格闘技では、体重によって階級が分かれていることが多く、階級が異なる相手との対戦は基本ありません。
相撲にも階級がありますが、基本同じ階級同士で取り組みが行われています。
しかし、相撲では階級は体重別ではなく、格付けというものがあります。
そして、相撲では、階級・格付けによって給料や扱われ方が大きく変わります。
本記事では、相撲における階級と格付けについて解説していきます。
ぜひ、最後までご覧ください。
相撲にはどれくらい階級があるか
相撲には、階級とは別に格付けという仕組みがあります。
そもそも、階級や格付けの仕組みはどのようになっているのでしょうか。ここでは、相撲の階級による給料の違いについて解説します。
相撲の階級
相撲の階級と定員数を下表にまとめました。
階級 | 定員数 |
幕内(まくうち) | 42名 |
十両(じゅうりょう) | 28名 |
幕下(まくした) | 120名 |
三段目(さんだんめ) | 200名 |
序二段(じょにだん) | なし |
序ノ口(じょのくち) | なし |
相撲の力士は、階級によって扱いが大きく変わるといわれていますが、そもそも扱いが大きく変わる階級の境目は十両以上であるかどうかです。
ちなみに、幕下以下は、力士ではなく力士養成員です。
力士養成員と力士は、下記の事柄で処遇が異なります。
- 月の給料の支払いがない
- 取り組み数が少ない
- 大銀杏を結えない
- 化粧まわしをつけての土俵入りができない
- まわしの材質が違う
- 塩をまけない
- タオルが使えない
そうしたことに加え、力士構成員は力士(十両以上)の世話や部屋の雑用などをしなければなりません。
相撲の格付け
相撲には、階級の他に、下記に挙げる格付けあります。
- 横綱(よこづな)
- 大関(おおぜき)
- 関脇(せきわけ)
- 小結(こむすび)
- 前頭(まえがしら)
- 十枚目(じゅうまいめ)
- 幕下二段目(まくしたにだんめ)
- 三段目(さんだんめ)
- 序二段(じょにだん)
- 序ノ口(じょのくち)
格付け最高位は横綱。そして大関・関脇・小結は三役(さんやく)と呼ばれています。
そして、この三役と横綱を除いた幕内力士が前頭。前頭は役のついていない幕内力士であることから平幕(ひらまく)とも呼ばれています。
十枚目とは十両力士のことで、この十枚目以上が関取と呼ばれる力士のこと。前頭以下は、さらにそれぞれの格付けの一番上は筆頭、二番目は二枚目、三番目は三枚目という名称の順位があります(東西いるので各2人)。
力士の給料
相撲の力士は年俸制ではなく、それぞれの格付けで決められた給料が毎月支払われます。
そのため、階級や格付けが上がれば貰える給料が増え、下がれば減ります。
ちなみに、支払われる給料の金額は時代によって異なっています。今回は、現在の相撲の階級(格付け)別に、給料を下表にまとめました。
階級(格付け) | 給料 |
横綱 | 300万円/月 |
大関 | 250万円/月 |
関脇 | 180万円/月 |
小結 | 180万円/月 |
前頭 | 140万円/月 |
十枚目 | 110万円/月 |
十枚目(十両)以下の力士は力士養成員のため、毎月の給料の支払いはありません。
この月額支払われる給料の他に、優勝すれば賞金1000万円を獲得できたり活躍すれば、殊勲賞・敢闘賞・技能賞それぞれ200万円が授与されます。
その他、力士報奨金という仕組みもあり、この金額も格付けによって異なります。
力士養成員は毎月の給料は貰えませんが、その代わりに本場所ごと(年6回)に場所手当の支給があります。この場所手当は、
- 幕下二段目:16万5千円
- 三段目:11万円
- 序二段:8万8千円
- 序ノ口:7万7千円
また勝ち星と勝越星によっては、「幕下以下奨励金」も場所ごとに貰えます。
他、幕内力士は取り組みにスポンサーから懸賞が出ていれば、その取り組みで勝てば懸賞金が獲得可能。また、平幕が横綱に勝って金星をあげた場合には、その力士に4万円(金星1つにつき)が支払われます。
番付表とは
相撲における力士の格付けは、場所の結果で上下し、上下した新たな格付けは次の場所前に番付表で発表されます。
この番付表は大きめのケント紙に相撲字と呼ばれる独特の字体を使って書かれていますが、行事が書いた原本を四分の一に縮小した番付表が一般的でしょう。
そして、新たな格付けは本場所が終了した数日以内に開催される番付編成会議で決定。この番付編成会議には出席した審判部の親方が出席しており、話し合いで決めていきます。
番付表が発表されるのは本場所前ですから、年に6回発表されることになります。
字が独特で、しかも縮小されているので、どうやって見たら(読んだら)分からないという方もいることでしょう。
次に、番付表の見方を紹介します。
まず、番付表には、それぞれの格付けで実力が伯仲する力士同士が東西に対称に配置。東西の概要について、下表にまとめました。
東 | 西 |
・戦績が良い ・昇進した ・勝った回数が多い | ・次の戦績に期待する ・昇進までもう少し |
上表に記載した力士が配置されていることが特徴。ちなみに、番付表の向かって右が東、左が西です。
そして、番付表の一番上の段が幕内力士(横綱・大関・関脇・小結・前頭)。次の段が十枚目と幕下です。
三段目が三段目で四段目が序二段。最下位層が序ノ口で、力士の他に年寄・若者頭・世話人・呼出し・床山も書いてあります。
順位は東西どちらも右から順で、文字は横綱が一番大きく、格付けが下がるにつれ、文字が小さくなっていきます。
東西対象に書くことになっているため、横綱の数が奇数だった場合には大関が西の一番右に書かれることもあります。
階級をあげるには
相撲は、場所で勝ち越すことで階級の順位(何枚目)が上がり、負け越すと下がります。
そして、格付け筆頭(順位が一番上)で勝ち越せば、格付けが上がり、格付け最下位で負け越すと、一つ下の格付けになります。
つまり勝ち越しの数が多ければ多いほど、番付の上がり方は大きく、逆に負け越しの数が多ければ多いほど、番付の下がり方は大きくなるということ。しかし、そうした基本的なことも以外にも、いくつか条件も存在しています。
同じ格付け内の順位は勝ち星が基準です。
しかし三段目からは、それぞれの階級に定員があります。そのため、序二段筆頭で勝ち越しても、三段目の力士の中に負け越して順位を大きく下げた力士がいないと三段目には上がれません。
また、同じ勝ち越し数・負け越し力士がいた場合には、その場所での相撲の内容や、現在の格付けを判断材料として、上げるか・上げないか、誰を上げるか・誰を下げるかが番付編成会議の話し合いで決定します。
さらに以下の格付けは、上がる・下がるのに特殊な条件が存在しています。
- 横綱
- 大関
- 関脇と小結
それぞれの特殊な条件について解説しますので、ご覧ください。
横綱
相撲で横綱の階級に上がるためには、大関の地位で2場所連続優勝かそれに準ずる成績を満たすことが条件。また、単に場所での成績がよかっただけでなく、横綱に相応しい相撲内容であることも条件です。
その条件を満たしている力士の昇進を、相撲協会の理事長が横綱審議委員会に諮問し、横綱審議員会が該当の力士の横綱昇進を検討。その検討で横綱審議委員会の推薦を受けると、相撲協会が正式に横綱昇進を決定します。
ちなみに2場所連続優勝の場合は無条件で、それに準ずる成績の場合は、委員の3分の2以上の賛成があればせ横綱昇進に推薦されるのが通例です。
そして、1度横綱に昇進すれば、場所で負け越し(場所欠場)ても大関に陥落はしません。
大関
相撲では、小結か関脇の階級から、直近の3場所での勝ち星の合計が33勝以上することが大関昇進の条件です。
陥落の条件は負け越しですが、場所で負けてもすぐに陥落というわけではありません。
負け越した次の場所はに角番(かどばん)という状態になり、この角番となった場所でさらに負けると関脇に陥落してしまいます。
そして、角番場所で勝ち越せれば、角番が取り消されます。
また、関脇に陥落した御、場所で10勝以上すると再び大関に返り咲くことができます。
関脇と小結
相撲では、関脇と小結の階級には定員があります(東西に1人ずつ)。
そのため、現在その格付けにいる力士が負け越して陥落するか、関脇の力士が大関に昇進しないと、下の格付けにいる力士がどんなに勝ち越しても昇進することはありません。
このように、関脇と小結には大関や横綱と比較しても厳しい条件が課せられることがあります。
まとめ
今回は、相撲の力士の階級・格付けについて紹介しました。
階級・格付けが1つ変わるだけでも、給料の金額はかなり違っていました。また、給料だけでなく報奨金の額も変わってきます。
階級・格付けが下の力士が格上に勝つと観客が沸き、大いに盛り上がります。
次の場所から、ぜひ、階級や格付けにも注目しながら試合を観戦してみてください。
(TOP写真提供 = Mike Swigunski / Unsplash.com)
《参考記事一覧》
【相撲】階級が行司や呼出にもあるのはなぜ?一覧や待遇を紹介!(スポジョバ)