自由度の高いスポーツとして人気のサッカー。その戦術の種類は、無数にあります。互いのチームが計画していた戦術のぶつかり合いや、その場に立つ選手の魅力的なプレーはサッカー観戦の醍醐味です。
ボールとともに移り変わっていく戦況は、一見同じことの繰り返しにも思えますが、多少なりとも知識を身につけておくと、更に試合観戦が楽しくなること間違いなしです。
本記事では、サッカーをより深く楽しむために基本的な戦術から監督、チーム別の特性などを解説していきます。
ぜひ、最後までご覧ください。
サッカー戦術とは
戦術とは、試合で勝つという目標を達成するための方法や手段のことです。基本的には、攻撃戦術と守備戦術、そして総合戦術の3つからなりますが、現代ではトータルフットボールが主流になりつつあります。
ちなみにトータルフットボールとは、メンバー全員の攻撃や守備幅を極力抑え、常にコンパクトに攻撃と守備を行うこと。ポジションが流動的で、メンバー全員が攻撃にも守備にも回る戦術を駆使しながら対戦します。
基本戦術は大きく分けて、下記の2パターンが挙げられます。
- 攻撃の基本戦術
- 防御の基本戦術
そこからさらに2つずつに分けられていますので、詳しく掘り下げて解説します。
攻撃の基本戦術
攻撃の基本戦術には、下記の2つが挙げられます。
- ショートパス型
- カウンターパス型
それぞれの特徴についてみていきましょう。
ショートパス型
選手同士が距離を詰めることでパスの隙を減らしつつ、ボール支配率を高く維持したままゴールを狙う戦術です。縦へのロングパスや大きなサイドチェンジを行わず、相手にボールを奪われる確率が低ければ失点する確率が低いとの考え方に基づいています。通称「ポゼッションサッカー」ともいわれています。
カウンターパス型
ボールを取ったらすぐ前方に距離を詰め、ゴールを狙うより攻撃的な戦術です。ショートパス型とは反対に、距離の長い縦のパスを狙います。「リアクションサッカー」ともいわれます。
守備の基本戦術
次に、守備の基本戦術についてみていきましょう。主に、下記の2つが挙げられます。
- ハイプレス型
- リトリート型
以下で、詳しく解説します。
ハイプレス型
全体的に前に出て守りを弱める代わりに、相手陣営でプレッシャーをかけながらボールを奪うハイリスクハイリターンな戦術です。ディフェンスも前に出ているため、ボールを奪われて縦のパスを出された場合には、得点を許してしまいます。しかし、相手チームのゴール付近でミスを誘ってボールを奪うため、得点につなげやすいです。
リトリート型
前者とは逆に、ボールを奪われても前に出ず自陣で守備を固めるリスクの少ない戦術です。陣形を固めた守備が可能なので、数的に不利な状況を防ぐことができます。
フォーメーション
基本戦術に加え、相手チームやメンバーの個性を考えて攻守の力量を調整する「フォーメーション」、「システム」が存在します。
前者は目的に応じたDF、MF、FWの基本的な配置数を、後者はその配置から生まれる機能性、つまり、メリットやデメリットと考えてください。
以下で、主流となるフォーメーションを簡単に解説します。
基本的なフォーメーション(DF-MF-FW)には、主に下記のパターンが存在します。
- 4-3-3戦術
- 4-4-2戦術
- 3-5-2戦術
- 3-4-3戦術
それぞれ、ポジションごとに配置することでサッカーとしての戦術が変化します。それでは、詳しくみていきましょう。
4-3-3戦術
FWの3名を左右正面にそれぞれ配置した形です。各ポジションの距離感やバランスに優れています。
また、各ポジションの距離が近いため攻撃と守備の切り替えが容易かつ、切り替え時に無駄な体力を使うことがありません。
しかし、各ポジションのバランスがよいために前線の動きが無くなった場合、相手側のプレスが簡単に通ってしまう可能性があります。
4-4-2戦術
バランスを保ちつつ、守りを固めた配置です。FW2人を前にキープさせることで、ボールを奪った後のカウンターアタックの速さ、奪われた後の守備の安定感を引き出せるでしょう。
MFを4人並べたことで2対1に持ち込みやすく、ボールを奪える確率が高いです。また、MF4人とDF4人という構造のおかげで守備に安定感があります。
しかし、各ポジションが横1直線のラインのおかげで縦幅が狭く、ボールをなかなか前に運ぶことが困難です。
3-5-2戦術
パス回しに特化した「ポゼッションサッカー」を実行しやすい配置です。MFが固まっているため、攻守の切り替えが安定するでしょう。
また、ウィングを配置していないためFWがサイドのスペースを有効活用することが可能です。ただし、サイドに人が少ないことで数的に不利になりやすいというデメリットもあります。
3-4-3戦術
DFを3人にすることでカウンターに弱くなる代わりに、ボールを支配する際の攻撃力を飛躍させる配置です。それぞれに選手が斜めにパスラインを確保できるため、ボールを保持する割合がとても高くなるでしょう。
しかし、相手側のFWが1人しか残っていない場合に後ろの人数が余り過ぎる状態が予想できるので、その点に注意が必要です。
これが最適解!というフォーメーションは存在せず、相性の良し悪しは必ず起こります。
だからこそ、2つ基本戦術を踏まえて考察を進めることは面白く、サッカーの醍醐味の1つでもあるといえます。
まとめ
さて、ここまで多種多様なサッカー戦術例を取りあげてきました。これらがすべて計画通りに実行できるかといわれれば、そうではありません。リアルタイムで移り変わっていくスポーツはどれも、事前に用意していた戦術がそのまま当てはまることが少ないです。
だからこそ状況に応じて監督はもちろん、フィールドに立っている選手達も思考と感覚を最大限活かして勝利を目指します。その選手たちの姿が、ファン達をより引き込むのでしょう。
本記事が、サッカー戦術について知りたい方の参考になれば幸いです。
(TOP写真提供 = Fancy Crave / Unsplash.com)
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