東京オリンピックでは、日本古来の競技である空手をはじめ、若者に人気のあるスケートボードやスポーツクライミングなどが実施される予定であり、その競技数と種目数は史上最大規模に上るとされています。オリンピックを楽しむためには、競技や種別、種目について把握しておくと良いでしょう。この記事では、オリンピックの競技はどうやって選定されるのか、また、新種目や東京オリンピックでの注目競技について紹介します。記事を読むことで、オリンピック観戦がより楽しくなるでしょう。
そもそもオリンピックの競技や種別、種目とは?オリンピック競技の選定条件とは?
オリンピックだけでなく、スポーツの「競技」「種別」「種目」は、それぞれ違った意味を持っています。
また、オリンピックでは、独自の競技選定条件が定められています。
そもそも競技、種別、種目の違いとは?
オリンピックの競技、種別、種目の規定は、以下のとおりです。
- 競技
競技は、国際競技連盟が統制するスポーツのこと。
例えば、野球、サッカーというような、一番大きなくくりです。
競技は、公開競技と、正式競技に分けることができます。
公開競技は、試験的に行ってみて、次の大会からの正式種目昇格が判断される競技です。一方で正式競技は、前から実施されていてかつ今大会でも実施される競技のことです。
- 種別
種別とは、競技の1つの部門を示す言葉です。
たとえば、水泳という競技には、競泳はもちろん、水球、飛び込みなどの種別にわけることができます。
陸上で言えば、ハンマー投げ、高跳びというような種別があるといったところです。
- 種目
種目は、種別の中でそれぞれが順位付けできるものです。
水泳の競泳種別では、「男子100m平泳ぎ」とか、「女子100m背泳ぎ」というようなもっとも小さいジャンル分けです。また、柔道男子100キロ級というような階級の差もあてはまります。
・すべては国際オリンピック委員会が決める!
オリンピックの大会プログラムは、すべて国際オリンピック委員会が決定しています。
さらに、競技や種目を選ぶ基準は、オリンピック憲章に記載されたものをもとに判断されているのです。そのオリンピック憲章によると、競技の選考基準は下記のようになっています。
- 夏季:男性は75か国、4大陸、女性は40か国3大陸の広いエリアで実施さている競技
- 冬季:25か国、3大陸の多くの地域で実施されている競技
このように、その競技が世界的にどの程度認知され、広がっているかが大きな基準であり、狭い地域で圧倒的な人気があっても、世界的に広く普及していない競技は認められることがありません。
また、どの競技を実施するかを決めるのは、7年前までと規定されています。ただし、一度競技が決まっても、IOC委員が許可すれば変更することができます。
ここまで競技の選定について紹介してきましたが、種目にも選定基準があります。
種目の選定基準は、
- 最低2回は、世界大会、大陸選手権でで実施されていること
- 種目の実施許可は4年前まで(延長はできない)
- 男性は最低50か国3大陸、女性は最低35か国3大陸で実施されていること
- しっかりと国際的に認知された種目であること
という点。
競技と種目それぞれに選定基準があり、厳しい判断によって決定されているのです。
・そのほか、施設の問題なども選定条件になる
先述の通り、競技の選定基準には、競技の規模が重要視されますが、競技の規模のほかに、施設の問題なども選定基準になります。例えば、実施施設が確保できない場合や利用費が高額であるなど、競技の実行が困難と判断された場合、その競技が選ばれないこともあります。
その例として、野球が挙げられます。野球は多くの地域で人気のあるスポーツですが、オリンピックでの実施は困難とされています。
その理由として、多くのベースボールスタジアムには、巨大な広告が設置されていることがあげられます。既存の球場には広告や看板の設置がなされていますが、オリンピック会場では広告や看板の設置ができません。そのため、既存の球場を利用することが不可能となっています。
オリンピックで野球の実施が困難になっていることも、オリンピックならではといえるでしょう。
例外的に認められる競技
オリンピック競技には、厳しい選定基準をクリアする必要がありますが、オリンピック競技の選定には例外があり、その競技がオリンピックの歴史上で必要であると判断されれば、実施することが可能です。
2020年東京オリンピックの新種目は?有力選手は?
2020年のオリンピックでは、多くの新種目が採用されます。そして、メダルの獲得が期待できる日本の選手たちも出番を待っています。
空手とその有力選手
2020年の東京オリンピックでは、組手と形の2種目で空手競技が行われます。
組手
組手は、 一対一で戦う種目です。選手は縦横8mのフィールド内で「打ち」「蹴り」「突き」などの攻撃技をくりだし、相手選手にヒットさせることで、ポイントを獲得できます。
ポイントの種類には「一本」「技あり」「有効」などがあり、男子3分、女子2分の制限時間内により多くのポイントをとった選手の勝利です。
形
形は、一人ずつ行う種目です。空想上の敵を相手に攻撃と防御を行う演武。それを審判員が採点します。注意点としては、一度見せた技は同じ試合で使用不可となることです。そのため、いろいろな技をできるようにしておく必要があります。
空手競技は、8月6日(木)から日本武道館で実施予定であり、「形」「組手」の2種目が8日まで行われます。
空手の注目選手は、形では男子の喜友選手と女子の清水選手。2018年8月に行われたアジア大会で金メダルを獲得した実力者です。
組手では、男子の荒賀選手に注目が集まっています。荒賀選手は、アジア大会で優勝果たし、勢いに乗っています。女子では植草選手が大本命。2016年と2018の世界選手権で決勝進出しました。
スケートボードとその有力選手
スケートボードは、技の難易度やスピードで採点されます。
複雑なコースで技を繰り出す「パーク」と、壁や坂道、階段や手すりといった町並みを再現したコースで競技を行う「ストリート」という2種類によって競技が行われます。
会場は、有明アーバンスポーツパーク。「パーク」は8月5日(水)と6日(木)、「ストリート」は7月26日(日)と27日(月)に開催されます。
日本の注目選手は、男子では堀米選手。2018年7月にロサンゼルスで開催された世界大会で優勝しています。女子では国際大会で何度も入賞経験のある中村選手と、2017年の日本選手権「ストリート」種目で優勝した西村選手などに注目です。
スポーツクライミングとその有力選手
壁に設置された装置を腕力で登るのが、スポーツクライミングです。
東京オリンピックで実施されるのは、以下の3種目です。
ボルダリング
ボルダリングは、制限時間内に4メートルの壁を登った数を競います。
リード
リードは、制限時間内に15メートル以上の壁をより高い地点まで登ることを競います。
スピード
スピードは、15メートルの壁を速く登った方が勝ちという種目です。
スポーツクライミングは、「青海アーバンスポーツパーク」で8月4日(火)から4日間開催されます。
男子の注目選手は、2017年のクライミング・ワールドカップのリード種目で優勝を果たした是永選手。160センチと小柄ながら持久力が高い選手です。
女子では、2018年9月に行われた世界選手権のボルダリング種目で2位になった野口選手に注目。さらに、オリンピック開催時に18歳になる伊藤選手、16歳の森選手といった若手選手にも注目が集まっています。
サーフィンとその有力選手
サーフィンでは、技術だけでなく、ダイナミックさやスピード、独自性が採点基準になります。
4人ごとに競技を行い、2人が勝ち抜けるというルールです。20分間で各選手10本程度波に乗ります。そして、このうちの点数の高い2本の合計で競います。
サーフィンは、千葉県長生郡一宮町にある釣ヶ崎海岸サーフィンビーチで7月26日(日)から28日(火)まで行われます。
注目選手は、稲葉選手でしょう。6歳からサーフィンを始め、13歳でプロサーファーになった逸材です。2013年に開催された世界ジュニア選手権では4位入賞を果たしました。
東京オリンピックはオリンピック史上最多の種目で行われる
東京オリンピックでは、史上最多である33競技、39種目が実施されます。
33競技のうち28競技は、オリンピック憲章に記載されていますが、ほかの5競技は開催都市提案枠として行われるものであり、東京に限った実施となります。
若者や女性を取り込みたいと考えている東京オリンピック
国際オリンピック委員会は、若者と女性を取り込みたいと考えています。スポーツクライミングやサーフィン、スケートボードといったレジャーで楽しめるスポーツを採用し、若者へアピールしようと考えているのです。
また、女性を取りいれるという視点では、競泳や陸上、柔道や卓球、トライアスロンなどで男女混合種目を採用しました。そして、カヌーやボート、ボクシングは男子の種目を減らし、女子種目を増設しました。
これらの取り組みの結果、選手全体の女性の割合は48.8%となりました。
これは、五輪史上最高の数値です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
東京2020オリンピックでは、日本の地理や地形を活用した競技などが採用され、数多くの新種目が行われます。
また、空手など日本古来の競技が採用されるなど、史上最大規模の大会になることは確実でしょう。
いつものオリンピックでは見られない競技に目を向けて観戦するのも面白いかもしれません。
(TOP 写真提供 = StreetVJ / Shutterstock.com)
《参考記事一覧》
新競技・新種目はなぜ採用? “史上最大”のスポーツの祭典となる東京2020オリンピック(dmenuスポーツ)
競技・種別・種目?オリンピックに採用されているスポーツの選定条件や選定方法って?(SPOTAKA)
2020年の東京オリンピックでは空手やサーフィンなどが新種目に復活した野球とソフトボールは日本優勝の可能性も十分(Olympic channel)
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