「ゲームはスポーツか」
そんな議論がにわかに盛り上がっています。そのきっかけは、eSportsというテクノロジーを使用したスポーツが世界的に流行したこと。今、政府や企業がeSportsの普及に乗り出すなど、国内でもeSportsを広げていこうという流れがあります。しかし、eSportsについてよく知らないという方もまだまだいることでしょう。そこで今回は、日本や世界のeSportsについて、「どんなジャンルのゲームが行われているのか」「どんな企業がeSportsを支援しているのか」など、幅広く解説していきます。
eSportsとは?
eSportsとは、エレクトロニック・スポーツ(electronicsports)の略称のこと。
ゲームハードやPCを使い、複数人で対戦する競技であり、プレー人数はゲームによって異なります。
ルールに沿って競争するところが、スポーツといわれる理由です。
- 海外ではれっきとしたスポーツとして認定されているところも
海外では、eSportsを「スポーツ」として認定している国もあります。
一例をあげると、アメリカでは「eSports」が「スポーツ」として認められていて、プロゲーマーはスポーツ選手であるとされています。
プロゲーマーであることが知られている人はサインを求められることもあるほど。
eSportsの地位が確立されているといえるでしょう。
日本ではまだまだ
海外ではすでにしっかりとした地位を確立しているeスポーツですが、日本国内ではまだまだ認知されているとはいい難いのが実情です。
なぜなら、日本ではゲームを“娯楽の1つ”として認識する傾向が強いため。
したがって、「ゲームはスポーツではない」という意見も根深くあります。
しかし、その一方で、チェスや将棋、囲碁がマインドスポーツとして認知されたように、eSportsが競技として認知される可能性もあるといえるでしょう。
政府の「知的財産推進計画2019」に盛り込まれ、企業にも注目される
eSportsは、政府の知的財産推進計画2019において「健全な発展のために、環境整備に取り組んでいく」と記載されています。
つまり、国を挙げて環境整備をするとされているのです。
また、一般企業の中にもeSportsに注目し、関わりを持とうという団体が増えています。
2019年11月現在で、eSportsと関わりのある企業を一部紹介します。
TOYOTA
日本の自動車メーカーであるTOYOTAは、人気ゲームを手掛ける「BlizzardEntertainment」とパートナー契約を結び、北米プロリーグの公式スポンサーになっています。
TOYOTAは、eSports市場への参入を、若者のクルマ離れを止めるための新たな取り組みと位置づけているのです。
浅井企画
浅井企画は、お笑い芸人やタレントを多数抱える企業ですが、パソコン機器販売メーカーの「サードウェーブ」と提携し、浅井企画ゲーム部を発足させています。
浅井企画ゲーム部の部長には流れ星の瀧上伸一郎が、そして、名誉会長には関根勤が就任。
YouTubeでチャンネルを開設し、2018年7月から毎週月曜日にストリートファイターや鉄拳、ウイニングイレブンなど6つの人気タイトルのプレイ動画を配信しています。
この配信活動を通じてライト層の視聴者を中心に、eSportsの魅力を広める活動をしています。
おやつカンパニー
おやつカンパニーは、ベビースターやスナック菓子、カップめんなどの食品を製造販売している企業です。
そのおやつカンパニーは、名古屋のeSportsプロチームとスポンサー契約を結び、「名古屋OJAベビースター」チームとして、eSportsの大会に参戦しています。
「ベビースターを片手にeSportsを観戦」という目標を掲げているおやつカンパニーは、eSports文化の普及活動とともに、今後のスター選手を育成する支援をしています。
eSportsの競技人口はどれくらい?
eSportsの競技人口は世界に約1億人以上いるとされています。
また、主に観戦をする人は約3億8千万人。日本の人口以上の規模を誇っています。
一方、日本におけるeSportsの競技人口は390万人、観戦者数は160万人とされていて、日本ではまだまだ浸透していないことが分かります。
世界のeSports人口と比べると、日本の規模は小さいといわざるを得ませんが、これからITインフラなどの土台が充実すれば、一気に加速することも考えられるでしょう。
ちなみに、最もプレイされているコンテンツである「League of Legends」のプレイヤーは世界に1億人いるとされています。
野球の競技人口が3500万人といわれているので、eSportsが世界でどれだけ盛り上がっているのかがよく分かりますね。
eSports業界の規模は?
eSportsの市場規模は世界で約16億ドルとされていますが、2022年までに26億ドルまで成長するといわれています。
これまで、日本では法律の問題があり高額賞金の大会は開催できませんでしたが、日本eSports連合(Jesu)が発足してプロのライセンスの発行が行われたため、高額の大会を日本でも開催できるようになっています。
JesuはeSportsの普及推進活動などをしていますが、総務省のeSports産業に関する調査研究報告によると、2018年に入ってから、国内でもeSportsの話題性が高まっているとされています。
オフライン大会のネット配信や地上メディアでの配信、さらにはオリンピックの正式種目への採用が検討されるなど、盛り上がりが加速しています。
また、2018年には新語流行語大賞にもノミネート。
eSportsを“見て”楽しむ観戦者も増えており、今まで以上に注目されていくことが予想されるといえるでしょう。
eSportsとして認定されるのはどういうゲーム?
ゲームにはさまざまな種類がありますが、全てのゲームがeSportsとして認定されているわけではありません。
日本eSports連合がeSportsとして認定しているゲームの条件は次の通りです。
- ゲームに競技性が含まれていること
- 3か月以上の運営・販売実績があること
- 今後もeSportsとして大会を運営する予定があること
- スポーツとしての大会の興行性が認められること
つまり、競技性があり、安定しているゲームが選ばれるといえるでしょう。
また、逆を返せば、条件さえクリアできればeSports公認ゲームになるということがいえます。
eSportsでプレイされているゲームとは?
条件を満たせばeSportsとして認定されますが、実際にeSportsとしてプレイされてるのはどういうゲームなのか、ジャンルごとにみていきましょう。
FPS
FRSは、シューティングゲームの一種です。
プレイヤーキャラクターの一部と、武器、道具が画面に反映。主人公本人の視点で、ゲーム中に移動して武器を使って戦うアクションゲームです。
日本国内でも、プレーヤーが増えているゲームジャンルであり、代表的な作品には
- カウンターストライク
- Unreal Tournament
- バトルフィールド
- コールオブデューティ
- Alliance of ValiantArms
などがあります。
TPS(サードパーソンシューティング)
TPSは、FPSと同じようにシューティングゲームの一種です。
FPSとの違いは、ゲームモニターにプレイヤーのキャラクターがまるまる映ること。日本人に馴染みのあるゲームジャンルでもあります。
ちなみに、アメリカでは、サードパーソンシューターと表現されています。
サードパーソンシューティングでeSportsとして行われているのは次のタイトルです。
- World o fTanks
- World of Warships
- PLAYERUNKNOWN’ S BATTLEGROUNDS
- Fortnite
- 荒野行動
- Splatoon
Splatoonなどの日本でおなじみのゲームも登録されています。
- MOBA(マルチプレイオンラインパズルプレイアリーナ)
MOBAは、複数のプレイヤーがチームで戦い、敵の本拠地を破壊する対戦ゲームです。
相手を倒すよりも敵陣地の破壊を重視するゲームであり、チーム内での戦略が重要になります。
前述した「League of Legends」もこのジャンルに含まれています。
代表的な作品は次の通りです。
- League of Legends
- Heroes of the Storm
- Vainglory
- LORD of VERMILION ARENA
- Dota2
- DotA Allstars
この他にも格闘ゲームやスポーツゲーム、レーシングゲーム、パズルゲーム、カードゲームといったおなじみのジャンルから、MMORPGをはじめとするオンラインRPGもeSportsに採用されています。
ちなみに、2018年にスポーツのアジア選手権と同時に開催された「アジア競技大会」では、以下の6つのゲームが採用されました。
- StarCraft II: Legacy of the Void
- ハースストーン
- リーグ・オブ・レジェンド
- ウイニングイレブン2018
- クラッシュ・ロワイヤル
- ブレイドアンドソウル
様々なジャンルのゲームがeSportsとして認定されているので、自分の得意なジャンルのゲームを見つけると楽しめるでしょう。
まとめ
ゲームを「スポーツ」と呼ぶことに抵抗がある方がいるなど、賛否両論の意見がある中で、政府によるeSports推進の動きがあります。
また、eSportsをオリンピックに採用することが検討されるなど、eSportsの広まりは加速しています。
海外では多額の賞金が支払われる大会も開催されるなど、ますますの発展が期待されるeSports。
新たなスポーツジャンルとして、今後の動きから目が離せません。
(TOP写真提供 = Roman Kosolapov / Shutterstock.com)
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