Jリーグ創設時から加盟する“オリジナル10”の一つ、ガンバ大阪。今年5月にはクリスティアーノ・ロナウドを擁するアル・ナスルFC(サウジアラビア)を破ってAFCチャンピオンズリーグ2(ACL2)を制覇し、主要タイトル通算10冠目を手にした。
8歳の頃から同クラブのサポーターだという松原俊輔さんは1年前、HALF TIMEの転職支援サービスを通して、当時25歳で金融業界からガンバ大阪への転職を決めた。広報という職種も未経験ながら飛び込んだスポーツ業界での奮闘、そして自身のキャリアと転職活動について、本人に伺った。
◇松原 俊輔(まつばら・しゅんすけ)さん
株式会社ガンバ大阪 広報
新潟県出身。立命館大学スポーツ健康科学部卒業後、関西の地銀に就職。法人営業として3年間働いた後、ガンバ大阪に転職。チーム広報として入社後、現在は事業広報を担当している。
憧れのクラブで働く「夢の仕事」。25歳の決断
「もともとガンバ大阪サポーターだったので、応募に際してはためらいの気持ちもありました。これまでは知らなかった裏側を見てしまうことになるかもしれない…そういう怖さもあったんです」
当時を振り返りそう笑うのは、昨年6月からガンバ大阪に転職し新たなキャリアを築く松原俊輔さんだ。
「ガンバがめったに求人を出さないことはサポーターながら知っていましたし、担当コンサルタントの磯田さん(磯田裕介:HALF TIME代表)から『夢の仕事ですよ』という言葉をもらったことで決心がつきました」(松原さん)
新潟で生まれ育った松原さんは、8歳のころに熱烈なガンバ大阪サポーターとなった。2008年当時、AFCチャンピオンズリーグ(ACL/現AFCチャンピオンズリーグエリート)でアジア初制覇を果たし、FIFAクラブワールドカップではクリスティアーノ・ロナウドやウェイン・ルーニーらを擁するスーパースター軍団のマンチェスター・ユナイテッドを相手に堂々と撃ち合いを演じた。
西野朗監督(当時)の下、超攻撃的スタイルの美学を貫いてピッチで躍動する選手の姿に心を奪われたのだった。
「ガンバ大阪を知らない人に届ける」広報のミッション
26歳となった松原さんは現在、その憧れのクラブで広報の業務に従事している。
プロスポーツクラブにおける広報は、選手や監督などチームに帯同して競技サイドの情報を発信するチーム広報と、ビジネスサイドの発信を行う事業広報に大別される。いずれもファンづくりから事業・経営への貢献を最終的なゴールとして、その入り口となるような情報発信を行っている。
松原さんの場合、入社1年ほどは主にチーム広報を担当した。例えば試合のある日はメディア対応や記者会見の運営、SNSでの発信や、試合のない日はメディアとの取材調整、原稿確認などを行うなど、「広報の経験がまったくなかった中で、チーム広報としての業務を一通り経験させてもらった」(松原さん)。
現在は主に事業広報を担っている。これまでガンバ大阪の広報活動は競技サイドの情報発信が中心だったが、近年はクラブの事業活動や社会貢献活動、ホームタウン活動などを発信する重要性も高まっている。
クラブは今年2月に初となるコーポレートレポート「GAMBA OSAKA REPORT 2025」を発行。競技成績だけでなく企業としての取り組み内容や実績など、事業面・経営面を含めたクラブ全体の活動を掲載したもので、「企業が透明性を担保して信頼性を高めることは世の中から強く求められている」(松原さん)と、ステークホルダーから大きな反響があったことに手応えを感じているという。
地銀で3年働いた後、スポーツ業界への転職を決意
松原さんがスポーツビジネスの道を志したのは、大学生のころだった。もともとはスポーツトレーナーになりたいと考えて立命館大学スポーツ健康科学部に入学したが、授業でスポーツ経営やスポーツマーケティングを学ぶにつれて「スポーツを通じて地域社会の発展に貢献したい」(松原さん)と考えるようになった。
だが、スポーツビジネスの道に進むのであればJリーグクラブと思ったものの、当時、新卒採用を公募しているクラブは見つけることができなかった。
そこでまずは、関西圏を拠点とする地方銀行に就職。幅広い業種のビジネスモデルや企業経営について学べること、金融サービスを通じて地域社会の発展に貢献できること、そして、「関西勤務でガンバのホームゲームを見に行ける」(松原さん)ことがその理由だった。
入社から3年、転機が訪れる。預金、融資を経て法人営業として多くの経営者と話す機会が多くあった中で、事業について熱く語る姿、興味のある分野に真摯に向き合う姿勢に感銘を受けた。「やっぱり大好きなスポーツを仕事にしたい、チャレンジしたいという思いが強くなりました」(松原さん)。
転職活動の面談で紹介された、ガンバ大阪の求人
転職活動を始めた松原さんはHALF TIMEの求人サイト上で、とあるJリーグクラブの求人を見つけた。早速応募して、担当コンサルタントの磯田裕介(HALF TIME代表)と面談する中で、それとは別のガンバ大阪の求人を紹介された。
HALF TIMEでは、求人サイト上に掲載されている求人に加え、応募者の経歴や適性、また企業やクラブの採用ニーズに応じて個別に求人を紹介するケースがある。松原さんの場合、異業界ながら社内外で多くの人と接しながら仕事を進めた経験、大学でスポーツビジネスを学んでいた素地、そして好きなことを仕事にする覚悟があったこと、またクラブ側が若くてポテンシャルのある人材を求めていたことから、ガンバ大阪の求人が紹介されるに至った。
「磯田さんは最初の面談から本当に真摯に向き合ってくださいましたし、その後も企業との面接が終わるたびに丁寧なフィードバックをいただいたり、励ましていただいたりしました」(松原さん)
転職活動をする中で、応募者ではなく求人元の企業や自社の利益を優先しているように感じたエージェントもあったという。だがHALF TIMEでは、自分のキャリアに対して誠実に向き合ってくれた印象が強く残っている。
「企業の温度感まで伝えてくださったのは磯田さんだけでした。スポーツ団体が求める人材像に対する理解が深くて丁寧に説明してくださり、『この求人は難しい』という場合には素直に伝えていただけたこともすごく安心感がありました」(松原さん)
結果的に、自ら見つけて応募した求人ではなく、ガンバ大阪の求人を紹介された松原さん。コンサルタントからのアドバイスが面接に有用だったとも振り返る。
「新潟にいたころからサポーターだったこと、そのために関西の企業に就職したことも伝えた方がいい、強みになる、と助言をいただきました。実際にクラブとの面接では『珍しいね』と(笑)。熱量は伝えられたのかなと感じます」(松原さん)
松原さんの場合、トップチームや選手はもちろんだが、クラブ全体に対する愛情が深く、ガンバ大阪をより良くしたいという意欲が強かったからこそ、このアピールが効いたのだろう。実際、サポーターであったことが広報での仕事にも生きたという。
「例えば、試合が終わったタイミングでSNSではこの選手の声を聞きたい、こういう写真を見たい、こういう投稿をしたら反応があるだろうなどと、ファン・サポーター視点での発信もできたのかなと感じています」(松原さん)
「プロスポーツクラブは若い人材を求めている」
実は当初、「ホームタウン担当」の募集に興味を持っていた松原さん。選考を進める中で広報という仕事の魅力を知り、最終的に広報としてガンバ大阪に入社した。
とはいえ、ホームタウン活動であれば「地域社会に貢献する」という銀行時代の法人営業と通じるものがあると感じていたが、広報となると別。「自分がどう役に立てるのか」(松原さん)と少なからず不安があったというが、この1年間、新米広報として奔走するうちにこれまでの経験が生きていると感じるようになった。
銀行の法人営業では、「この企業にはどんな経営課題があるのか」「銀行として何を提供すれば解決できるか」を考えて仕事をしていた。今は広報という立場から「グッズやグルメ、ホームタウン活動など他部署とのミーティングに参加する中で、それぞれ課題を見つけて提案するというプロセスが法人営業とすごく似ている」(松原さん)。
銀行時代には、自部署・他部署だけでなく、顧客である経営者など多くの人を巻き込んで案件を進める場面も多く、そうした調整や合意形成の方法論は、現在メディアとクラブ、ファン・サポーターをつなぐ広報業務にも生かされている。「これまで培ってきた経験が現在の業務につながっている」(松原さん)という実感があるという。
銀行とプロスポーツ、法人営業と広報。一見すると類似性が低いように見えるが、これまでに培ってきた経験を抽象化して今の業務との共通点を見いだすことで、未経験の分野であっても活躍できるということがよく分かる。
松原さんは20代半ばでスポーツ業界への道を切り拓いたが、強く感じるのは「プロスポーツクラブは若い人材を求めている」ということだという。
「異業種でのスキルや知識、経験はもちろんですが、やはり若い世代の感覚や新しい視点はすごく求められている」(松原さん)。“未来のコアファン”へとつながる若年層の取り込みは、プロスポーツクラブにおいて重要な命題でもあるからこそ、かかる期待も大きい。
松原さんは自らの情熱に従い、勇気を持って飛び込んだ。だからこそ充実した毎日を過ごせている。
「ホームゲームには多くのファン・サポーターの方々が応援に駆け付けてくださり、その中でピッチに立って仕事をできるというのは、スポーツ業界でないとなかなか経験できるものではありませんし、すごく幸せなこと。他の若い人たちにもぜひチャレンジしていただきたいですね」(松原さん)
担当コンサルタントの分析
HALF TIME株式会社
代表取締役 磯田裕介
面談を通して感じた松原さんの特徴は、自身の好きなことを仕事にしようとする覚悟があったことです。大学時代からスポーツ業界への強い関心がありスポーツを学ばれ、異業界で3年経験を積んでいざという転職は、最も企業側からの採用ニーズが高いタイミングです。「絶対にガンバ大阪という自身が情熱のあるクラブで活躍するんだ」という覚悟が面接でも伝わり、このようなご縁となったのだと思います。
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