野球の市場規模はどれくらい?日米プロ野球リーグの市場規模と観客動員数を紹介

業界の売上高の総計で表す「市場規模」。

販売計画を立てるにあたり、重要な指標でもありますが、野球の市場規模はどれくらいなのでしょうか?

日本野球機構の営業収益と米大リーグ機構の営業収益について調べてみました。

コロナ禍による野球界への影響についても紹介します。

NPBの営業収益は年々増加傾向

2017年度の日本野球機構(NPB)の営業収益は約1,800億円。

概算での数値となりますが、その理由は、決算報告の際、貸借対照表のみが開示され、売上高(営業収益)や販管費、営業利益はほぼ開示されないため。また、巨人と中日は親会社が非上場の新聞社であることから決算開示がありません。

一方、福岡ソフトバンクホークス球団は、2018年2月期に売上高300億円を突破(304億円)し、2019年2月期の売上高は317億円。年々売り上げを増やしています。

また、横浜DeNA球団は親会社DeNAの情報として、バスケとランニングクラブ含むスポーツ部門売り上げを2019年度202億円としています。

以上の例から、年商100億~200億円の球団が12球団あるとした場合、日本のプロ野球リーグ全体では、約1,500~2,000億円が市場規模と考えることができます。

米大リーグ機構MLBの営業収益はNPBの約6倍

米大リーグ機構(MLB)は、2018年度、103億ドル(約1兆1,433億円)を超える営業収益を上げています。NPBの2017年度の営業収益が約1,800億円であるのに比べ、MLBは6倍以上の収入があることが分かります。

MLBとNPBの収益が大幅に違う理由として、MLBは30 チーム、NPBは12チームと、その球団数が違うことから、シーズン中の試合数の違いによる入場料収入の差、ということも挙げられますが、その収入差よりも、売り上げの大きな割合を占める放映権料やスポンサー収入の違いが大きいとされています。

日米野球リーグの放映権契約について

MLBは、2020年9月25日、メディア大手ターナースポーツとの間で2022年から7年間の放映権延長契約を総額37億ドル(約3,900億円)で締結しました。

2022年からはFOXと放映権契約を7年総額51億ドル(約5,400億円)、映像配信会社DAZNと3年3億ドル(約315億円)で締結しており、大リーグ各チームにはFOXとターナーだけで2022年から7年間に渡って毎年総額約1,320億円の放映権料が各チームに分配されることになります。(各チームには約44億円の分配。)

一方のNPBにおいては、巨人が2019年にDAZNとの間で年間20億円の放映権契約を締結、2020年には5年間契約を延長するなど、巨人や阪神など単体で儲かっている球団がそれぞれで契約を結んでいます。

つまり、NPBとMLBは放映権契約のあり方でも多いな違いがあるといえるでしょう。

日米の野球での市場規模の違いの原因

NPBとMLBの市場規模が6倍も差がついた原因として、日本のバスケットボールプロリーグであるBリーグの立ち上げ時に、Bリーグ事務局長の葦原一正氏は

  1. リーグ主導のガバナンスの再構築
  2. デジタルシフト
  3. スタジアムの新築と改修
  4. 若い人材の活用

の4つを挙げています。

それぞれの理由について、簡単に見ていきましょう。

 1. リーグ主導のガバナンスの再構築

MLBは、ビジネス全体を統括し、リーグ価値を最大化する努力を実行。各チーム共通コストの大幅カットを行うという、MLBを主導とするガバナンスの再構築を実施。

2. デジタルシフト

MLBは、データを一括管理し、データを利用したデジタルマーケティングを実施。

3. スタジアムの新築と改修

20年でMLB球団の3分の2がスタジアムを新築または改修。収容人数の増加や飲食環境の改善を図っており、来場する観客が楽しめる環境を演出。

4. 若い人材の活用

MLBには30〜40才のGMや社長が多く出現。新しい経営方法やITを利用した経営で手腕を発揮。

この分析結果は、Bリーグ主導での事業戦略等に活かされており、Bリーグは立ち上げから市場規模が右肩上がりの拡大軌道に乗っています。

プロ野球のファン人口は昨年比90万人減少

写真提供 = Mike Flippo / Shutterstock.com

三菱UFJリサーチ&コンサルティングとマクロミル共同調査の「2019年スポーツマーケティング基礎調査」結果によると、日本のプロ野球ファン人口を推計すると2 ,685万人。

前年の2,775万人から90万人減少となっています。

2010年からのファン人口の長期傾向を見ると、2013年と2017年に一時的な改善は見られましたが、2011年の3,685万人をピークに、なだらかに減少しています。

ファンの減少理由には、少子化やスポーツ競技の多様化、趣味の多様化等が考えられますが、改善がみられた年はWBC開催年であることから、日本代表の試合に関心のあるファンがある一定数いるということが考えられます。

NPB両リーグの観客動員数は2012年から右肩上がりの増加

年度別入場者数(単位:万人)

年度201020112012201320142015201620172018
セ・リーグ1,2301,1791,1791,2201,2611,3511,3841,4021,423
パ・リーグ9839779579841,0241,0721,1131,1111,131
両リーグ2,2142,1562,1362,2042,2852,4232,4982,5132,555
出典:NPB統計データ(NPBホームページ)

NPBが発表している観客動員数の統計を見ると、セ・パ両リーグとも2012年から観客動員数が右肩上がりに増えています(パ・リーグは2017年のみ前年比微減)。

これは、各チームが観客動員に力を入れていることの現れで、観客が家族揃って参加し楽しめるスタジアムのボールパーク化や、「スタ飯」(球場での食べ物のこと)と呼ばれる飲食の本物化・本格化の取り組み、SNSを通じての好プレーなどの無料配信やパ・リーグ試合の有料オンデマンド配信など、各チームの観客者数拡大に向けた経営努力が功を奏しているといえるでしょう。

コロナ禍で多額の経済損失も

2020年、新型コロナウイルス感染症の世界規模での拡大により、日米プロ野球界はともに開幕を遅らせることとなりました。

日本では6月19日に無観客試合で開幕しましたが、関西大学の宮本勝浩名誉教授が5月13日に発表した試算では、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、年初めから6月末までの間にプロスポーツ業界で約2,747億円の経済損失が生じたとしています。

その詳細として、試合の中止や延期、無観客試合などで観戦に伴う飲食や宿泊、物品販売の売り上げなど直接的に失われる消費は、プロ野球では約725億円、サッカーJリーグは約390億円、バスケBリーグは約40億円などで合計約1,272億円と推測しています。

日本のプロ野球は、12球団の大半が入場料収入や物販を大きな財源としており、中には入場料収入や物販が全収入の6割を占める球団も。

9月18日までは上限5,000人の入場者制限が行われていたため、例年1試合当たり1億円はあった平均売り上げが、2020年度は8割減の約1,500万円まで落ちたとされています。

9月19日からようやく球場定員の半分まで入場が緩和されるため、今後は約1~2万人の集客が見込め、多少の改善は見られるようです。

ただ、「新しい生活様式」の浸透により、テレビや動画配信での観戦の定着や他の趣味などへの移行により、球界全体で観客動員数を10年間で約2割増加させた努力が失われることになるのではないかと危惧する声もあります。

まとめ

日本のプロ野球は、両リーグ合わせて年間約2,500万人の観客が観戦に訪れる根強い人気を誇るスポーツです。

コロナ禍による損失は大きいですが、球場の入場者数制限も緩和されてきたことから、今後、球上に足を運ぶファンが戻ることが期待されます。

(TOP写真提供 = PixieMe / Shutterstock.com)


《参考記事一覧》

【速報】2019 年スポーツマーケティング基礎調査 ~ワールドカップ日本開催で高まるラグビー人気~ (三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社ホームページ)

日本プロスポーツリーグ売上規模ランキングTOP3!市場規模はどのくらいなの?(スポジョバ)

プロ野球セパ12球団の決算と自己資本比率から球団経営の戦略とロマンを読み解く(BEHIND THE FITNESS)

[世界のリーグ売上ランキング]1兆円超え達成の2リーグはどこ? 日本と桁違いの売上額(REALSPORTS)

メジャーがまた大型の放映権契約結ぶ…2022年から年平均1300億円超の収入へ(スポーツ報知)

統計データ (NPBホームページ)

 
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