【選書】5年で3倍!市場急拡大で注目の「eスポーツ業界」を学ぶ2冊

「eスポーツ元年」とされた2018年に48.3億円だった市場規模が2019年には61.2億円へと拡大、2023年には153.3億円に達するとの予測も出ているeスポーツ(KADOKAWA Game Linkage社調べ)。今月は、国内だけでなく世界的にも成長する注目分野のeスポーツについて、ビジネス視点で学ぶことのできる2冊を紹介する。

eスポーツ産業論

『eスポーツ産業論』(青山学院大学 総合研究所研究ユニット「五輪eスポ」編/川又啓子・筧誠一郎・川口洋司・原田美穂・大島正嗣・秋元忍・丸山信人著、同友館)

本書は、eスポーツを「産業」という視点で捉える一冊。第1部「eスポーツという新産業」では、オリンピックでの採用の可能性が取り沙汰され、高額の賞金大会が注目されるなど、話題を集めてるeスポーツについて、韓国をはじめとしたeスポーツ先進国の事例を紹介する。

第2部「研究者が見たeスポーツ」では、スポーツ史やマーケティング論といった学術的な視点からeスポーツを解説。また、地域振興に生かす先進的な自治体(愛媛県・茨城県)と「eスポーツフェスタ(東京都)」を取り上げ、政策としてのeスポーツの可能性を考える。

eスポーツ界で活躍する実務家と、学術的な視点からeスポーツを捉える研究者の共著となる本書。国内外の先進事例と、学問としてのeスポーツという多角的な視点から、eスポーツの可能性と課題を探ることができる。

eスポーツビジネス eスポーツ×ビジネスの現場からお伝えします!

『eスポーツビジネス eスポーツ×ビジネスの現場からお伝えします!』(中野龍三著、秀和システム)

黎明期からeスポーツ業界に深く携わり、メディア出演や執筆活動を続ける著者・中野龍三氏が、現在のeスポーツを「最大のビジネスチャンス」として著した一冊。eスポーツをビジネス視点で捉え、最前線で活動するキーパーソンへの取材を通して現状と今後の可能性を分析する。

たぬかな、吉本興業、コナミデジタルエンタテインメイント、徳島県など、eスポーツ選手からコンテンツホルダー、イベント主催者、行政に至る多様なプレーヤーの実際の声は、eスポーツの現在位置を確かめる手がかりなる。

新たな一大産業として注目が集まるeスポーツ。最前線で実務に取り組むビジネスパーソンや研究者の声をきくことは、eスポーツのビジネスとしての可能性を理解するきっかけになるだろう。