U-17日本代表入りの選手も。日本サッカー協会が取り組む、国境を超えた「タレント発掘プロジェクト」

自国にルーツを持ちながら、海外で生まれ育った結果、他国の代表を選択する。欧州で一昔前から聞かれたこの現象は日本でも現実味を増し、いわゆる“貴重なタレントの国外流出”がひとつの課題となっている。

その状況に歯止めをかけようとしているのが、日本サッカー協会(JFA)と株式会社SCOグループが共同で推進するプロジェクト「JFA×SCO GROUP「FUTURE CAMP」inspired by BLUE LOCK」だ。グローバル化が加速する現代サッカーにおいて、より重要性が増していく国境を越えたタレント発掘とその育成。そのプロジェクトの背景、成果、そして今後の展望が、今月開催された「Global Sports Business Summit 2026 presented by SCO Group」で明かされた。

世界のサッカー界は急激に変化。タレント発掘が急務

講演に登壇したJFA×SCO GROUP「FUTURE CAMP」inspired by BLUE LOCK チーフコーチの平田礼次氏(JFAコーチ)は、まずプロジェクト発足の背景にある世界のサッカー界の急激な構造変化を解説した。

近年、ワールドカップ出場選手のうち約25%が生まれ故郷とは異なる国の代表を選択しており、国境を越えたタレントの囲い込みが激化している。さらに、FIFA U-17ワールドカップが毎年開催へ移行。世界各国で若き才能に目をつけるスピード感が劇的に変化した。

「日本にルーツを持ちながら海外で暮らす子どもたちは、現地で日本サッカーファミリーとの接点を持ちにくく、孤独感を抱えているケースも多い。彼らに日本代表への道筋を示し、世界規格の才能をすくい上げることが急務だった」(平田氏)

JFA×SCO GROUP「FUTURE CAMP」inspired by BLUE LOCKチーフコーチを務めた 平田礼次氏(JFAコーチ)

米国カリフォルニアに集結した34名の若者たち

第1回セレクションキャンプは、2026年8月3日から6日までの4日間、日系コミュニティの厚い米国カリフォルニア州で開催された。米国内外から届いた432名の応募映像から、選考を経て選ばれた34名の選手(中学2年~高校2年世代)がキャンプに参加。才能ある選手が一か所に集まり、集中的なトレーニングと適性診断が行われた。

キャンプ参加当初は、英語や日本語、フランス語が飛び交う中で固さが見られた選手たち。しかし、彼らはピッチ上でボールを蹴り合い、食事を共にする中で瞬く間に打ち解けていく。どこに住んでいようと、サッカーという共通言語を持つ強みを実感する瞬間だ。

選手たちは、憧れの目で日本代表への想いと、このキャンプに参加して手にした実感を語る。「将来の夢は日本代表になってワールドカップに出ること」「JFAの未来に期待しているのでプロジェクトに参加しようと思った」「このキャンプでみんなと仲良くなれてよかった。一生の思い出になると思う」。

保護者からも「息子はアメリカ生活が長いので、同じようにアメリカで活躍している子どもたちと力を合わせて上手くなっていくこと、JFAとの関わりは今まで考えられなかったので、すごくいいチャンスをもらえている。アメリカに住む子どもたちに夢を与えてくださっている企画だと思います」という声が聞かれた。

第1回のキャンプには34名が参加した。

圧倒的なポテンシャル。早速U-17日本代表入りの選手も

今回のキャンプにおいて関係者を最も驚かせたのは、その成果の早さだった。参加した選手の中から日本代表を輩出する――これはプロジェクトが目指すひとつのゴールだったが、早速U-17日本代表に選ばれた選手がいる。

元々このプロジェクトがロールモデルとして設定していたのがGK村松秀司だった。昨年U-17W杯でベスト8に貢献したキャプテンは、米Los Angeles FCで活躍する選手であり、今回のキャンプにも来場し参加選手に対してレクチャーを行っている。

そして実際に今回のキャンプ参加者からも、Ken Meyer Kawaharaが9月19日〜29日にリモージュ国際大会(フランス)を戦うU-17日本代表に招集された。196cm・86kgと恵まれた体格を持つセンターバックを、平田氏は高く評価している。

「日本の同年代の平均をはるかに凌ぐ圧倒的なフィジカルポテンシャルを持つ選手、スケールの大きな選手が海外の環境に眠っていた。映像だけのスクリーニングでは見落としていたかもしれない才能と、直接出会えたことのインパクトは計り知れません」(平田氏)

米国カリフォルニアで生まれ育ったGK村松秀司(U-17・U-19日本代表)はロールモデル。

一過性で終わらせない。データ追跡で描く未来

今後の展望として、平田氏は一回限りのキャンプにとどまらない「持続可能なデジタルネットワーク」の構築を掲げた。現地でのパフォーマンスデータや映像を継続的に追跡・分析できるようにし、世代別日本代表の監督たちがリアルタイムで成長をウォッチできる体制を整えていく予定だ。

平田氏は「タレントI&D(Talent Identification & Development:選手の適性を診断・把握して育成につなげること)の本質は、優れた才能と優れた指導者が出会う機会を作ること」だと総括する。

「FUTURE CAMPを通じてグローバルなタレントプールを拡大し、海外で挑戦する若き日本ルーツの才能たちの夢を後押しする。それとともに、日本サッカー全体の可能性を、どこまでも広げていきたいですね」(平田氏)

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第1回セレクションキャンプの様子は以下の動画からも確認できる。

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