クロスカントリーやアルペンスキー、ジャンプやノルディック複合など、6つの種類に分けられるスキー競技。
ゲレンデでスキーを楽しんでいるひとはもちろん、冬季オリンピックなどで選手の競技する姿を観るのが好き、という方も少なくないでしょう。
本記事では、スキー競技にはどういう種類があるのか、分かりやすく解説。歴史やルールなどについても紹介しています。
ぜひ、最後までご覧ください。
スキー競技とは
そもそもスキーとは、ノルウェー語で「薄い板」を意味する言葉。
雪上をより素早く降りるために専用の板を足に履いて移動する交通手段であり、狩人が獲物を追って雪の山野を移動するための手段として考案されました。
スキー競技誕生の歴史について、詳しくみていきましょう。
スキー競技の歴史
もともと移動・交通手段であったスキーが、スポーツやレジャーとして楽しまれるようになったのは19世紀のこと。
1870年代に移動の速さや飛距離を競うスキー競技となり、1879年にはノルウェーのクリスチャニアオスロでスキー競技初の大規模なスキー大会が行われました。
1900年代になりスキー競技の技術が発展し、そのころから速く滑ったり遠くに跳んだりするための新技術やスキー用具の開発にも注目が集まりました。
オリンピックとスキー競技
スキー競技は、冬季オリンピックの第1回大会から採用されていますが、1924年にフランスのシャモニーで行われたオリンピックでのスキー競技の種目は
- スキージャンプ
- クロスカントリースキー
- ノルディック複合
の3種目。
スキーがスポーツやレジャーで広く親しまれているのは、オリンピックでスキー競技を多くの人が目にするようになったことがきっかけともいわれています。
スキー競技は大きく分けて6種類
第1回冬季オリンピックでは3種目だったスキー競技ですが、現代では大きく分けて
- アルペンスキー
- クロスカントリースキー
- スキージャンプ
- ノルディック複合
- バイアスロン
- フリースタイルスキー
の6種類に分けることができます。
1つずつ、詳しくみていきましょう。
アルペンスキー
アルペンスキーは、スキーの原型であるノルディックスキーから分化し、ヨーロッパアルプス地方で20世紀になって発展したスキー競技のこと。
雪の斜面に旗門(2本1組の旗またはポール)を立て、その旗門に沿って斜面を滑り降りるタイムを競います。
アルペンスキーは、旗門数、旗門のインターバル、コース長、標高差によって、さらに種目が分かれます。
アルペン競技のなかでもコースが長く、ターン弧が大きいのが「ダウンヒル(滑降) 」。そのダウンヒルと同じく高速となる種目で、旗門のターン設定がより小さくなっているのが「スーパー大回転」です。
この他、旗門のセッティングが異なっている2つのコースで滑り、その合計タイムで順位を競う「ジャイアントスラローム」や旗門がポールだけとなっている「スラローム」といった種目があります。
また、1日でダウンヒルかスーパー大回転とスラロームの行う複合種目の「アルペンコンバインド(複合)」や男女混合のチームを編成してトーナメント方式で競う「混合団体」など、さまざまな種目があります。
クロスカントリースキー
クロスカントリースキーとは、雪の積もった野原や丘、森林の中といった多種多様な長距離コースを自身の脚力だけで走破してタイムを競う競技。雪上での移動・交通手段として生まれたスキーの原点ともいえる種目です。
クロスカントリースキーは、
- ディスタンス種目
- スプリント種目
- リレー種目
の3つに分けることができます。
走法技術に制限がない「フリー」で行う種目やスキーを平行に前後に動かして滑らせ前進する走法の「クラシカル」で行う種目、そして、混合種目があります。
また、1チーム3~4名の複数選手でチームを構成し、チームの最終走者の着順で順位が決定するリレー種目もあります。
スキージャンプ
ジャンプ台からジャンプし、飛距離点(飛んだ距離)と飛型点(空中でのフォーム、着地のテレマーク姿勢)の合計点で順位を競うのがスキージャンプです。
ジャンプ台の大きさや形、助走距離の長さやK点までの距離などによって
- ノーマルヒル(K点90m)
- ラージヒル(K点120m)
- フライングヒル(K点180m以上)
に分けられ、個人戦と1か国4名で出場する団体戦で競います。
ノルディック複合
スキージャンプとクロスカントリーの2種目の成績によって順位を争うのがノルディック複合。
個人戦と4人でチームを編成する団体戦とがありますが、どちらも、まずはジャンプを行い、得点差をタイム差に換算します。そして、そのタイム差にしたがってクロスカントリーをスタートする、という流れです。
バイアスロン
バイアスロンは、クロスカントリースキーとライフル射撃を組み合わせたものであり、近代2種とも呼ばれています。
選手は30秒間隔で出発。コースを5周して周回ごとに伏射、立射、伏射、立射の順で4回の射撃を行うのが「個人(インディヴィデュアル)」。そして、周回ごとに伏射、立射の順で2回の射撃を行い、外した弾1発につきペナルティループを1周する「スプリント」や「個人追い抜き(パシュート)」があります。
この他、全選手が一斉にスタートする方式の「マススタート」や男子2名・女子2名の4名混合で行う「ミックスリレー」「スーパースプリントクオリフィケイションファイナル」といった種目があります。
フリースタイルスキー
フリースタイルスキーとは、ハーフパイプやグラトリなど、回転したり空中で飛ぶ競技のこと。
モーグルやエアリアル、スロープスタイルやハーフパイプ、スキークロスなどがあります。
それぞれについて見ていきましょう。
モーグル
モーグルは、斜面に設けられたコブを滑り降りながらエアトリックを行う競技。
タイムとターン、そしてエアトリックの技術で採点し、合計点数によって順位を競います。
エアリアル
エアリアルは、競技専用のジャンプ台から飛び出し、ジャンプの高さと着地の精度、空中での演技の技の難易度や完成度で競う種目です。
スロープスタイル
スロープスタイルは、斜面に連続的に設置されたジャンプ台やレール、ボックスなどを使ってトリックを組み合わせて演技を行うもの。
ジャンプの高さやトリックの難度・完成度、全体の印象で競います。
ハーフパイプ
ハーフパイプは、パイプを半分にカットしたような斜面の左右の壁を使ってトリックを行い、ジャンプの高さやトリックの難易度・完成度で競い合う種目です。
スキークロス
スキークロスは、アイテムが設置されたコースを複数人で同時に滑って先着を競うスキーの障害物レースともいえる種目です。
見どころ
スキー競技は、それぞれの種目によって見どころが異なります。
スピードで競うアルペンスキーでは、スピードと選手たちがどれだけタイトなラインで速いタイムを狙っていくかの技術面が見どころ。そして、スキージャンプではスピードに加えて、迫力のあるジャンプとそのジャンプの美しさが見どころといえるでしょう。
さらに、クロスカントリーの見どころは、何といっても選手同士の駆け引きです。フリースタイルはトリックを競う種目が多いため、選手がどんなトリックをするのかが見どころになります。
まとめ
冬季オリンピックの競技の1つであるスキー競技。
観戦しているけれど、それぞれの競技の違いは知らなかったという方もいることでしょう。
それぞれの競技の特徴を知ると、面白さや魅力が分かるもの。
スキー競技についての理解を深めてみてください。
(TOP写真提供 = kovop58 / Shutterstock.com)
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