっています。
フロントローとは、ラグビーにおける前線のポジションであり、サッカーでいうFWのようなポジションのこと。フロントローの選手は、競技規則により、チームで適切な練習や訓練を積んだ人でなければならないとされています。
なぜなら、前線で一番相手選手との接触がある可能性が高く、起用されるメンバーも体格がよい人物であることが多いためです。
交代する場面
選手交代の場面は主に2つです。
- 負傷による交代
- 戦略的交代
1つは、負傷による交代。ラグビーは当然ながら危険な接触のプレーが数多くつきます。選手が負傷し、プレーが継続できない場面では交代を行うことになっているからです。
そして、もう1つは戦略的交代。試合のなかでの流れを変えたいときに、スーパーサブの選手を出すことによって、攻撃パターンの変更や守備固めなどを行うために選手起用を行うこともあるでしょう。
戦略的交代と過去のルールとの比較
戦略的交代を行うことでチーム戦術の戦い方の幅が広がるでしょう。
例えば、前半のうちにリードを大量に奪えたため、後半は失点をしないように守備的選手をいれて試合を引き締めたいといった思惑。また、接戦のため点を取れるような足の速い選手を投入したいといった戦術ができるでしょう。
ひと昔前のラグビーには、選手交代というルールが無く、たとえ負傷したとしてもそのままプレーを続ける必要がありました。
現行のルールでは選手の交代が認められるため、サブメンバーも含めて監督はどのようなチーム編成にするかをより考える必要があります。
交代のルール
チームがレフリーに申告して、交代を行います。
その理由は、任意のタイミングで交代はできず、ボールデットのタイミングで選手交代を行うことが決められているため。そもそもボールデットとは、反則などでプレーが一時的に止まったり、ボールがフィールドラインから出てしまったりしたときに、中断することを意味しています。
また、交代の申告についても、レフリーが認めた場合に交代が許可されます。ちなみに、交代されたプレーヤーはその試合には原則出場できません。
それでは、原則として交代はレフリーに申告して行うことが理解できたところで、ルールについてさらに詳しく解説していきます。ここでは、下記の4つのポイントで交代ルールについて紹介しています。
- 負傷交代
- 一時的交代
- 反則と交代
- 交代した選手の再出場
それでは、詳しくみていきましょう。
負傷交代
レフェリーや医師が負傷を負った選手が、これ以上のプレーを継続できないと判断した場合は交代になります。このように判断された選手は、ピッチから離れるように審判から指示を受け従うルールです。
また、接触による脳震盪を起こした場合も、同様の判断が下されることがあるでしょう。ちなみに、1度この指示受けると、その試合において負傷した選手は戻ることができません。
一時的交代
負傷時の交代についても、一時的交代というルールがあります。これは、選手が出血を伴った負傷を負った場合に適応されるルール(ブラッドビン)になるためです。
そもそも、ラグビーのルールでは、出血した状態でのプレーは認められていません。もし選手が負傷で流血した場合は、控え選手と一時的に交代して処置を行ってから再度プレーに戻ることができます。
そして、この一時的交代で負傷した選手が、15分以上プレーに戻ることができなかった場合は正式な交代としてみなされます。
一時的交代では、ハーフタイムを含めて処置に時間がかかる場合もあるでしょう。その場合、後半開始時に負傷した選手がプレーに戻らないときに正式な交代となります。
反則と交代
反則についても交代ルールと無関係ではありません。
そもそも、ラグビーの反則でイエローカードをもらった場合は「シンビン」となり、その選手は10分間の一時退場となります。
シンビンとは、悪質なプレーだと判断される場合や危険行為、故意な反則プレーを繰り返すこと。さらに、イエローカードを2枚もらった場合は、退場処分になります。
ちなみに、シンビンや退場処分になった場合は、その選手と交代させて選手を出場させることはできません。1人少ない人数でプレーすることになり、そのチームは不利な状況でプレーすることになるため、注意しましょう。
交代した選手の再出場
戦略的に交代されたプレーヤーは、基本的に再度試合に出場することはできません。そのため、選手を交代する際は、下記のポイントが重要な判断基準となります。
- 試合中の流れを変えたいとき
- 得点して確実に勝利したいとき
1度、戦略的に交代した選手は、再出場できないのがラグビーのルールです。
しかし、前述の通り、負傷したプレーヤーと交代することを例外的に認められるときもあります。
交代と入替の違い
選手の「交代」と同義の言葉で、「入替」があります。ここでは、ラグビーにおける交代と入替の違いについて解説していきます。
交代
交代は、負傷による交代を指します。
負傷による交代は、レフェリーが「負傷した選手がこれ以上プレーを続けない方がよい」と判断した場合に行うもの。前述しましたが、負傷による正式な交代が認められた選手は、その試合でもう一度プレーすることはできません。
また、脳震盪を起こした場合のプレーヤーも同様になります。
しかし、「ブラッドビン」による出血を伴う一時的交代は処置(止血やテーピングなどの傷の処置)が終わり次第、再度の出場が認められることがあります。
入替
入替は、戦略的な選手交代がこれにあたります。
戦略的な選手交代は、最初にも触れた通り、選手の疲労度や攻撃パターンの変更、守備固めなどの場面を考慮してチームがレフェリーに対して申告して行うもの。負傷による交代ではありませんが、一度入替を行った場合も原則その選手がもう一度その試合に出ることはできません。
しかし、負傷したプレーヤーがいてその選手と交代する場合のみ再度出場することが認められることもあります。
まとめ
今回は、ラグビーの交代ルールや入替との違いについて解説してきました。
ラグビーは、戦略的交代や負傷による交代など、交代だけでも多くのルールがあることについて、深くご理解いただけたのではないでしょうか。
これだけ細かいルールが決められている理由は、ラグビーは常にケガとのリスクと隣り合わせであるため。近年はラグビーのレベルが上がり、負傷交代だけでなく、サブメンバーを強くして戦略的に交代して場面を変えるなどの交代のバリエーションも増えてきました。
奥が深いラグビーの世界、みなさんも交代の場面にぜひ注目して観戦してください。
(TOP写真提供 = Quino Al / Unsplash.com)
《参考記事一覧》
ラグビーの人数は?スタメン・交代人数は?アメフトとの違いは?(STARLINE フィットネス通販SHOP)
【意外と細かい?】ラグビーの選手交代のルールについて解説!(ラガー道)