メディアで注目されるようになったことで、テレビで試合中継されることも多くなったラグビー。ただ、これまでラグビーファンにしか注目されてこなかったスポーツだけに、ルールが分からないという方もいるでしょう。
今回のテーマは、ラグビーの試合時間です。選手の人数や試合をする選手の世代によって、試合時間が異なるので注意が必要です。
それでは、最後までご覧ください。
ラグビーの試合時間
試合は基本的に1チーム15人、両チーム合計30人で行います。しかし、1チーム7人で行われる「セブンズ」という試合も存在します。
出場する選手が1チーム15人と7人の場合では試合時間も異なるので、順番にご紹介していきます。
1チーム15人の試合時間
まず、1チーム15人でプレーする際は、前半40分間・後半40分間の合計80分間。また、前半と後半の間で、選手の休憩や作戦を立てるためのハーフタイムがあります。
ルール上、このハーフタイムは10分以内とされていますが、40分間と定められている前後半の試合時間とは異なり、主催者や協会、管轄機関などが決めることが可能です。そのためハーフタイムは大会によって時間が異なります。
ただ、ほとんどの場合10分程度で行われ、
「前半40分間+ハーフタイム約10分間+後半40分間」
の約90分間が一般的な流れです。
実際の試合時間は90分以上
前述した通り、基本的に試合は約90分で行われますが、途中でロスタイムなどがあるため、時間きっかりに終了することはほとんどありません。
ロスタイムとは、試合において競技者の交代・負傷者のアピールや怪我の程度の判断・負傷者の搬出などにより、空費された時間のことです。
これらが原因で試合時間が削られた場合、相手チームにとっては不公平になる可能性がありますので、空費時間での公平を期するために設けられています。
しかし、ラグビーではロスタイムは1度につき1分以内と決められているため、1分を過ぎたら、怪我をした選手がまだ治療中で交代していなくても、試合は再開されます。
ただし、選手の怪我がひどく、処置やフィールドから選手を運び出すのに時間がかかる場合は、審判の判断で1分を過ぎても試合が再開されません。つまり、ロスタイムの裁量は審判に委ねられています。
ラグビーは、選手同士が激しくぶつかり合うため、怪我をしたり交代したりすることも多く、ロスタイムが発生しない試合はほとんどありません。
1チーム7人の試合時間
1チーム7人で試合を行う「セブンズ」の場合、前半7分間・後半7分間の7分ハーフで行われますが、大会の決勝戦だけは10分ハーフで行うことができる例外があります。
セブンズにもハーフタイムがあり、その時間は2分間。人数の少ないセブンズであったとしても、使用するフィールドは15人制のと同じ広さのため、試合時間がより短くなっています。
また、ラグビーはサッカーと同じような試合時間の構成になっていますが、運動量を考慮してか、比較するとプレー時間が短くなっています。
世代別ラグビーの試合時間
社会人で構成されるジャパンラグビーなどのトップリーグの試合や、W杯といった世界的な大会での試合時間は、約90分間。
また、大学ラグビーやアマチュアの大会でも、選手が成人の場合は同じです。つまり、選手の世代によって試合時間が変化するのは、成人以下の選手が出場する試合に限られます。
高校生の試合時間
選手が19歳以下であった場合(15人制)は、前後半30分のハーフ。つまり、前半10分間、後半10分間の計20分ほど時間が短くなっています。
ちなみに、ハーフタイムも短く5分程度です。
試合時間が短く設定されている理由は、ラグビーが高校生の体への負担が大きいスポーツであるため。19歳以下ですから、高校ラグビーの試合時間も
「前半30分間+ハーフタイム約5分間+後半30分間」
の合わせて約65分です。
ただし、「冬の花園」「ラグビーの甲子園」などと呼ばれている、全国高等学校ラグビーフットボール大会は、1回戦だけは試合時間が約55分
「前半25分間+ハーフタイム約5分間+後半25分間」
となっています。
これは選手の負担軽減のためだけでなく、大会の運営上の都合もあるようです。
中学生の試合時間
ジュニアラグビーと呼ばれている中学ラグビーの時間は、ハーフタイムは19歳以下の時間と同じですが、試合時間は少し短く設定されています。
理由は、中学生は体が未発達のため。試合時間は20分ハーフですので、
「前半20分間+ハーフタイム約5分間+後半20分間」
の合わせて約45分で試合が行われます。
延長戦がある場合
得点の方法が細かに設定されているラグビーでは、両チームの得点が同じになることがほとんどありません。
もしも後半のロスタイムが終了しても同点だった場合には、延長戦が行われます。延長戦の試合時間は10分ハーフで、前半戦と後半戦の間に約5分間のハーフタイムが設けられています。
そして、計20分の延長戦でも決着がつかなかった場合には、10分間のサドンデス方式での延長戦で決着。サドンデス方式は、どちらかのチームが得点をした時点で勝敗が決定するというルールです。ラクビーの場合、トライ以外にペナルティーゴールやドロップゴールなどで得点が入っても試合終了となります。
日本国内トップリーグ戦や日本選手権などで延長戦が行われる場合は、すぐにこのサドンデス方式で決着します。
それでも決着がつかなかったら
サドンデス方式での延長戦で、どちらのチームも得点がなく10分間の試合時間が終了した場合は、キッキングコンペティションで決着をつけます。
キッキングコンペティションは、簡単にいうとサッカーPK戦のラグビー版です。それぞれのチームから選ばれた選手5人が蹴る場所を変えて、順番にゴールキックを行います。
後攻のチームの5人目の選手が蹴って、両チームの得点が同じだった場合は、6人目からサドンデス方式が採用。そして、一方のチームが成功し、もう一方のチームが失敗するまで続けられます。
19歳以下は延長戦がない
延長戦が行われるのは、成人選手の試合のみです。そのため、高校生や中学生の試合では延長戦はありません。
理由は、19歳以下の試合時間が短く設定されているのと同じで、体への負担が大きく体力の消耗が激しいため。成長段階にある世代の試合時間を延長することは、健康上相応しくないと考えられています。
延長戦のない19歳以下の試合では、試合時間内でのトライ数の多さで勝敗を決め、トライ数も同じだった場合には抽選(くじ引き)で勝敗を決めるのが一般的です。
また、最初から抽選で勝敗を決める場合もあります。
まとめ
今回は、ラグビーの試合時間について解説してきました。
世代によって試合時間が異なっている理由は、選手の体への負担を考慮してのことです。特に、19歳以下の未成年にとって、負担のかかる過激なプレーは望ましくありません。
ラグビーの試合時間を理解すると、試合を観戦していても終了間近の緊張感が味わえるなど、十分楽しめることでしょう。
本記事が、ラグビーの試合時間について知りたい方の参考になれば幸いです。
(TOP写真提供 = Thomas Serer / Unsplash.com)
《参考記事一覧》
基礎知識!ラグビーの競技時間ってどのくらい?(調整さんwith)
ラグビーの試合時間は何分?延長戦や7人制ラグビーの場合も解説(LOOHCS)