世界各国で親しまれているゴルフですが、「ゴルフって、どうやって作られたのだろう」という疑問を抱いたことがある人も少なくないのではないでしょうか。
今回は、ゴルフの起源や日本での歴史、ボールやクラブの歴史について紹介します。
ゴルフに興味のある方には、ぜひ最後までお読みください。
ゴルフの起源
ゴルフの起源には諸説あり、オランダ、イギリス、フランスなどのヨーロッパ諸国で発祥した、とする説のほか、中国、または日本で発祥したと考えるものもあります。
その諸説ある起源について、紹介していきます。
・オランダ発祥説
ゴルフの起源として最も有力なのは、オランダを発祥とする説です。14世紀オランダでは、長い棒でボールを打ち、少ない打数でポールにボールをぶつけた人が勝ちのゲーム「kolven」が行われていました。
各ホールの距離は約1000ヤードという長距離。1ラウンド中のホール数は4ホールで、羽毛を皮で包んだものをボールとして使用していました。
このゲームがオランダからスコットランドに伝わり、「kolven」から「golf」と呼ばれるようになったというのが、「オランダ発祥説」です。
・イギリス(スコットランド)発祥説
オランダ発祥説と並んで有力視されているのが、イギリス(スコットランド)を発祥とするもの。
14世紀頃、スコットランドで暮らす羊飼いの中で、先端をカーブさせた棒で小石を打って転がす遊びが流行っていました。そんな中、一人の羊飼いが小石を転がしていたところ、野うさぎの巣穴に入ります。この後、野うさぎの巣穴に小石を入れる遊びが流行り、ゴルフの原型になったというのが「イギリス(スコットランド)発祥説」です。
しかし、羊飼いの間で上記のような遊びが流行っていた証拠がなく、事実かどうかは分かっていません。
一方で、1452年にスコットランド国王「ジェームズ2世」によって「ゴルフ禁止令」が発令されていることは判明しています。したがって、少なくとも14世紀中には、スコットランドでゴルフが行われていたことは事実といえるでしょう。
・フランス発祥説
オランダ、イギリスに並んで有力なのが、フランスを発祥とする説です。
12世紀のフランスでは、先端が直角に曲がった棒でボールを打ち、少ない打数で穴に入れる「クロス」というゲームが流行っていました。このことは、文献にもしっかり残っています。
仮にフランス発祥と考え、上記2つの説と地理的な要素を組み合わせると、フランス発祥のクロスが、ベルギーを経由してオランダに伝わり、スコットランドへ広まっていったという展開が出来上がります。
こういった流れが最有力のように思われますが、今の所は決め手にかけており、100%正確と言うことができないのが現状です。
・その他の説
12~14世紀のヨーロッパ諸国を発祥とする説が有力な一方で、古代ローマや中国、更には日本を発祥地と考える学者もいます。
いずれの説も、「先端の曲がった長い棒で、ボールを打って遊ぶゲーム」がその時代に存在したことが根拠とされています。
しかしながら、ここまで紹介したすべての説はあくまで、「こう考えられる」ということだけで、確定しているものではありません。
したがって、将来的に全く新しい説が登場し、それこそが答えだったということも十分ありえるのです。
「ゴルフ」という名前の由来
ゴルフという名前の由来には、大きく分けて2つの説があります。
1つは、オランダで流行していたゲームから来ているとしているものです。先ほど、オランダでゴルフの原型ともいえる競技が行われていたと解説しましたが、その競技はもともと「spel metten kolve」と呼ばれていたもの。
徐々に単略化され「kolf」や「kolven」と呼ばれるようになり、スコットランドに渡ったときに頭文字の「K」が「G」に変わって「golf」になったというのが、オランダ語を語源とする説です。
もう1つは、スコットランド語で「打つ」という意味の言葉「gowf」から来ているというもの。
まだはっきりとしたことは判明していませんが、いずれにしてもヨーロッパの言葉が語源となっていることは、間違いないでしょう。
世界最古のゴルフ倶楽部はスコットランド「ジェントルメン・ゴルファーズ・オブ・リース」
世界最古のゴルフ倶楽部と書くと、「世界初のゴルフ場のこと」と思うかも知れませんが、ゴルフ倶楽部とは本来、ゴルフを楽しむために作られた同好会のようなもの。
したがって、世界初のゴルフ倶楽部とは、最初にできた大きなゴルフ同好会といいかえることができます。
世界初のゴルフ倶楽部は、1744年に作られた「ジェントルメン・ゴルファーズ・オブ・リース」という団体です。
スコットランドのエディンバラ海岸にあった「リース・リンクス」という5ホールのゴルフ場で結成されました。
・最古のゴルフルールを作成した
「ジェントルメン・ゴルファーズ・オブ・リース」は、最古のゴルフルールを作ったことでも知られています。
13条からなる決まりで、競技会を開催するために制定。現代ゴルフの基礎となる取り決めを明文化したものです。
ちなみに、当時のゴルフ場は市街地に存在し、荷馬車がコースを横切っていたり、コース内に洗濯物が干されていたりしました。また、軍隊が行進練習をすることもあったのです。
ここで制定された中で、「あるがままの状態でプレーすること」というルールは、現代ゴルフにも受け継がれています。
1901年、日本にゴルフが伝わる
1744年に世界初のゴルフ倶楽部が結成されてから150年以上経過した1901年、ようやく日本にもゴルフが伝わります。
イギリスの貿易商人「アーサー・ヘスケス・グルーム」が、兵庫県に所持していた別荘に4ホールのコースを作ったのです。
その2年後に9ホールとなり、日本最古のゴルフ場である「神戸ゴルフ倶楽部」が創設されました。
神戸ゴルフ倶楽部には135人の会員がいたものの、日本人会員はわずか7人。外国人の娯楽や交流に使われており、日本人の娯楽施設ではありませんでした。
・本格的に根付いたのは戦後
ゴルフが国内で本格的に根付いたのは、戦後しばらく経ってからのことです。
初の国内ゴルフ場が完成してから3年後の1904年、福井籐太郎によって「横屋ゴルフ・アソシエーション」が作られました。福井氏は自宅の一部をクラブハウスとして提供していましたが、わずか10年で解散。
代替地として川西市に「鳴尾ゴルフ・アソシエーション(現:鳴尾ゴルフ倶楽部)」を開設し、ゴルフが少しずつ広まっていきました。
しかし、順調に進んでいた拡大路線は、戦争によって縮小します。太平洋戦争禍では、ゴルフ場を畑や軍用地として使用する動きが活発化し、たくさんのゴルフ場が閉鎖されました。
戦争が終結しても、すぐにゴルフブームが再燃することはありませんでしたが、街が復興されるとともに少しずつゴルフ人気は蘇っていきます。
関東や関西、全日本でプロ組織が形成され、各種大会を開催するなど本格的なプロ競技として認知されていくのです。
また、戦後の好景気である「神武景気」の後押しもあり、庶民の収入が増えたことでゴルフをプレーする人が増え、ゴルフ場が各地に再建されていきました。
オリンピックにおける歴史
ゴルフがオリンピックで採用されたのは、1900年に開催されたパリオリンピックのことです。
パリオリンピックには、イギリス、アメリカ、ギリシャ、そして開催国のフランスの選手が参加しました。そして、男子はアメリカのチャールズ選手、女子もアメリカのマーガレット選手が優勝しています。
しかし、第2回大会では女子部門が廃止され、男子の個人・団体戦のみ実施されました。
第2回大会の参加国はアメリカとイギリスの2カ国のみ。個人戦はカナダのジョージ選手、団体戦はアメリカのウエスタンゴルフ協会が優勝しています。
その後、競技時間の長さ、参加選手の収集が困難であることを理由に廃止されました。
そんなゴルフ競技に転機が訪れたのは2003年のこと。国際ゴルフ連盟(IGF)が、「オリンピック特別委員会」を作り、男女のプロ団体が参加します。
アマチュアとの架け橋的存在になることで、選手の収集が可能になり、2016年と2021年大会で種目復活となったのです。
ゴルフボールの歴史
堅く、丸い形のゴルフボールですが、当初から現在のような形だったわけではありません。プレーされるようになった当初、羽毛を皮で包んだ手作りの球が使われていました。そのため、性質にかなりのバラつきがあったとされています。
その後、さまざまな改良がなされる中で、「ガッティボール」と呼ばれるゴルフボールが登場します。
樹脂を使ったボールでコストが少なく量産できるため、初期のボールを押しのけて一気に広まりました。
品質の均一化が進み、性能のバラつきが小さくなったとされていますが、性能としてはまだまだで、中には初期ボールよりも劣る球もあったとされています。
・ボールにつけた傷
そういった悩みを解決するきっかけになったのが、ガッティボール表面についた傷です。当時のゴルファーがボールを長いこと使い続け、表面に傷がつくと飛びやすくなり、弾道が安定することを発見したのです。
どのような傷が最適なのか、研究が進み、少しずつ現在のような形になっていきました。
同時に、ゴルフボールの凹凸は「ディンプル」と呼ばれるようになります。
ちなみに、現在のゴルフボールには、300~400のディンプルがつけられています。
・糸巻きボールとソリッドボール
ガッティボールに続いて登場したのが、「糸巻きボール」と呼ばれるものです。これは、ボールの中心に糸ゴムを巻きつけ、カバーした3重構造のボールであり、カバー部分には天然ゴムと合成樹脂製の2種類がありました。
天然ゴムで作られたものは高額でしたが、合成樹脂製を使ったものは価格が安く、耐久性も良かったので多くのアマチュアゴルファーに広まりました。
そして現在、主流なのは「ソリッドボール」と呼ばれるもの。高分子化学で作られており、飛距離、耐久性、安定性を備えています。
現在使われているゴルフボールの90%は、ソリッドボールです。
・ルールの制定
1900年代中盤から、よりよいゴルフボールを作るため、改良が頻繁に行われるようになりました。
しかし、最新のボールとそれ以外のボールで差が生まれてしまい、結果に大きく影響するようになってしまったのです。
そのため、ゴルフボールの重さや大きさ、形を統一化する流れが生まれました。
そして制定されたのが、1920年、イギリスのゴルフ協会(R&A)によって制定された「直径41.15mm以上、45.93g以下」というもの。
その10年後にあたる1930年には、アメリカのゴルフ協会(USGA)が「直径42.67mm以上、45.93g」という独自のゴルフボール規格を導入します。
そして、R&A規格で作られたボールはスモールボール、USGA規格で作られたボールをラージボールと呼ぶようになりました。
以後60年もの間、ゴルフは2つの規格のボールが使われていましたが「さすがになんとかしないと」ということになり、R&AがUSGAに合わせる形で統一化されます。
以後、公式戦ではラージボールオンリーになり、現在ではスモールボールを目にすることは、ほぼ無くなったのです。
ゴルフクラブの歴史
ゴルフクラブの始まりは各国で実施されていた、「ボールや小石を先端の曲がった棒で打って転がし、穴に入れるゲーム」で使われていた棒や杖です。
当時は、木製のクラブでグリップには動物の皮が巻かれてかなり厚みがあり、現在のゴルフクラブよりもホッケーのスティックに近い形状をしていました。
・メタルヘッド
1600年代後半、オランダ貨物船の残骸から、木製のシャフトの先にメタルヘッドがついているゴルフクラブが発見されました。
そして、そういった種類のクラブを「アイアン」と呼ぶようになったのです。
当時のアイアンは、沼や砂場からボールを掻き出すために使われたため、スコップに近い形状をしていました。
・シャフト
1800年代には、ドライバーの原型である「プレークラブ」が開発され、1874年には打面が膨らんだ「バルジャードライバー」が生まれます。
このバルジャードライバーは、ヘッドにシャフトを差し込むタイプであり、今使われているクラブの原型といえるでしょう。
1891年になり、スコットランドで柿の木を使ったクラブが作られると、その後100年の間主流になっていきます。
そんな中、1914年にスチールシャフトが発明されます。柔軟な上に頑丈なクラブで、木製に比べると飛距離が伸びましたが、1926年まで禁止されます。
解禁後はスチールシャフトがメジャーになり、ほとんどのゴルファーがスチールシャフトを使うようになりました。
その後、1965年には「カーボンシャフト」が登場。炭素繊維を素材に使っており、スチールよりも軽く、しなりやすいのが特徴です。
そして現在、スチールとカーボン両方が使われており、進化を続けています。
・ドライバーのメタル化
1979年になると、ドライバーにもメタルヘッドが使われるようになりました。
飛距離、耐久性の両方に優れており、木製のドライバーを使っていた環境だったので、かなり革新的な発明だったといえるでしょう。
その後、少しずつヘッドが大きくなり、現在のドライバーの形になっていきます。
ちなみに、ヘッドが大きくなるとその分スイートスポットが広がり、扱いやすいクラブになっていくため、今ではヘッドの大きさの上限が定められています。
まとめ
ゴルフの起源は、はっきりとは分かっていないのが実情です。しかし、ヨーロッパ地方で発祥したというのが有力な説として語られています。
また、日本に伝わったのは1900年代のことで、多くの困難を乗り越えながら、現在の形になってきました。
2021年開催予定の東京オリンピックでも実施されるゴルフ。
今後の展開が注目されます。
(TOP写真提供 = Daxiao Productions / Shutterstock.com)
≪参考記事一覧≫
ゴルフボールも時代とともに変化していた?!知られざる歴史とは? | CLUNK クランクゴルフ公式サイト
オリンピックのゴルフ競技の歴史、そしてこれからはどうなる? | 調整さん
日本におけるゴルフの歴史 100年以上愛されるスポーツになるまで | ゴルフハック[GolfHack]
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