リバプールFC、プレミアリーグクラブで初めてTikTokに公式アカウントを開設 

ソーシャルの合計ファンは6,600万 一層のリーチ拡大とエンゲージ狙う

リバプールFCは6月初旬、UEFAチャンピオンズリーグを制覇。ファン数を一層押し上げることとなった。画像=TikTok

リバプールFCは2019年5月、動画プラットフォーム「TikTok」にクラブ公式アカウント(@liverpoolfc)を開設した。TikTokの公式アカウント開設はプレミアリーグのクラブで初めて。アプリを通して新たなオーディエンス、特に若いファンへのリーチとエンゲージを狙う。

TikTokは、現在、75言語で150以上のマーケットで提供されている動画投稿プラットフォームで、ユーザーが15秒の動画を簡単に作成・投稿でき、コンテンツを中心に交流機能を持つ点が特徴だ。

リバプールFCのアカウントでは、現在、UEFAチャンピオンズリーグ優勝の舞台裏や獲得したトロフィー、トレーニング・グラウンドの様子などが投稿されており、6月時点で25.2万のファンを獲得している。

TikTokの他にも、リバプールFCは既に、様々なソーシャルメディアで世界中のサポーターとのエンゲージに取り組んでいる。例えばYouTubeでは、プレミアリーグのクラブとして初めて200万人のチャンネル登録者数を達成。現在ソーシャルメディア上でのファンは合計で6,600万人以上にのぼる。TikTokのメインユーザーはアジアであることから、アジア戦略の一環としても見て取れる。

リバプールFCのマーケティング及びメディア担当シニア・バイスプレジデントであるマルクス・ブレグレック氏は、次にように語っている。

「私たちは、世界中のファンとの関係を強め、エンゲージするための、クリエイティブで革新的な方法を常に探している。TikTokでは、興味深く、魅力的なビデオコンテンツによって、新しく、より若いオーディエンスにリーチできる可能性が大いに存在する」[1]

サッカー界で活用進むTikTok 日本では

日本で早くに取り入れたJリーグ。試合の名シーンや各チームの選手、サポーターまで登場する。画像=TikTok

プレミアリーグ以外でTikTok活用を進めるのはドイツ・ブンデスリーガのボルシア・ドルトムントだ(@BVB)。今年4月に、FCシャルケ04との「ルールダービー」を前に発表し、同プラットフォーム上で「#cheerforBVB」のハッシュタグでプロモーションを行った。主にトレーニングやピッチ外での選手の様子を投稿し、リバプールに近い20万のファンを獲得している。

一方、日本のサッカー界で先駆けてTikTokのアカウント開設したのはJリーグだった(@j_league)。今年1月に開設後、試合のハイライトや選手のセルフィー、マスコットなどが登場し、3.8万のファンがフォローしている。

Jリーグのクラブでは、ベガルタ仙台が今年2月に開設(@vegalta_)。クラブ創立25周年を記念して、「チームやベガッ太とベガッ太の妹、ベガルタチアリーダーズなど、クラブ全般のちょっとした動画、小ネタ動画などを配信」[2]しており、2,400のファンを集めている。

従来のファンの高齢化が進む一方、若年世代に多く使われるTikTokは、ファンマーケティングのツールとして魅力的だ。TikTokの最も多いユーザー層は16歳〜25歳。一方、Jリーグ観戦者は、2010年時点では30〜39歳のセグメントが全体の29.4%で最多だったが、2017年には、40〜49歳が28.8%で最多となっている。観戦者の平均年齢でも2007年の36.5歳から2017年は41.7歳となり、10年で5歳アップしている。[3]

常に新たなファン開拓が求められるスポーツ界。ソーシャルメディア活用はその一助となるだろうか。

◇参照

1. Liverpool FC

2. ベガルタ仙台

3. Jリーグ スタジアム観戦者調査 2017