プロスポーツのシーズンが開幕したこの3月、推薦書籍として日本のスポーツビジネスの現在地と未来を綴った2冊を紹介します。1つはBリーグ初代事務局長を務め4月から日本ハンドボールリーグへ「移籍」する葦原一正氏の著書、もう1つは元データスタジアム社長で、アナリティクスを中心にスポーツ界で活躍する森本美行氏の書籍です。
葦原一正『日本のスポーツビジネスが世界に通用しない本当の理由』
戦略コンサルティング会社での勤務を経て、プロ野球パ・リーグのオリックス・バファローズに入社し、スポーツビジネスの世界へと転身した葦原一正氏。その後2012年に横浜DeNAベイスターズに移ると、2015年からはBリーグ事務局長を務めてリーグの立ち上げに尽力した。
3年でリーグの売上高10倍増、入場者数50%増を達成するなど、Bリーグの発展に大きく貢献した後、現在はスポーツビジネスを中心としたコンサルティングに従事。この4月からは日本ハンドボールリーグの代表理事に着任する。
本書は、葦原氏が日本のスポーツビジネスへの想いを詳細に記した一冊。リーグやチームでスポーツビジネスの最前線を経験してきた著者が、ガバナンス、プロフェッショナル、アリーナ、グローバル、そしてエンゲージメントの5つのテーマで、日本の現在地と進むべき未来を示し、次世代へのメッセージを送る。
森本美行『アナリティックマインド —スポーツ新時代を導くデータ分析の世界—』
アジアコンテントドットコムジャパン株式会社の代表取締役CEOの後、2002年にスポーツデータの配信・分析を行うデータスタジアム株式会社の代表取締役を務めた森本美行氏。2016年以降は野球の独立リーグ 四国アイランドリーグplus運営会社の代表取締役や日本独立リーグ野球機構の常務理事を務め、現在はスポーツビジネスのコンサルティングなどを行っている。
本書では、同氏が携わってきたテクノロジーの活用とデータ分析について、欧米サッカーの最先端トレンドを分析した上で、日本の現状と課題を明らかにする。スポーツの競技現場や観戦・配信などでテクノロジーが活用されるようになってから約20年。データ分析はどう進化を遂げてきたのか。そして、それをいかに活用できているのか。
「必要なのはテクノロジーを導入することではなく、アナリティックマインドを持った人材の育成だ」
こう語る著者が、最新事例を交えながらその知見を解説する本書は、スポーツテックやスポーツアナリティクスに関心のある人に限らず、スポーツビジネス全般に興味を寄せる人々全員にとって必見の一冊だ。
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