スポーツマーケティングの実態|発展の経緯とポイント

スポーツマーケティングとは?

スポーツマーケティングとは、簡単に説明すると「スポーツを好きになってもらうための活動」のことです。

スポーツの試合を利用した広告を展開したり、選手やチーム、スポンサーのエージェント(代理人)として、ファンと報道メディア、企業をつなぐ役割を果たすこともあります。

上記のような活動は、おもに大手の広告代理店が請け負ってきました。

情報やデータ配信のほか、スポーツ映像制作などのメディア事業やファンクラブの運営、イベント開催なども広い意味でのスポーツマーケティングに含まれます。

日本のスポーツ界では、いち早くプロ化がスタートした野球をはじめ、90年代に発足したサッカーのJリーグ、近年ではバスケットボール、Bリーグのプロ化がスタートしました。

福利厚生と企業宣伝の一環だったかつてのスタイルから脱し、スポーツ競技を積極的に活用して事業化につなげるビジネスモデルの模索が続けられています。

そんな動きを支えるのが、「スポーツマーケティング」事業です。

スポーツマーケティング発展の経緯

・SEE(見る)スポーツ

スポーツマーケティングという概念が生まれたのは1970年代後半。

当時はスポーツマーケティング=SEE(見る)スポーツの市場が中心でした。

テレビが娯楽の中心で、プロ野球や大相撲といったコンテンツはエンターテインメントの王道。

現代と違ってメディアも少なく、日本人が楽しめる娯楽は限定されていたのです。

やがて、ゴルフやテニスといったスポーツにもスポンサーの協賛金が集まるようになり、大会運営や選手への支援をスポンサーが行うなど、現代のスポーツマーケティングの礎が形成されていきます。

長野五輪やFIFAワールドカップといったビッグイベント開催を契機に、マーケティング収入の重要性が高まりました。

スポーツマーケティングも多様化し、90年代後半からは放映権販売が重要視されるようになっていきます。

スポンサー企業がスポーツマーケティングのメリットとして着目したのは、

①注目度の高い大会を通じて露出される広告の効果

②人気選手を自社の広告に起用することでのイメージアップ

③人気選手が着用することによる自社製品のブランド力アップ

の3つです。

この3つめのメリットが着目されたことに伴って、DO(する)スポーツにおけるスポーツマーケティングが発展することになりました。

・DO(する)スポーツ

Jリーグ開幕からFIFAワールドカップ開催によってサッカー人気は飛躍的に伸びましたが、プロ野球選手やJリーガーに憧れて野球やサッカーを始めた子供たちは数多くいるもの。

五輪で活躍した選手の影響で、スイミングスクールや体操教室の生徒が増加するという現象も見られました。

つまり、SEEスポーツがDOスポーツに与える影響は大きいといえます。

競技人口が増えれば、用具やウェアの売上げもアップしますが、数ある競技の中で、近年、急成長を遂げているのがランニングビジネスです。

ランニングブームによって、シューズやウェア、サングラス等ランニング関連アイテムの市場は大きく成長しました。

DOスポーツの参加人数の増加に伴い、SNSなどのソーシャルメディアを通じて個人がさまざまな情報を発信することにより市場が広がるという新しい形のマーケティング価値をつくり出していることが特徴です。

スポーツマーケティングの成功例

・B.LEAGUE

2016年9月、バスケットボールの新しいプロリーグとして「B.LEAGUE」が開幕しました。

B.LEAGUEでは、具体的にどのようなマーケティング施策を実践していたのでしょう。

まず、ターゲットを10代から30代がメイン層と設定。

彼らの大多数が所持しているスマートフォンを活用し、専用アプリから購入できる電子チケットで会場に入れるという仕組みを導入しました。

この専用アプリには、好きなチームのカラーに画面デザインを変更する機能などが付いています。

また、チケット購入者の情報を一元管理することで、ユーザー個人に最適化した情報やサービスの提供も行っています。

試合のスケジュールや速報、ハイライト映像などをプッシュ通知で取得することもできるため、会場にいなくても応援するチームの最新情報や当日の試合状況を知ることが可能です。

また、「LEDコート」もオープニングセレモニーで話題になりました。

ゲーム中、試合展開に応じて様々なグラフィックやメッセージが電飾で表示されるさまは、まさにインパクト抜群でした。

CGによる演出や、ペンライトと連動した非日常的なエンターテインメントの演出といった、従来のスポーツ観戦になかった新たな観戦体験を提供したB.LEAGUE。

アプリやLEDコートなどの導入により、リピーター観戦を促すことに成功し、順調なスタートを切ったのです。

・広島東洋カープ

広島東洋カープは、かつてセ・リーグの球団の中では人気が低迷していましたが、現在ではトップクラスの人気球団となっています。

その人気浮上を支えたのが「カープ女子」と呼ばれる若い女性ファンです。

「カープ女子」というキーワードは、2014年のユーキャン新語・流行語大賞のトップテンに選定されたほど。

彼女たちの人気を獲得したのは、球団のマーケティング戦略が功を奏したからといえます。

まず、2009年に本拠地をMAZDA Zoom-Zoom スタジアムに移した広島東洋カープ。

このスタジアムは、アメリカの球場を参考にして、「ボールパーク」の要素を採り入れています。

バーベキューができるテラス、寝転んで観戦できるシート、子供が遊べる大型遊具など、従来の球場にはまったく見られなかった座席や仕掛けがたくさんあり、老若男女が楽しめる場所になったのです。

さらに、2017年6月にはシャープが開発した「ファンバンド」というグッズが発売されました。

ファンバンドは、スマートフォンアプリと連動した腕時計型のウェアラブル端末であり、試合状況を一目で把握することができます。

装着した人の動きを「応援動作」として感知し、数値化したものをクラウドへ送信する機能もあり、送信されたデータは、集計されて「応援ランキング」の表示に使われるなど、球場での演出に利用されています。

ソフトとハード面双方でファンのニーズに応え、観客動員が右肩上がりとなり、チーム成績も向上。

2016年に25年ぶりの優勝を果たすと、2018年シーズンまで3連覇を達したのです。

まさに、スポーツマーケティングの成功からチーム成績が飛躍的にアップするという好事例となりました。

事例から学ぶスポーツマーケティングのポイント

・スタジアムの外にいるファンにもサービス

上記の事例では、実際にスタジアムや球場に足を運んでいる来場者だけではなく、スマートフォンアプリなどを活用して幅広いファンにアプローチしている点が注目に値します。

スポーツビジネスに限らず、マーケティング領域全体で、O2OやIoTといった言葉を耳にすることが多くなっていますが、オンラインとオフラインを結びつけ、来店時・サービス利用時でなくても、ファン(既存顧客)に対してアプローチすることが重要だと言えるでしょう。

目の前のお客さんだけでなく、その場にいないファンにもサービスができる仕掛けが重要であり、それができればさらにアピールできると言えそうです。

・SNS映えする要素がそこにあるかどうか

近年では「インスタ映え」するかどうかが人気を左右する重要な要素となっています。

スポーツ界においても、B.LEAGUEのLEDコートや、MAZDA Zoom-Zoom スタジアムの斬新な座席や遊具は、まさに「インスタ映え」しそうです。

また、Instagramだけではなく、SNSでの情報拡散はプロモーションにおいて見逃せない要素。

「つば九郎」や「ドアラ」など、特徴的なマスコットキャラクターもSNS映えの格好の対象となります。

今後のスポーツマーケティングにおいて、SNS映えが重要なテーマになっていくことは間違いないでしょう。

まとめ

以上、スポーツ界でのマーケティングの経緯や成功例と、そこから見えるマーケティングのポイントを解説しました。

2020年東京五輪を控えて、日本のスポーツビジネスはさらに活気づいていくでしょう。

プロスポーツチームやそれを支援する企業によるマーケティング活動もより活発化していくと予想されます。

スポーツマーケティングには、他の業界に応用できる要素が多いだけに、これからも注目する価値は大きいでしょう。

参考記事一覧

【国内外事例】スポーツ業界から学ぶマーケティングの勘所(PLAN-B)

スポーツマーケティングの成功事例から学ぶこと(Battery)

https://relic.co.jp/battery/articles/13955

「スポーツマーケティング」とか「スポーツマネジメント」ってなに?(ゼロからのスポーツビジネス入門)

 
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