全豪オープンへの道「Road to the AO 2025」 テニスのトップジュニア選手が集う大会に密着

今月6日に開幕したテニス・グランドスラムの全豪オープン。そのジュニア大会には、毎年、アジア太平洋地域の男女チャンピオンが出場している。全豪オープンとパートナーシップを結ぶ住友ゴム工業が三重県四日市市でジュニアテニス大会を開催し、本戦ワイルドカードを贈呈しているからだ。四大大会ジュニアの切符をかけた、熱き戦い。HALF TIMEが密着したドキュメンタリー「BOUNCING HIGHER」から紹介する。

国内テニス・トップジュニア選手たちの想い

世界有数のテニスブランド「DUNLOP」を展開する住友ゴム工業によるジュニアテニス大会「DUNLOP ROAD TO THE AUSTRALIAN OPEN JUNIOR SERIES IN YOKKAICHI」(略称:Road to the AO)は、例年11月に三重県四日市市で開催されている。

出場するのは、国内外のトップジュニア選手たち。逸﨑獅王選手は、2024年の全日本選手権 18歳以下の部でシングルス優勝、インターハイでもシングルス準優勝という成績を収めている。「将来像は、世界で戦える選手になりたいと思っています」と、逸﨑選手。

逸﨑獅王(いつさき・しおん)選手

後藤七心選手も昨年のインターハイでシングルス・ベスト8入りを果たした。Road to the AOには前回大会も出場しており、ラウンドロビン(グループリーグ)敗退に終わっていた。「次に出た時には、絶対に優勝してオーストラリアに行きたい」(後藤選手)という気持ちで、大会に向けて調整してきた。

後藤七心(ごとう・ななみ)選手

アジア太平洋のジュニア選手に機会を提供

Road to the AOは、2018年から三重県四日市市で開催。DUNLOPとテニス・オーストラリア(オーストラリアテニス協会)が協力し、アジア太平洋地域におけるテニスの普及と、ジュニア世代の選手たちへの機会提供を目的に行われている。

テニスは歴史的に欧米での大会が多く、アジア太平洋地域を拠点に置く選手にとっては移動・遠征による金銭的、体力的な負荷が大きい。国際ランキングのポイント獲得にも影響し、特にジュニア世代では大きな障壁のひとつになっている。

こうした環境の中、全豪オープンはグランドスラムのうち唯一のアジア太平洋地域での開催。2018年に住友ゴム工業が大会とのパートナーシップを結んだことで、同じ地域の中で連携が取りやすくなった。「アジア太平洋地域でのテニスの普及とレベルアップに貢献したい」と、同社テニスビジネス部の戸田公平氏は語る。

住友ゴム工業株式会社 テニスビジネス部 ツアー・プロ担当 戸田公平氏(中央)

「全豪オープンにとってもジュニアトーナメントは重要」と話すのは、テニス・オーストラリアのショーン・ムーディー氏。プロを目指す、世界屈指のジュニア選手が集まる大会は、「次世代の選手たちをインスパイアする」(ムーディー氏)またとない機会になる。

テニス・オーストラリア Head of Partnerships ショーン・ムーディー氏

10日間にわたり繰り広げられた熱戦

Road to the AOは、日本人選手のみが出場する国内大会が前半5日間、海外選手も出場する国際大会が後半5日間にわたり開催される。国内大会に優勝すれば国際大会に出場でき、また主催者推薦などで直接国際大会に出場する日本人選手もいる。

逸﨑選手、後藤選手はそれぞれ国際大会から出場。逸﨑選手は予選の2試合でストレート勝ちを収めると、3試合目で敗戦となるもグループ内の総合結果でかろうじて決勝トーナメントに進出。準決勝も奈良恒輝選手(日本)を相手に3-6、6-0、6-3と接戦を制し、決勝に駒を進めた。

決勝の相手は富澤直人選手。国内大会を勝ち上がってきた選手で、決勝戦は10日間での10試合目。逸﨑選手は第1セットを先取し優勝に近づくものの、第2セットから調子を崩し、結果は7-5、0-6、2-6で惨敗。準優勝という結果に終わった。

「いつもの大会と違って焦りが出てしまい、いいプレーができなかった…というのはすべて言い訳なんですけど、そういうところが自分の弱さだと思いました」(逸﨑選手)

一方の後藤選手。逸﨑選手とは逆にグループリーグでは第三戦に勝利しての決勝トーナメント進出を決め、その勢いのまま準決勝も韓国のヒョニ・イ選手を6-2、6-1のストレートで下した。だが決勝戦では、今大会の女子選手の中ではITFジュニアランキングで最も高い(当時88位)カモンワン・ヨドペッチ選手(タイ)に力負け。あと一歩、優勝には届かなかった。

「すごく悔しくて…あとちょっとだったのにという感じです。いま出せる自分のテニスはできたと思うんですけど、相手がすごかったなという」(後藤選手)

勝ち負けだけでなく「今後につながる大会に」

大会には、ある人物の姿もあった。元プロテニス選手で、Road to the AO 2025ではトーナメントアドバイザーを務めた土居美咲氏だ。国際大会では毎日コートを眺め、試合後の選手にはアドバイスを送った。決勝に駒を進めた後藤選手とは、一緒に練習もしたという。

「勝って終わりでもないし、負けたからダメだったというわけでもない。ジュニアの選手には今後につながる大会にしてほしいと思います」(土居氏)

Road to the AO 2025 トーナメントアドバイザー 土居美咲氏

国籍に関係なく、ジュニア選手にとってはアジア太平洋のライバルと真剣勝負を挑むことのできる貴重な大会。優勝して全豪オープンジュニア出場の切符を手にするのは男女一名ずつだけだが、他の選手はこの経験を糧にして、今後のテニス人生を歩むことになる。

BOUNCING HIGHER――。落ちても跳ね返る。より高く飛んでいく。ジュニア選手たちのこれからの活躍に、大きく期待したい。

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