企業スポーツ脱却でプロ化に向けて組織強化へ。バレーボール・ジェイテクトSTINGS愛知の人財戦略

バレーボールの人気が止まらない。昨秋新たに開幕したSVリーグは男子レギュラーシーズンの総入場者数が66万4709人で、前身のV.LEAGUE DIVISION1から75%増となった。2030年までに「世界最高峰のリーグ」となる目標を掲げ、2026-27シーズンには運営クラブのプロ化が求められている。

そこで各チームで必要になってくるのが、ビジネスのプロ人材だ。HALF TIMEを利用して半年間で6名の人材採用に成功したジェイテクトSTINGS愛知で、経営管理責任者を務める大西秀哉氏に、チームの人財戦略を聞いた。

オリンピック効果でSVリーグが好発進

「本当にドラマチックなシーズンでしたよね」。ジェイテクトSTINGS愛知で経営管理責任者を務める大西氏は、SVリーグ初年度を振り返りそう笑った。

日本代表の関田誠大、宮浦健人、小川智大、髙橋健太郎に加え、ブラジル代表リカルド・ルカレッリ、米国代表トリー・デファルコなど世界のスーパースターが名を連ねる豪華な陣容で、シーズン前半終了時点の12月には一時首位に立つ勢いを見せた。

だがそこから連敗を重ねて5位に下降。けが人が戻ってきたシーズン終盤に巻き返しを見せて、レギュラーシーズンを4位でフィニッシュ。勢いのままにチャンピオンシップ準決勝ではレギュラーシーズン1位の大阪ブルテオンを破った。

「アップダウンが激しくドラマがあって、それがファンの心をつかんで離さなかったのかもしれません(笑)」(大西氏)

2024年のパリ五輪、男子バレーボールはひときわ注目を集めた。テレビ視聴率は激戦となった準々決勝の日本対イタリア戦が全競技の中でトップ、予選ラウンドの対アルゼンチン戦が2位、さらにはリアルタイム配信再生回数で対ドイツ戦がトップと、多くの人々をくぎ付けにした。

バレーボールへの注目度が最高潮に高まった中でSVリーグが開幕し、会場には多くのファンが詰め掛け、メディアも連日その様子を報じた。「オリンピック効果は本当に大きかった」と大西氏が話すように、日本バレーボール界は今、新たな局面を迎えている。

バレーボール界で進むチーム運営のプロ化

ジェイテクトSTINGS愛知の経営管理責任者 大西秀哉氏

ジェイテクトで10年以上にわたり応援団の一員としてチームを応援してきた大西氏は、2度のV・チャレンジマッチ(1部・2部リーグ入替戦)敗退、2013年の1部初昇格(当時V・プレミアリーグ)、そして、2019-20シーズンの悲願の初優勝(当時V.LEAGUE DIVISION1)と、その歴史を全て目の当たりにしてきた。

だからこそ、新型コロナウイルス感染拡大の影響により応援団が消滅したことは、大西氏を失意の底に沈めた。だがバレーボール界全体でプロ化に向けた流れが加速し始め、ジェイテクトでも実業団を脱却してプロクラブを目指す方針を固めたことが転機となる。

バレーボールに関わる千載一遇のチャンスと異動を希望し、会社も大西氏の「周囲を巻き込む力」に期待したことから、2023年5月にジェイテクトSTINGS愛知の事務局へと配属された。

最初のミッションは、同じアリーナ競技であるバスケットボール・Bリーグのクラブへの出向だった。プロスポーツはいかに運営されているのか、その目で確認するためだ。スポンサー営業、チケッティング、ファンクラブ運営、マーケティング・PR、ホームゲームにおけるホスピタリティー……、やるべきことは想像以上に多岐にわたり、また、組織だって運営されていることが分かった。

当時のジェイテクトSTINGS愛知の運営は5人ほどで行われており、まったく足りていないと痛感した。

スポーツ業界未経験者も採用「さまざまな知見を」

チームに戻った大西氏は、さっそく人財採用に取り掛かった。

これまではジェイテクトの社員がチームに出向して運営に当たっていたが、ジェイテクト自体はベアリングや工作機械、自動車部品製造などで幅広い産業を支えるBtoB企業。バレーボールチームというBtoCの業態とは異なっていた。そこで社外からBtoC領域の経歴を持つ人財を中心に中途採用を開始。現在では約20名のスタッフが在籍している。

意外にもスポーツ業界の経験者は少数派だ。例えばホームゲームの演出担当には、音楽フェスの興行演出の経歴を持つ人財を採用した。大西氏はその狙いを「さまざまな業種の知見を取り入れた方がより面白いクラブ運営ができる」と話す。

スキルも経歴も異なるメンバーが集うジェイテクトSTINGS愛知だが、一つだけ共通項があるという。それが、「バレーボールが好きだという気持ち」(大西氏)だ。

「バレーボール界をどのように良くしていきたいのか、バレーボールを通じて自分は何を成し遂げたいのか、社会や地域にどう貢献していくのか。その気持ちが根底にあることで、さまざまな発想が出てくる。自分の想いとクラブのビジョンの方向性が合っていることが、絶対に大事だと思いますね」(大西氏)

ジェイテクトSTINGS愛知では中途採用の結果、演出の強化などが進んでいる

事実、中途採用で入社したメンバーは全員、能力面で優秀というだけでなく、クラブの文化や価値観にフィットして前向きに業務に取り組み、期待以上の活躍を見せているという。

「担当の磯田さん(磯田裕介:HALF TIME代表)が、我々にぴったりと合う人財を紹介してくださるのが本当に大きい。HALF TIMEを利用し始めた当初、かなり長い時間をかけてヒアリングしてくださり、どこよりも我々のニーズを正確に把握してくれました。スピーディーにコミュニケーションを取っていただけるので安心して中途採用に臨めました」(大西氏)

今後も必要に応じて、メンバーを拡充していくつもりだという。組織が拡大していく中で、大西氏が意識しているのが「ベクトル」だ。

ジェイテクトSTINGS愛知として、何を目指しているのか、どこに向かっているのか、メンバー間で常にそのベクトルを合わせることに注力している。「組織の強さというのは、ベクトルの太さと勢いで決まる。一つのゴールに向かってチームの総合力を発揮できるように。バレーボール風に言えば、全員がボールを落とさず、つなげられるように組織づくりをしていきたい」(大西氏)。

最大の魅力は「お客さまの笑顔を直接見られること」

昨シーズンのジェイテクトSTINGS愛知は人気選手が多く在籍していた効果もあり、数多くのファンがホームアリーナに来場した。チケットの売れ行きは好調、ファンクラブ会員数は約10倍にまで増加。特に20~40代女性が熱狂的に応援し、その熱量はSVリーグ随一といわれた。

それに加えて、「ホームタウンである岡崎市内のファミリー層にもいかにご来場いただけるかが重要になる」(大西氏)。これまでもホームゲームでは試合を観戦するだけでなく、アトラクションエリアをふんだんに用意した、チームマスコットのテーマパーク「スティンビーランド」や、数多くのキッチンカーが出店するエリアを設けるなど、大人も子どもも家族みんなで楽しく1日を過ごせるようなパークづくりを目指してきた。

チームマスコットのテーマパーク「スティンビーランド」

今後はさらに、市内の小中学生向けにバレーボール教室や手洗い教室などのホームタウン活動を増やしていき、真に地域に根差し、愛されるチームを目指していきたいという。

「お客さまの笑顔を直接見られるのがこの仕事の魅力であり、本当に素晴らしいところだと実感しています。これからも、バレーボールを通じて、もっと多くの方々に夢と元気を届けていきたいですね」(大西氏)

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