野球の競技人口数の減少が進む日本|競技人口数の推移と減少の理由を紹介

野球というと、日本で人気のスポーツの1つであり、プロ野球の観客動員数・グッズの売り上げは年間増加しています。

しかし、競技人口数を見ると、学童野球や草野球の所属人数は減少傾向にあり、国際的にも、野球がメジャーなのは東南アジアと北中米だけ。

そこで、今回は、野球の競技人口について調べてみました。

日本国内の競技人口数はもちろん、世界各国の競技人口数、そして、都道府県別の野球の競技人口などについて見ていきましょう。

意外と少ない海外の野球競技人口

昭和の時代から今に続く歴史があるプロ野球や、国民的な一大イベントの1つである高校野球の甲子園大会など、日本において、押しも押されもせぬメジャースポーツである野球。

野球の発祥国であり、メジャーリーグという最高峰のプロリーグを抱えるアメリカをはじめ、キューバやメキシコ、ドミニカといった中米諸国でも高い人気を誇ります。

しかし、日本をはじめとする東アジア諸国、アメリカを中心とする北中米諸国を除くと、オーストラリアやイタリアなどで細々としたプロリーグがあるくらいで、国際的にはマイナースポーツということをご存知でしょうか。

全世界の野球の競技人口は、およそ3500万人だといわれていますが、競技人口が世界で最も多いバスケットボールの競技人口は、約4億5000万人。2位のサッカーも2億5000万人であることを考えると、野球の競技人口は意外と少ない、といえるでしょう。

ちなみに、2位以下のスポーツはというと、3位のクリケットが1億5000万人、テニスが1億1000万人、ゴルフが6500万人となっています。

世界的に見れば野球がいかにマイナーなスポーツであるか、お分かりいただけたのではないでしょうか。

野球がなぜメジャーになれないのか、という理由として、ルールが複雑であること、試合時間が比較的長いこと、そして、用具代が高価であることなどが指摘されています。

幼い頃から野球に親しんできた日本人は、野球のルールが難しいという認識はあまりないかもしれません。しかし、ストライク3つで三振、ボール4つで四球、アウト3つでチェンジと約束事も多く、犠牲フライや盗塁など、ルールを知らない人にはかなり難解なものもあります。

また、ボール、バットに加えて、人数分のグラブや捕手の防具など、必要な道具が多いことも貧困層が多い地域には普及への妨げとなっているようです。

大学野球を除き低下が進む日本の野球競技人口

写真提供= mTaira / Shutterstock.com

日本において長年国民的スポーツとして人気を誇っている野球ですが、近年、その競技人口が減少していることが明らかになっています。

各世代別に競技人口数を見ていきましょう。

日本スポーツ協会傘下のスポーツ少年団に所属する小学生の団員数は、2007年には約17万人だったのに対し、2017年には約12万人。

そして、日本中学校体育連盟のホームページによると、2007年には約30万人だった軟式野球の部員数は2018年には約17万人と、約10年の間におよそ半分近くに減ってしまっています。

また、日本高野連によると、高校生の年代は2010年に約17万人いた部員数が、2019年には約14万人と3万人減りました。

高校生以下の世代で減少がみられる野球の競技人口ですが、大学生の世代では増加がみられます。2007年には668人であった東京六大学野球の部員数は、2018年には873人に増加。関西六大学や九州六大学など、ほかのリーグでも部員数が増加しています。

大学生の世代で増加がみられる野球の競技人口数ですが、社会人の世代では、競技人口の減少が最も深刻な状態です。

昭和の時代には、多くの企業が野球部を保有し、夏の都市対抗野球などは大変な盛り上がりを見せていましたが、景気の悪化とともに野球部を廃部にする企業が後を絶ちません。その結果、かつて、数多くのプロ野球選手を輩出した名門の社会人野球チームの多くが消えてしまっているのです。

県別、野球人口比率とは

2016年に総務省が行った社会生活基本調査によると、全国の25歳以上の野球人口は477万人。25歳以上の100人当たり、4.82人となっています。この調査の定義は、直近の1年間に野球をした人(キャッチボールを含む)というものですが、100人当たりの野球人口比率が低いということが分かります。

野球人口が最も多かったのは沖縄県で、25歳以上人口100人あたり6.85人(偏差値79.5)。2位は神奈川県で6.13人、3位は滋賀県で5.93人、4位は千葉県で5.87人、5位は群馬県で5.48人と続きます。

最も野球人口が少ないのは高知県で、25歳以上人口100人あたり3.28人(偏差値31.6)でした。ワースト2(46位)は同じ四国の愛媛県で3.39人、ワースト3は長崎県で3.54人、ワースト4は和歌山県で3.70人、ワースト5は山口県で3.72人と続きます。

沖縄の競技人口比率が高い理由として、プロ野球チームの多くが春のキャンプを沖縄で行うようになり、高校や大学の強豪チームなども沖縄で合宿を行うことが増えたため、県民が野球に親しむ機会が増えていることが指摘されています。

意外なのは、ワースト2になっている高知県と愛媛県です。ともに野球どころとして知られる県であり、高知には高知高校や明徳義塾、愛媛県には松山商業、宇和島東、済美高校といった甲子園で優勝経験のある名門校が多くあります。

また、ワースト3の長崎県には清峰高校、ワースト4位の和歌山にも智弁学園や箕島高校といった甲子園の強豪校があり、いずれも野球人気が高いとされている地域です。このような野球熱が高いとされる地域においても、競技人口が少ないということが、野球の競技人口数減少の要因といえるでしょう。

まとめ

日本人にとって身近な存在である野球が国際的にはマイナースポーツである、ということに驚いた方もいるでしょう。

大学生の世代を除き、多くの世代でその競技人口数が減少している今、「野球離れ」を防ぐ取り組みが求められるといえます。

(TOP写真提供= mTaira / Shutterstock.com )


《参考記事一覧》

都道府県別25歳以上野球人口(都道府県別統計とランキングで見る県民性)

【世界3500万人】日本の大人気スポーツ野球の競技人口を徹底解説!(スポシル)

世界と日本でこんなに違う!スポーツ競技人口を英語で語ろう!(EnglishLab)

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