高騰するワールドカップ放映権料|なぜ高くなっているのか徹底解説!

ワールドカップをテレビの前で観戦する、という方は少なくないでしょう。

しかし、今、その放映権料の高騰に放送局は悩まされています。

今回は、ワールドカップの放映権料は

  • 実際にいくら掛かっているのか
  • 高騰する理由は?
  • これからの展望は?

を紹介します。

ワールドカップの放映権についてわかりやすく解説しているので、ぜひご一読ください。

高騰が止まらないワールドカップの放映権料

ワールドカップは、テレビで放送すれば高視聴率が期待できる大人気のコンテンツのため、経済効果も大きいとされています。

しかし、人気があるだけその分、放映権料が高くなり、各テレビ局が悲鳴を上げているのが現状です。

2002年の日韓大会より始まった制度により、JC(NHKと民放の作る共同制作機構)が、電通を通してFIFAから放送権を購入。民放でも放送できるようにしたことが、放映権料高騰の大きな理由となっています。

1970年開催のメキシコ大会と比べると750倍!?

ワールドカップロシア大会で、JCがFIFAに支払ったのは約600億円。

日本で初めてワールドカップが放送された時の放映権は8000万円でした。それに比べると、750倍もの金額になったといえます。

ここまで高騰したきっかけとして挙げられるのが、2002年に開催された日韓ワールドカップです。

日韓ワールドカップ以前、FIFAはNHKにのみ放映権を販売していたため、98年のフランス大会の放映権料は6億円でしたが、2002年の日韓ワールドカップの際に、JCが電通を通して放映権を購入するようになると、放映権料が高騰しはじめます。

日本が開催国であった日韓大会の放映権料は185億円と高騰しましたが、2006年開催のドイツ大会は140億円。その後、南アフリカ大会では170億円、ブラジル大会が240億円と価格が上がり続け、2018年開催のロシア大会では約600億円となりました。

放送開始当初に比べて750倍もの額になったのは、放映権購入の仕組みが変わったことが背景にあるといえるでしょう。

2022年開催のカタール大会の放映権料は高止まり

前述したとおり、2018年のロシアワールドカップで日本が支払った放映権料は600億円であり、全世界の放映権料は2000億円でした。

2014年のブラジル大会で日本が支払った放映権料は240億円だったので、約1.5倍に膨れ上がったといえます。

そして、2022年に開催予定のカタール大会に関して日本が支払う放映権料は300~400億円、全世界の放映権料は3,850億円。高止まりしているといえるでしょう。

ワールドカップの放映権料が高騰する理由は?

前述のとおり、ワールドカップの放映権料はどんどん高騰しています。放映権料が高騰する理由には、放映権料の購入方法が変化した以外に、大会の大型化が挙げられます。

ロシアワールドカップでは、出場した全チームへ準備金として150億ドル(約1億6500万円)、そして、1次リーグで敗退したチームにも800万ドル(約8億8000万円)が支払われました。

ちなみに、日韓大会では準備金が7500億円、1次リーグ敗退で3億4500万円が支払われましたが、ロシアワールドカップと日韓大会を比べてみると、準備金と1次リーグ敗退のチームに支払われる金額も高額になっているといえます。

こうした莫大な費用の捻出を、FIFAは放映権料に大きく頼っているのです。

また、途上国などへのボールやサッカー用品の寄付などの費用も、放映権料によって賄われています。

放映権料の高騰で撤退するテレビ局も

ここまで紹介してきたような放映権料の高騰によって、スカパーやテレビ東京は放送から撤退してしまいました。

スカパーは、2002年(日韓大会)、2006年(ドイツ大会)、2010年(南アフリカ大会)と3大会連続で放映していましたが、2014年のブラジル大会は、放映権料が高騰していることを理由に撤退しました。

テレビ東京も放映権料の高騰によってロシア大会の放映を断念しましたが、他の民放各も高くなりすぎる放映権料に悩んでいます。

民放連は、南アフリカ大会から3大会連続で、Wカップにおける民放収支が赤字になったと発表。放映権料と番組制作費が、収入を上回ってしまったのです。

ワールドカップは、たしかに数字の取れるコンテンツです。

しかし、放映権料の高騰によって赤字を生んでしまうコンテンツともいえます。

この高騰が続けば、ワールドカップ観戦が有料のネット配信サービスでしか見られない時代が来るかもしれないという危機感を持っている関係者もいます。

ちなみに、ブラジル大会では全世界の放映権料が2000億円。

日本が支払ったのが400億円なので、実に5分の1の金額を日本が負担していました。割合としては高めですが、その分、日本時間を考慮した試合時間の決定などもありました。

高騰する放映権料は痛手ではありますが、それを支払うことで、日本の放送局に融通を効かせてもらうことはできるようです。

放映権料の高騰はこれからも続く!?

放映権料が高騰する理由の1つに、ワールドカップの出場国が増えていることが挙げられます。2026年に開催されるワールドカップでは、出場国が現在の32ヵ国から48ヵ国に増加。

出場国や地域が増えれば試合数が増えます。それに伴って、放映権料の高騰が予想されています。

まとめ

放映権料は、大会の存続やFIFAの収益のためには必要なことですが、高騰し続けることで、放送局の負担は増える一方です。こうした流れの中で、放送を諦める放送局もあるほど。

一部の有料配信サービスでは、積極的にサッカーの放送を取り入れていく傾向もあり、ワールドカップがいつまで無料で観戦できるのかにも注目が集まっています。

(TOP 写真提供 = ANDREY-SHA74 / Shutterstock.com)


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