就活や転職活動は、履歴書を書くことから本格的にスタートします。
履歴書は、企業の採用担当者が最初に入手する、求職者に関する情報です。そして、採用担当者は、履歴書だけで採用面接に呼ぶかどうかを決めます。
つまり、採用担当者に履歴書を気に入ってもらえなければ、その企業への就活は終わってしまうということ。
そのため、どの求職者も一生懸命履歴書を書くわけですが、「志望動機は何を書けばよいのか」という人もいるのではないでしょうか。
志望動機は、採用に関わる人たちの「視聴率」が高い項目です。
本記事では、履歴書の中でも重要な志望動機の書き方を解説します。
志望動機欄には何を書くのか
志望動機に書く内容は、「その企業でなければ達成できない、大きな目標」と「自分が入社すると、その企業にどのようなメリットが生まれるのか」ということ。
それぞれのポイントについて見ていきましょう。
その企業で達成したい目標と企業のメリットを書く
もし求職者が3社の求人に応募する場合、志望動機は3通り書かなければなりません。例えば、家電メーカーA社、家電メーカーB社、家電メーカーC社に応募する場合でも、志望動機の文面は異なる内容にしなければなりません。
もしA社、B社、C社に共通する志望動機を書いてしまったら、採用担当者は「なおざりな志望動機だな」と感じるでしょう。
志望動機は、
- なぜその会社に入りたいのか
- 入社したら、何をやりたいのか(やりたいことは、会社にとってのメリットになるもの)
- なぜその会社でなければ、やりたいことを実現できないのか
という3部構成にすると、書きやすいでしょう。
「御社に入りたい理由」を書く欄ではない
志望動機というと、「地元だから」「給料がよいから」「ブラック企業でないから」「転勤がないから」「人気業界だから」「上場企業だから」などの理由を書きがちですが、これらの理由を書いても、採用担当者には響かないでしょう。
なぜなら、給料の高さや転勤がないことなどは、自分がその会社に入って得することだからです。
志望動機には、自分を社員にすると企業にどのような得がもたらされるのかを書くことが大切です。
志望動機の例文
志望動機の例文をいくつか紹介します。
もし、自身の志望動機と、これらの文章に共通点があったらアレンジして自分の履歴書に使ってみてください。
家電メーカーへの志望動機
家電メーカーに送付する履歴書を想定した例文は下記のようになります。
御社は創業以来、BtoCビジネスを大切にしてきましたが、時代の要請からBtoBに注力し始めました。私はBtoBビジネスの、いわゆる「大きな仕事」に魅力を感じています。ある経済アナリストが、御社はBtoCで培った全国区の知名度をBtoBで活かしている、と評価しておりました。御社でなら大きな仕事に携わることができると考え、御社を志望いたしました。大学で第2言語として学んだ中国語を活かして、中国ビジネスに携わりたいと思っています。 |
この志望動機のポイントは、この会社が中国で展開しているBtoBの大きな仕事に貢献したいという気持ちを表明しているところです。
採用担当者は、この求職者を採用すれば自社のビッグプロジェクトがさらに発展するかもしれない、と考えることができます。
コンビニ会社への志望動機
コンビニ会社に送付する履歴書を想定した例文は下記のとおりです。
大学のゼミや企業研究を通じ、コンビニ業界で働きたいと思うようになりました。コンビニ業界は今や、単なる商店ではなく、社会インフラに組み込まれており、コンビニで働き、コンビニのシステムを進化させていくことは、社会貢献に直結すると考えます。また、コンビニ業界の熾烈な競争も、体育会系の私を燃えさせるものがあります。御社を志望したのは、業界2位だからです。そして1位を狙える2位だからです。御社のPB商品の目の付け所とクオリティには、いつも驚かされています。「なぜこれで1位になれないのか」といつも思っています。ただ、私の友人には、1位のコンビニを好む者が少なくありません。私は御社で、圧倒的な商品力を持つヒットPB商品を生み出したいと思っています。御社は業界に先駆けて無人店舗を開業させており、この進歩的な取り組みにも興味があります。御社には「ここで働きたい」と思わせる要素がたくさんあります。 |
この志望動機のポイントは、このコンビニ会社の優れた取り組みに関わりたいと伝えている点です。ほかのどの会社でもなく「御社で働きたい」という気持ちを伝えましょう。
志望動機のNGワード
志望動機にはNGワードがあります。
大原則は、自分の都合を書かないこと。
先ほど紹介した例文には「大きな仕事に魅力を感じています」や「体育会系の私を燃えさせるものがあります」といった、一見すると自己都合のような文章がありますが、これらはNGワードにはなりません。
なぜなら、自分がどれだけ志望先企業にマッチしているかをPRしている文章だからです。
NG文章は、例えば次のとおりです。
- 私は中学から大学までラグビーをしてきました。御社は社会人ラグビーの有力企業なので、子供のころから憧れていました。
採用担当者も、自社のラグビー部が勝ったら嬉しいでしょう。しかし、履歴書を読んでいるときの採用担当者は仕事ができる人材を探しています。
したがって、上記のNG文章は、採用担当者に刺さらないでしょう。
「ラグビーが好きだから、ラグビーの強豪企業の御社を志望した」という文章と「体育会系の人間だからコンビニ業界の競争に燃える」という文章は、一見似ていますが、志望動機としてしては全然違います。
- 私は幼いころ~
- 父が~だったので~
- 私の夢は~
- アルバイトで~を経験して~
これらはすべてNGワードです。このようなワードから書き始めると、スラスラ書けるのですが、採用担当者は「動機が弱い」と感じるでしょう。
動機はやはり、経済情勢や将来性、社会との関わり方や商品・サービスの内容、自分のスキルとのマッチ度など、ビジネスに関係した内容を考えてみてください。
NGワードに「御社はすごい」といった内容を書くこともあげられます。
志望動機に「御社はすごい」「だから御社に入りたい」と書くことがなぜいけないのかというと、企業からすると当然のことだからです。
経営者も採用担当者も、自社を大切に思っています。そのため求職者が「御社はすごい」と書いても、あまり響きません。
もし、「御社がすごい」という内容を志望動機に盛り込むのなら、経営分析に関するコメントを併記して「だから御社はすごい」という内容にしてみてください。
このほか、「給料がよい」「福利厚生がよい」など、雇用条件には触れないほうが無難です。
もし、自分が社長だったら、ある人から「御社は給料が高いので、働かせてください」と言われて、採用しようと思うでしょうか。
むしろ、「業績が悪化してボーナスを下げることになったら、最初に逃げ出すのではないか」「他社がより高い給料を提示したら、そちらに転職するのではないか」と考えるはずです。
本心は雇用条件や待遇がよくてその企業を志望したとしても、それを最優先で志望動機に書くことは得策ではありません。
志望動機には「働きたい」という内容を書くことが大切です。
例えば、「御社で~といった仕事をしたい」「御社の○○事業は社会に必要とされているから、自分もそれに携わりたい」といったように書くとよいでしょう。
まとめ
「志望」とは、自分の志望、つまり求職者の志望のこと。しかし、履歴書の志望動機には、ピュアな自分の志望を書かないことがポイントです。
自分の志望と、志望先企業の事業をマッチさせることを心掛けましょう。そのためには、その企業を徹底的に研究する必要があります。
志望先企業を調べると、自分が働きたいと思える事業がみつかるはずです。
「その部署を志望する」という内容を書くと、採用担当者は「なるほど、この人はこの仕事がしたいのか」とストンと理解できます。
(TOP写真提供 = Green Chameleon / Unsplash.com)
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