世界でも数少ない成長産業といえるスポーツ業界。なかでも、日本で成長しているスポーツビジネスとしてサッカーがあります。
今やサッカーは、単にスポーツではなく、あらゆる産業への波及効果があるビジネスです。そうしたこともあって、サッカー業界はプレイヤー以外にも注目されている求人も多くあります。
ここでは、市場規模が約101兆円ともいわれているスポーツビジネスのなかで、サッカーがどのようなビジネス展開を行っているのか、また、年々求人の規模が拡大しているサッカー業界の求人について解説していきます。
スポーツビジネスの成長とともに盛り上がりを見せるサッカー業界
Jリーグが誕生しなければ、現在のようなサッカーの発展もなかったでしょう。さらに、各地にプロサッカーチームができることもなく、サッカー業界への求人が増えることもなかったでしょう。日本でサッカーがスポーツビジネスとして大成長できたのは、Jリーグができたことが大きく影響しているのは間違いありません。
盛り上がりを見せたサッカー業界の年間予算はどのくらい?
Jリーグができた当時、サッカー協会の予算は年間16億円くらいしかありませんでしたが、今では200億円近くになっているといわれています。
そんなサッカー業界は、日本のスポーツビジネスの成長と共にさらに成長を続けています。2016年にはJリーグが英国のパフォーム社と契約したことで、テレビ中継だけでなく、様々なチームの試合がネットで配信されるようになっていっています。これは世界のサッカー業界でも前例がないことです。
東京オリンピック2020をきっかけに大きく成長するサッカー業界
来年には東京オリンピックが開催されることで、このオリンピックを機に様々な規制が緩和される可能性があります。
サッカー業界がそうした盛り上がりを見せていることは、サッカー業界に大きなビジネスチャンスがあるということでもあります。サッカー業界の求人がスポーツビジネスの成長と共に増加し続けているのは、そうしたことも関係しています。
ビジネスとして新たな取り組みも
J1、J2、J3合わせて54ものサッカーのクラブチームが存在しているJリーグ。多数のクラブがあり、それが求人に繋がっています。
しかし、サッカーが単なるスポーツとしてだけでなくビジネスとしても成長しているなか、ビジネス展開が上手くいかず、経営難に苦しむサッカークラブチームも少なくありません。
そうした経営難で苦しんでいるサッカークラブチームが多いなか、ビジネスとして新たな取り組みを行い、経営再建に成功したクラブもあります。
DAZNの放送契約を契機にビジネス戦略を方針転換したヴィッセル神戸
2004年に楽天創業者の三木谷浩史氏がオーナーとなったヴィッセル神戸。その年にイルハンという大物選手を獲得したことで大きな話題となりましたが、その後チームは長い低迷を続けていました。
そんなヴィッセル神戸ですが、2017年から次々と大物選手を獲得し、リーグでの順位を上げてきています。ヴィッセル神戸が大物獲得に動くようになったのは、2017年にJリーグとDAZNの放送契約が結ばれたことが関係しています。
これにより、クラブに入る分配金が大幅に増えました。さらに、順位が上がれば入るお金が増え、優勝すれば高額なお金が入るようになりました。これまで選手獲得にお金を使うことにあまり積極的でなかった三木谷氏が方針転回したのです。
これまでも、三木谷氏はヴィッセル神戸のビジネスを楽天のビジネスと強く連動させてはいました。この方針転換ともいえる新たなビジネス戦略により、ヴィッセル神戸はロシアワールドカップを最後に、スペイン代表を引退した大物サッカー選手であるイニエスタ選手を獲得することに成功しました。
さらに、1席30万円という超高額チケットの販売や、グラウンド間近のVIP席や専用ラウンジの新設、サッカー選手のサイン入りユニホームのプレゼントといった、これまでにないファンサービスを開始するなどもしています。
東京ヴェルディがビジネススクールの開校ビジネスを開始
1969年の誕生以後、Jリーグの前身である日本サッカーリーグやJリーグで数々のタイトルを獲得し、日本のサッカー界をリードしてきた東京ヴェルディ。
そんな、東京ヴェルディがクラブ創立50周年の2019年から開始したビジネスが、東京ヴェルディカレッジというビジネススクールの開校です。このスクールは、プロサッカー選手を育てる学校ではなく、サッカーのクラブチームの運営・営業・広報・物販・会場管理といったビジネススタッフを育成する学校です。
こうしたビジネスを行うのは、これまでの日本のプロスポーツ界ではみられなかったことです。
また、こうしたビジネスを展開するクラブチームが他にも出てくれば、サッカー業界の新たなビジネスにも繋がり、さらに業界への求人を増やすことにもなると大きな注目を集めています。
Jリーグ全体でも新たなビジネス展開が?
こうした新たなビジネスへの取り組みは、Jリーグ全体でも行われています。
Jリーグでは2019年シーズンから、国内外での新たなファン獲得へのコンテンツ作りのために、Jリーグの試合映像や映像コンテンツ・静止画といったすべてのデジタルアセットを集約し、一元的に制作・編集・供給・配信がマネジメントできるデジタルアセットハブ「Jリーグ FUROSHIK」の構築に着手しています。
Jリーグでは、この将来的には「Jリーグ FUROSHIK」をJリーグ以外の国内スポーツに活用することも視野に入れており、「Jリーグ FUROSHIK」の機能およびノウハウを国内のスポーツリーグや団体などに広く提供していきます。
異業種で経験を積んだ人材の採用が進められる
Jリーグやリーグのクラブチームで、そうした新たなビジネスへの取り組みが行われていると同時に、サッカー業界で異業種の経験を積んだ人材の求人・採用が増えています。
サッカー業界の求人が増加傾向にある背景として、新たなビジネスへの展開が大きく影響していますが、こうした異業種で経験を積んだ人材の求人や採用が進んでいるのはサッカー業界だけではなく、スポーツ界全体の動きでもあります。
スポーツビジネスが成長していることもあり、コンサル会社がサッカーのクラブチームの経営会社となったり、ベンチャー企業で働いていた人が、クラブチームのマーケターに転身したりすることは、近年珍しいことではなくなってきています。また、これまでのサッカークラブチーム経営の大きな軸であった広告料収入、入場料収入、物販収入の3つに加え、4つめの収入としてデジタル分野にチカラを入れるクラブチームも増えています。
そのためサッカー業界の求人では、デジタルに関するスキルも重視されるようになっており、そうしたスキルをもつ人材を異業種から求人・採用する動きも加速しています。
サッカー業界の求人も多数
これまでサッカー業界は、憧れる人が多くても門戸の狭い業界だと思われていました。しかし、スポーツビジネスとしてサッカーがどんどん成長していっていることで、サッカー業界に関わる業種も増えています。
サッカー選手や監督・コーチ、事務・営業・広報といったサッカーのクラブチームの職員だけがサッカー業界関連の仕事ではなく、サッカー関連のイベントプロデューサーやイベント制作スタッフといった仕事もあります。さらに、サッカー関連のメディア業界勤務、広告会社営業・企画 、ショップ・店オーナーや店員といった業種もサッカー関連の仕事だといえます。
そうした業種を含めると、業界の幅はものすごく広く、サッカー業界の求人は多数あると考えてよいでしょう。
まとめ
最後に、スポーツビジネスとして成長を続けているサッカー業界ですが、今や一口にサッカー業界といっても、いろいろな関連業種があり、業界全体だと求人は多数あります。
しかし、業種によって必要とするスキル・知識は違ってきます。
ビジネスの幅が広く、様々な求人があるサッカー業界だからこそ、ビジネスへの参入や業界で働くのを目指すのであれば、詳しい情報の収集や東京ヴェルディカレッジのような、サッカーに関するビジネスが学べるスクールに通うといった努力も必要です。
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