PUMA、LaLigaとのオフィシャルパートナー契約を締結

リーグ、クラブ、選手。進むPUMAのスペイン投資

独スポーツ用品大手のPUMA(プーマ)は、2019年4月、スペインのサッカーリーグLaLiga(ラ・リーガ)と、同リーグのオフィシャル・テクニカルパートナーとなる長期契約を締結した。2019-2020シーズンから、プーマはスペインのトップリーグである「LaLiga Santander」、及び、2部リーグの「La Liga 1|2|3」の全試合において、公式マッチボールを提供する。

LaLigaの公式マッチボールは、ナイキが1996-1997年シーズンから23年間にわたり提供していたが、来シーズンよりプーマへと切り替わる。契約期間・額は明らかにされていないが、現地紙『as』は3年契約であると報じている[1]。

LaLigaは、183カ国で27億人の視聴者を擁し、ソーシャルメディア上では8,000万人以上のフォロワーを持つ世界有数のサッカーリーグ。今回のスポンサーシップ契約は、試合を通したブランドの露出を拡大することで、ナイキやアディダスといった競合が先行する中、サッカーブランドとしての地位を一層強化する狙いがある。

プーマのスポーツマーケティング・ディレクター、ヨハン・アダムソンは次のように語る。

「LaLigaは、世界で最も優れたチームと選手を擁しており、今回のスポンサーシップは、“プーマなしではサッカーはない”世界を目指す私たちにとって更なるステップで、ブランドのグローバルリーチをより強化するものだ」[2]

プーマはLaLigaに所属する選手やクラブへの投資も続けている。これまで契約していたフランス代表でアトレティコ・マドリード所属のアントワーヌ・グリーズマンの他にも、2018年にはウルグアイ代表でFCバルセロナ所属のルイス・スアレスとの契約を発表した。また、今年には新たにバレンシアCFとジローナFCとも契約し、2019-2020シーズンからユニフォームキットを提供する。

グローバルビジネス化 LaLigaが図る差別化戦略

今回の契約は、LaLigaのブランド戦略に基づく、差別化の一環とも見て取れる。現在、英プレミアリーグと伊セリエAもナイキのマッチボールを使用しており、デザインの違いは僅かである。米国ブランドであるナイキから、ドイツを本拠地とする欧州ブランドであるPUMAへの切り替えは、グローバルビジネスにおいて、一層「欧州ブランド」を際立たせることが可能だ。

スペインのサッカーリーグは2015年にブランド名をLFP(Liga de Fútbol Profesional)からLaLigaに変更し、本格的な国際化へ向けてリブランドを実施。ロゴやタイプフェイスなど新たなビジュアル・アイデンティティを設定し、「フレンドリーで温かく、人間らしいアプローチ」[3]のデザインを採用。英プレミアリーグや米MLSと比較されても遜色ないブランドとなった。

強固なブランド梃子にすれば、放映権とスポンサーシップなどによる収益力を一層高めることができる。例えば、直近ではサッカーだけではないスペインのスポーツコンテンツをモバイルやタブレットに提供するOTT(Over the Top)ストリーミングサービス「LaLigaSportsTV」を発表し、スポンサーであるサムスンとの結びつきを一層強めている。

LaLigaのマーケティング&コマーシャル・ディレクターのフアン・カルロス・ディアス氏は次のように語る。

「プーマのような歴史的なスポーツブランドと提携でき、ボールという我々の競技で最も重要な要素に対し、技術品質の面で貢献していただけるのは光栄だ。この契約は両社にとって非常に有益であり、今後様々な課題に対し、両社が一団となって取り組むことができると確信している」[2]

◇参照

1. as

2. PUMA

3. IS Creative Studio