2025年大阪・関西万博において、「Sports Future Lab ~スポーツがつくる未来」が2025年9月3日から8日にかけて開催されたなか、スポーツ庁の国際展開支援プラットフォーム JSPINでは9月4日にJSPINカンファレンス「Link the World with Sports ~スポーツで世界とつながる未来~」としてステージイベントを開催。その様子をJSPIN事務局がレポートする。(初出=JSPIN)
一般来場者にも公開。約140名が聴講
「Sports Future Lab」は、スポーツが持つ可能性を多角的に発信することを目的としたスポーツ庁によるステージ企画である。競技力や健康、教育、テクノロジー、文化、地域振興など、スポーツを通じて未来社会のあり方を探る場として、国内外の関係者はもちろんのこと、一般来場者にも開かれた空間となった。

JSPINでは、「Sports Future Lab」のステージにおいて、スポーツを通じて日本企業が世界とつながる可能性を来場者に伝えることを目的に本イベントを開催した。国際的に活躍する企業の事例紹介や、スポーツを活用した企業の海外展開の取組を講演と展示を通じて紹介し、スポーツが生み出す国際的な価値を体感してもらう設えとした。
当日はビジネス関係者に限らず、観光客や親子連れなど多様な来場者が訪れ、約140名が会場に集まった。ステージ上での講演に耳を傾け、展示物を自由に鑑賞することで、スポーツが持つ広がりと可能性に触れるひとときとなった。

F1が示すグローバルなスポーツの力
最初の講演では、ホンダモビリティランド株式会社の上甲哲洋氏が登壇し、「F1のグローバルインパクトとビジネスとしての価値」について紹介した。
F1はスピード、チームワーク、革新技術という要素を融合したグローバルコンテンツであると同時に、世界中におおよそ16.5億人の視聴者がおり、SNSフォロワー数は9,700万人を超えるなど、国際的な影響力を有する世界有数のエンターテインメントでもある。サステナビリティへの取組、若年層へのアプローチ、アジア市場への展開など、F1が多様な分野において価値を生み出していることが語られた。
特に日本グランプリは、海外からの来場者が全体の約3割を占めるなど、地域と世界をつなぐイベントとしての役割が強調された。国内最大級のスポーツイベントである日本グランプリは、地域経済への貢献だけでなく、国際的な交流の場としても高い評価を受けており、F1というグローバルコンテンツが日本の地域と世界を結びつける架け橋となっていることが印象的だった。


ミズノが描く未来の共創社会
続いて、ミズノ株式会社の村田一雄氏による講演では、「いのちの遊び場 クラゲ館」のユニフォーム制作に関する取組が紹介された。
クラゲ館は、2025年万博のテーマ事業「いのちを高める」の一環として設置されたパビリオンであり、STEAM教育を軸に、子どもから大人までが遊びながら学び、命の輝きを感じる空間として企画された。
ミズノはこのコンセプトに共感し、ジェンダーレス・エイジレスなユニフォームを制作した。多様性と包摂性を尊重する社会の実現を目指したデザインであり、総合スポーツ用品メーカーとしての技術力を活かして、暑さ対策や機能性にも配慮されている。
ユニフォーム制作にあたっては、クラゲ館の思想に寄り添いながら、アートディレクターやプロジェクトチームと密に連携し、素材・色・形状に至るまで細部にこだわった。クラゲ館のスタッフが本イベントに参加したことも、来場者との交流を深める要素となり、イベントの魅力を一層引き立てるものとなった。


講演内容と連動した製品・取り組みの展示も
講演終了後には、ステージ内に設置された展示物の自由鑑賞・写真撮影の時間が設けられた。この時間は、両社の講演内容と連動する形で構成され、来場者が実際の製品や取組に触れながら理解を深めることができるよう工夫されていた。
ホンダモビリティランドの展示では、F1の魅力を伝えるために世界で活躍する選手が着用しているレーシングスーツやヘルメット、さらには鈴鹿サーキットをモチーフにしたブロック模型が設置された。講演内容とリンクする展示物により、見聞きするだけでなく「間近で感じる」体験を通じて、来場者は日本が世界とつながるスポーツの現場を身近に感じることができた。
ミズノの展示では、2025大阪・関西万博の公式ライセンス商品として制作されたアイテムの一部を来場者が間近で見ることができた。また、講演中に紹介されたクラゲ館のスタッフが展示の時間に残り、写真撮影に応じた。講演で語られた制作の背景やコンセプトが実際の着用者を通じて具体的に伝わる展示となっており、来場者にとって印象深い体験となった。

スポーツが持つ社会的価値の広がりを実感
ホンダモビリティランドの講演は、スポーツ産業が国際的な課題解決や文化交流のきっかけとなることを改めて認識する機会となった。特に若年層やアジア市場へのアプローチは、スポーツの未来を考えるうえで重要な視点である。
一方で、ミズノの講演はスポーツ企業が教育や文化の分野にも貢献できる可能性を示す好事例であり、インクルーシブな視点が印象的だった。スポーツが持つ社会的価値の広がりを実感する内容となり、参加者にとっても新たな気づきのある時間となった。
今回のカンファレンスは、大阪・関西万博という世界中から多くの人達が集まる機会を利用して、JSPIN事業の取組を一般来場者に広く紹介する貴重な機会となった。スポーツを通じて世界とつながる可能性を、具体的な事例とともに伝えることで、国際展開の意義をより多くの人々に届けることができた。
JSPINでは、スポーツの力を活かし、日本企業の国際的なつながりを広げる取組を今後とも継続していく。
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