サッカー王国・静岡。その象徴と言えば、Jリーグ創設当時から清水エスパルスだった。そのエスパルスのゼネラルマネージャー(GM)兼サッカー事業本部長に、選手・指導者・監督として数々の実績を残してきた反町康治氏が2024年に就任。以来、トップチーム強化と、クラブの未来を担うアカデミー(育成組織)改革に取り組んでいる。
清水エスパルスでは山室社長の旗振りのもとフロントスタッフの採用を強化。HALF TIMEのエグゼクティブサーチを通して7月から新たな経営人材も参画した。その次のスポーツサイドの人材採用として、現在、サブアカデミーダイレクターとスカウト担当の募集を開始した。
「トップチーム強化と育成は両輪」を信条にする反町GMに、エスパルスの強化・育成ビジョンと、「化学変化」を期待する人材採用について聞いた。
◇反町 康治(そりまち・やすはる)氏
清水エスパルス ゼネラルマネージャー サッカー事業本部長
清水東高校から慶應義塾大学を経て全日本空輸(ANA)サッカー部でプレー。1994年ベルマーレ平塚(元湘南ベルマーレ)に移籍しプロ契約、1997年引退。以降、アルビレックス新潟、U-23日本代表、湘南ベルマーレ、松本山雅の監督を歴任。2024年4月より清水エスパルスのゼネラルマネージャー兼サッカー事業本部長を務める。
エスパルスのアカデミーが掲げる3つの目標
「クラブの価値を上げるにはトップチームが強くなるのはもちろん、サステナブルなチーム作りのためアカデミーから多くの選手を輩出することが不可欠です」。反町GMは育成の重要性を、こう強調する。
名門・清水エスパルスのアカデミーには、「勝ち負け以上の『価値』の創造」というフィロソフィー(哲学)がある。サッカー人として、そして一人の人間としての自立が目標で、具体的な柱は3つだ。
1つ目は、プロで通用する選手をトップチームに多く輩出すること。2つ目は、各年代のトップリーグ(高円宮杯プレミアリーグなど)に昇格し、高い競技レベルで競争できるチームを作ること。そして3つ目は、たとえプロになれなくても、エスパルスでの経験を通じて人間的に成長し、社会に貢献できる人材を育てることである。
これらの目標達成のため、反町GMは就任後、育成年代に「5箇条」を導入した。1.ハンドシグナル、2.フックコントロール、3.フェイクショット、4.攻撃時の加速、5.コンタクトスキル、である。
「以前のエスパルスは、技術に優れた選手の集合体イメージが強かったかもしれません。しかし、今のサッカーはそれだけだと通用しない。私が掲げた5箇条のうちの一つが『コンタクトスキル』ですが、ボールの有無に関わらず、デュエル(主に1対1での勝負)の強さを小学生年代から徹底して取り組んでいて、すでに向上が見られています」(反町氏)
加えて、U-14の海外遠征プログラムでスペインへ渡航するなど、国際経験を積む機会も提供。バルセロナなど世界最高峰の同年代と試合をすることで、判断やプレースピードを肌で感じることも重要視している。
「島国の日本から出て、そうしたスピードを体験するのは欧州に行かないと身につきません。短い期間でも、様々な経験を通じて選手の社会性や人間性を高めていきたい」と反町氏は説明する。
トップと育成は「両輪」。トップチーム昇格率を20%に
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