高騰するワールドカップ放映権料|なぜ高くなっているのか徹底解説!

ワールドカップが開催されると、当たり前のようにテレビでの放送がありますが、その放映権料の高騰に放送局は悩まされています。

今回は、ワールドカップの放映権料は

  • 実際にいくら掛かっているのか
  • 高騰する理由は?
  • これからの展望は?

を紹介します。

ワールドカップの放映権について理解が深まる内容になっているので、ぜひご一読ください。

高騰が止まらないワールドカップの放映権料

写真提供 = ThomasDeco / Shutterstock.com

世界的なスポーツイベントであるワールドカップ。

テレビで放送すれば高視聴率が期待できるコンテンツであり、経済効果も大きいとされています。

しかし、その放映権料が高騰し、各テレビ局が悲鳴を上げているのです。

2002年の日韓大会より始まった制度により、JC(NHKと民放の作る共同制作機構)が、電通を通してFIFAから放送権を購入。民放でもワールドカップを放送できるようにしたことが、放映権料高騰の大きな理由となっています。

1970年開催のメキシコ大会と比べると750倍!?

ワールドカップロシア大会で、JCはFIFAに約600億円支払いました。

日本で初めてワールドカップが放送された1970年のメキシコ大会の放送料は8000万円だったことから、750倍もの金額になったといえます。

ここまで高騰したきっかけは、2002年に開催された日韓ワールドカップです。日韓ワールドカップ以前は、FIFAはNHKにのみ放映権を販売していて、98年のフランス大会の放映権料は6億円でした。

2002年の日韓ワールドカップの際に、JCが電通を通して放映権を購入するようになると、放映権料が高騰しはじめます。

その額、2002年開催の日韓大会が60億円、2006年開催のドイツ大会が140億円、そして、2010年開催の南アフリカ大会が170億円。2018年開催のロシア大会では約600億円となりました。

放送開始当初に比べて750倍もの額になったのは、放映権購入の仕組みがかわったことが背景にあるといえます。

2018年開催のワールドカップロシア大会の放映権料は前大会の1.5倍

前述したとおり、2018年のロシアワールドカップでは、600億円もの放映権料を支払いました。

2014年のブラジル大会は400億円ほどだったので、約1.5倍に膨れ上がっています。

このように、ワールドカップの放映権料は、年々高騰し続けているのです。

ワールドカップの放映権料が高騰する理由は?

前述のとおり、ワールドカップの放映権料はどんどんと高騰しています。放映権料が高騰する理由には、放映権料の購入方法が変化した以外に、大会の大型化が挙げられます。

ロシアワールドカップでは、出場した全チームへ準備金として150億ドル(約1億6500万円)、そして、1次リーグで敗退したチームにも800万ドル(約8億8000万円)が支払われました。

ちなみに、日韓大会では準備金が7500億円、1次リーグ敗退で3億4500万円が支払われましたが、ロシアワールドカップと日韓大会を比べてみると、準備金と1次リーグ敗退のチームに支払われる金額も高額になっているといえます。

こうした莫大な費用の捻出を、FIFAは放映権料に大きく頼っているのです。

また、途上国などへのボールやサッカー用品の寄付などの費用も、放映権料によって賄われています。

ワールドカップの放映権料の高騰で撤退するテレビ局も

ここまで紹介してきたように、ワールドカップの放映権料は高騰してきていますが、放映権料の高騰によって放送から撤退するテレビ局もあります。

放映権料の高騰によって放送から撤退したのがスカパーやテレビ東京です。

スカパーは、2002年(日韓大会)、2006年(ドイツ大会)、2010年(南アフリカ大会)と3大会連続で放映していましたが、2014年のブラジル大会は、放映権料が高騰していることを理由に撤退しました。

テレビ東京も放映権料の高騰によってロシア大会の放映を断念しましたが、このような放映権料の高騰には、民放各局も悩んでいます。

民放連は、南アフリカ大会から3大会連続で、Wカップにおける民放収支が赤字になったと発表。放映権料と番組制作費が、収入を上回ってしまったのです。

ワールドカップは、たしかに数字の取れるコンテンツです。

しかし、放映権料の高騰によって赤字を生んでしまうコンテンツともいえます。

また、ネット配信サービスが広まるにつれ、放映権料が高騰し続けると、有料のメディアでしかワールドカップ観戦が出来ない時代が来るかもしれないという危機感を持っている関係者もいます。

ちなみに、ブラジル大会では全世界の放映権料が2000億円。

日本が支払ったのが400億円なので、実に5分の1の金額を日本が負担していました。割合としては高めですが、その分、日本時間を考慮した試合時間の決定などもありました。

たしかに、高騰する放映権料は痛手ですが、それを支払うことで、日本の放送局に融通を効かせてもらうことができるのです。

ワールドカップの放映権料の高騰はこれからも続く!?

ワールドカップの放映権料の高騰は、これからも続くと予想されています。

その背景には、ワールドカップの出場国が増えることも関係しているのです。

2026年に開催されるワールドカップは、出場国が現在の32ヵ国から48ヵ国に増加。

出場国や地域が増えることで試合数が増え、放映権料が高騰するとされています。

まとめ

ワールドカップの放映権料は、高騰を続けています。

大会の存続やFIFAの収益のためには必要なことですが、放送局の負担は増える一方です。

こうした流れの中で、放送を諦める放送局もあるほど。

一部の有料配信サービスでは、積極的にサッカーの放送を取り入れていく傾向もあり、ワールドカップがいつまで無料で観戦できるのかにも注目が集まっています。

(TOP 写真提供 = Vinicius Bacarin / Shutterstock.com)


《参考記事一覧》

W杯放送局は赤字確定? 放送権料48年で750倍(日刊スポーツ)

止まらないW杯の膨張体質を支える放送権料 FIFAの収入の約62%は放送権料(gooブログ)

日本のワールドカップ放映権料の恐るべき高騰っぷりと今後の展望~NHKと民放は赤字確定と嘆いています~(国際会計士が運営する会計士の業界と転職情報の専門サイト)

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