近代五種は、水泳、馬術、フェンシング、射撃、ランニングの5種類の競技を1日で行う競技です。この記事では、近代五種の歴史やそれぞれの競技のルール、点数方式、そして、東京オリンピックでの競技日程について紹介します。歴史ある競技である近代五種。東京オリンピック観戦で近代五種に注目してみると面白いでしょう。
別名「キング・オブ・スポーツ」とされる近代五種とはどんな競技?
近代五種とは、1人の選手が水泳、馬術、フェンシング、射撃、ランニングの5種類の競技を1日で行うもの。
全く違う5種目を1日でやるわけなので、かなりの鍛錬を必要とします。
競技人口は、世界で約14,000人。そして、日本の競技人口は男子25人、女子6人の計31人です。
競技人口が伸び悩む理由として、たくさんの施設や競技用具を必要とすること、そして、種目に射撃を含んでいることが挙げられます。
日本では銃刀法の許可が必要であり、競技を行う人が自衛官などに限られていたのです。
しかし、2012年からレーザー銃が使用可能となったり、競技加盟国が100を超えるなど、徐々に競技の輪が広がり始めています。
近代五種とオリンピック
近代五種は近代オリンピックと深い関係のあるスポーツです。
なぜ関係が深いかというと、近代オリンピックにふさわしい競技として、クーベルタン男爵が創設したからです。
近代五種が示すのは、肉体と精神の調和をめざすギリシャ哲学の精神。
これは、オリンピックに出場するすべての選手の姿勢に通じています。
そして、近代五種は「キング・オブ・スポーツ」とも呼ばれています。
古代五種は競技が違った
近代五種が行われる以前、古代五種という種目がありましたが、古代五種とは、円盤投、やり投、短距離走、走幅跳び、レスリングの5つの競技のこと。
近代五種とは全く異なる競技がなされていました。
ちなみに、この古代五種の勝敗の決め方は、ルールが不明であり、分かっていません。
クーベルタン男爵はこの古代五種を参考に、近代オリンピックで行う近代五種を決定しました。
近代五種、それぞれの競技内容とルールは?
1人の選手が水泳、馬術、フェンシング、射撃、ランニングの5種類の競技を行う近代五種。
それぞれの競技内容とルールについて、詳しく見ていきましょう。
フェンシング
フェンシングは、西洋の剣術です。
2人の選手が向かい合って立ち、お互いを片手に持った剣で攻撃して勝敗を決めます。
通常のフェンシングは制限時間内に多くポイントを狙うのに対し、近代五種のフェンシングは、1本勝負です。
そして、近代五種のフェンシングは、エペと呼ばれる競技形式で行われます。
エペとは、有効部位が全身の競技方式であり、先に突いたほうがポイントを獲得するというもの。
ランキングラウンドと、ボーナスラウンドの2つのラウンドで順位を争っていくのです。
ランキングラウンド
ランキングラウンドは、1分間1本勝負の総当たり戦で行われます。
勝率70%を250点とし、1勝敗ごとに6点を増減し順位を決めます。
同時突きの場は、時間内であれば再度実施。時間内に勝負が決まらなければ、両選手とも負けになります。
選手には一瞬の瞬発力が要求されます。総当たり戦で、途切れることなく試合が行われます。
フェンシング ボーナスラウンド
ボーナスラウンドは、30秒間一本勝負の勝ち残り戦です。
1勝するごとに、ボーナス点1点がランキングラウンドの得点に加算されます。
時間内に勝負が決まらない場合は、ランキングラウンドの上位者が勝ち残りです。
最終試合は、ランキングラウンドのトップ選手が登場。トップ選手が勝利した場合だけ2点のボーナス点が加算されるのです。
ランキングラウンド得点の下位者から対戦を行うので、上位者を倒していけば、ボーナスポイントを得ることができ、順位アップに大きく影響します。
35試合、途切れることなく試合が行われます。
水泳
近代五種で行われる水泳は、200メートル自由形です。
自由形なので泳法は指定されていません。
最もスピードの出るクロールが良く選択されるようです。
得点は順位ではなくゴールしたタイムによって決定されます。
2分30秒を250点とし、0.5秒あたり、1点を増減します。
日本ではフェンシング、馬術の経験が浅くても水泳の経験が豊富な選手が多いので、日本人選手にとって山場となる競技です。
馬術
馬術は、貸与馬による障害飛越競技です。
12障害15飛越、300点満点からの減点方式で行われます。
障害物の高さは最高で120cm。
所定時間のオーバーや障害落下、不従順や1回目の落馬などによって減点され、2回落馬で競技中止となります。
馬は抽選で選び、20~30分後には競技に入ります。
通常の馬術競技と違い、慣れ親しんだ愛馬で試合をするわけではないため、馬との相性が試合の結果に結びつきます。
乗馬技術が必要なのはもちろんのこと、どの馬が当たったかという運が大きく影響するといえるでしょう。
レーザーラン(射撃とランニング)
レーザーランでは、射撃(レーザーピストル5発)と800mランニングを行います。
フェンシング・水泳・馬術の3種目の合計点を1点=1秒として、上位選手からタイム差でスタートします。
射撃はレーザーピストルを使い、5的命中させれば終了。
命中しない場合は50秒間撃ち続けます。
その後、ランニングを行います。
射撃とランニングを交互に4回行えば、ゴールです。
ゴールした順番が競技の最終順位となります。
13分20秒を基準点500点として計算します。
射撃には集中力、ランニングには持久力が必要であることから、ランニングから射撃への移行は動から静への自制力が求められます。
射撃が当たらないとランニングに移れないので、いかに射撃を正確に行うかがカギです。
近代五種はどこの会場で行われる?日程は?
近代五種の会場と日程は以下のとおりです。
会場:東京スタジアム
8月6日(木)のみ、武蔵野の森総合スポーツプラザ
日時:8月6日(木)~8月8日(土)
8月6日(木)
13:00-19:30
男子フェンシング-ランキングラウンド
女子フェンシング-ランキングラウンド
8月7日(金)
14:30 - 20:30
女子水泳
女子フェンシング-ボーナスラウンド
女子馬術
女子レーザーラン
女子表彰式
8月8日(土)
14:30 - 20:30
男子水泳
男子フェンシング -ボーナスラウンド
男子馬術
男子レーザーラン
男子表彰式
わずか6時間ほどで競技から表彰まで行うタイトな日程です。
まさに、超人的競技といえるでしょう。
まとめ
近代五種は、「キングオブスポーツ」と呼ばる競技です。
1日で5種類の競技を行い、それぞれの競技で高い精度が求められるため、かなりタフなスポーツです。
まだまだ競技人口が少なく、他のスポーツとくらべると観戦者が少ない傾向にある近代五種。
2020年の東京オリンピックでは、5つの種目で選手たちが競う近代五種に注目してみても面白いでしょう。
(TOP 写真提供 = Ververidis Vasilis / Shutterstock.com)
《参考記事一覧》
近代五種とは?ルール・競技人口・有力日本人選手など 東京オリンピック2020】 ( FUNDO)
近代五種・日本の競技人口は31人 銃刀法と装備代高さも影響(NEWSポストセブン)
東京オリンピック2020|近代五種|競技紹介(朝日新聞デジタル)