シックス・ネーションズでファンゾーン提供。狙いは「ブランド体験」
ラグビーユニオンの世界的な国際大会といえば、今年9月に日本でアジア初開催を迎えるラグビーW杯だが、もう一つの代表的な国際大会が、シックス・ネイションズ(Six Nations)だ。この大会は、1882-83年を第一回大会として、イングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランドが参加、以降1910年にフランス、2000年からイタリアが参加し6カ国参加となったことで現在の名称となった。
毎年、「ラグビーの聖地」英国トゥイッケナム・スタジアムで催される人気の大会で、2015年時点で1試合あたりの平均入場者数が72,000人となり、米国NFLやサッカーW杯、ラグビーW杯、UEFAチャンピオンズリーグを上回り、世界で最も1試合あたりの入場者の多いスポーツ大会となっている[1]。
今年の2019大会は2月〜3月に開催され、その中で積極的なスポンサーシップ・アクティベーションを実施したのが、地元英国のナショナルフラッグ・キャリアであるブリティッシュ・エアウェイズだ。会場には「BAファンビレッジ」が出現し、来場したファンが「パス・チャレンジ」や「ラインアウト・チャレンジ」といったラグビー・スキルを試すことのできるミニゲームを用意。観戦チケットやサイン入り記念品だけでなく、無料のフライトチケットも景品として贈られた。
会場には、「Aviosラウンジ」と「BAラウンジ」の2つのラウンジがオープン。BAラウンジは、BAのゴールド及びシルバー会員専用のエリアとして、無料ドリンクとBAファンビレッジを眺められる箇所を設け、特別な体験を提供。「素晴らしい出来」(BAグローバル・パートナーシップ・ポートフォリオ・マネージャー ミッチ・カプト氏)[2]のファンゾーンが誕生した。
就航100周年 ブランド投資進めるブリティッシュ・エアウェイズ
ブリティッシュ・エアウェイズは、同社の世界就航100周年となる2019年8月に先駆け、イングランド・ラグビー(RFU/イングランドラグビー協会)のオフィシャル・エアラインパートナー、及び、トゥイッケナム・スタジアムのプリンシパル・パートナーとなるパートナシップを2018年8月に締結。
アイコニックなスタジアム外装のブランディングに関するエクスクルーシブな契約も含まれており、「ロンドン・ヒースロー空港へ向かうお客様に、トゥイッケナム・スタジアムとのパートナシップを空から見せられる」(BA会長兼CEO アレックス・クルス氏)[3]こととなった。
トゥイッケナム・スタジアムでの最初のアクティベーションは、2018年11月に開催された国際大会であるAutumn Internationalだ。プレーヤートンネル内やスタンド外部、スタジアムへの新たな入り口などに新しいグラフィックが配置され、BA向けのコーポレート・ボックス席や案内標識などホスピタリティーがアップグレードされるなど、ブランディングが進められた。
また、会場には、来場したファンがお気に入りの選手を真似てトライできる、スポンジフォームが敷き詰められたポップアップが出現。手の形をした応援グッズのプレゼントや、トライした際のスローモーションビデオも提供され、ソーシャルメディアでのシェアを促している。
4週間に渡る大会期間中、試合毎に400個の手形の応援グッズが用意され、数百名のファンがトライに挑戦。1,410個のスローモーション・コンテンツが生成され、そのEメールの開封率は71%を記録。ツイッターで獲得したインプレッションは9,710に及ぶ[4]。
ブリティッシュ・エアウェイズのイングランド・ラグビーへのスポンサーシップは、ラグビーW杯2019日本大会、女子ラグビーW杯2021ニュージーランド大会を含む期間となっている。どのようなアクティベーションが今後行われるのか、引き続き注目される。
◇参照
1. UEFA
2. CSM
4. CSM Live