2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは、第一次から第四次まで、4回に分けて記念硬貨が発行されます。既に、第三次発行分まで発表され、第二次発行分まで申し込み受付が行われていています。記念硬貨の概要については財務省理財局国庫課通貨企画調整室より発表されているため、ご存知の方も多いかと思われますが、デザインやサイズ、価格等が気になっているという方もいるのではないでしょうか。この記事では、2020東京オリンピック・パラリンピックの記念硬貨について、詳しく紹介します。なお、「記念貨幣」というのが財務省の正式表記ですが、「記念硬貨」という表現が一般的にはなじみ深いので、以下は「記念硬貨」と記します。
東京オリンピック・パラリンピックの記念硬貨のテーマはリオデジャネイロから東京への引継ぎ
4回に分けて発行される東京大会の記念硬貨に先がけて発行された記念硬貨は「リオデジャネイロから東京への引継ぎ」をテーマとしたものでした。
・桜とブラジルの国花「イペー・アマレーロ」が描かれた
2020年東京オリンピック・パラリンピックの記念硬貨が初めて発表されたのは、2016年8月。
東京オリンピック・パラリンピックの開催よりはるか前、というタイミングでの発表でしたが、それもそのはず。
この時に発行された記念硬貨は、リオデジャネイロから東京へ開催都市の引継がテーマとされていたのです。
この記念硬貨の額面は1000円。
素材は純銀製で、直径40㎜、重さが31.1gのものでした。
オリンピック記念硬貨の表面には、オリンピック旗と桜に加え、ブラジルの国花であるイペー・アマレーロが、そして、パラリンピック記念硬貨には、パラリンピック旗と桜とイペー・アマレーロが描かれています。
「リオから東京への引き継ぎ」がテーマだったので、日本の桜とブラジルのイベー・アマレーロがデザインされたのです。
・史上初の「両面カラーコイン」として発行
この硬貨は、我が国で初めて両面に彩色を施した、いわゆる両面カラーコインとして発行されたことが特徴として挙げられます。
素材が純銀であり、製造するためには特殊な技術が用いられることから、額面価格を上回るプレミアム型の記念硬貨として、1枚9500円で販売されました。各5万枚が発行され、2016年9月から10月まで申し込み期間とされましたが、人気が高く、すぐに受付終了となっています。
東京オリンピック・パラリンピック記念硬貨は第一次から第四次まで発行
財務省では、2020年東京オリンピック・パラリンピックの記念硬貨を、4回に分けて発行するとしています。
2018年2月に第一次発行分が公表されましたが、同年12月に第二次発行分が、そそして、2019年6月に第三次発行分がそれぞれ発表されました。
ちなみに、財務省の計画によると、本大会の開催直前までに37種類もの記念硬貨が発行されるようです。
第一次発行分の記念硬貨とは?
2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会記念硬貨の第一次発行分は、東京オリンピックの1万円プレミアム型金貨(1種類)、1000円プレミアム型銀貨(2種類)及び100円クラッド貨幣(2種類)です。
「クラッド貨幣」とは、異なる種類の金属板をサンドイッチ状に重ね合わせる「クラッド技術」を用いた貨幣のこと。
第一次発行分の記念硬貨の図柄は、2018年2月に発表されました。
1万円金貨は、表面に「流鏑馬」と「心技体」が、1000円銀貨は水泳が、100円クラッド貨幣にはフェンシングの図柄がそれぞれデザインされています。
パラリンピックは1万円金貨の発行がありませんでしたが、1000円銀貨には柔道が、100円クラッド貨幣にはボッチャが描かれました。
それぞれのサイズはというと、1万円金貨の直径が26㎜、1000円銀貨は40㎜、100円クラッド貨幣は22.6㎜です。
発行枚数は、1万円金貨が4万枚、1000円銀貨は各10万枚、100円クラッド貨幣は各394.8万枚と発表されています。
なお、前回の大会引き継ぎがテーマの記念硬貨と同様に、1万円金貨と1000円銀貨はプレミアム型貨幣として額面を上回る価格で販売されました。
ちなみに、1万円金貨は1枚あたり12万2223円で、そして、1000円銀貨は1枚あたり9676円での販売です。
100円グラッド貨幣はプレミアム貨幣ではないため、額面価格での引き換え販売となりました。
第二次発行分の記念硬貨とは?
第二次発行分の記念硬貨は、2018年12月に、財務省からその概要が発表されました。
第二次発行分では、オリンピック・パラリンピックともに、1万円金貨の発行はありませんでした。
第二次発行分として発行されたオリンピック記念硬貨は1000円銀貨3種と100円クラッド貨5種が、パラリンピック記念硬貨はそれぞれ1種類が発行されました。
オリンピック記念硬貨のうち、1000円銀貨には陸上競技とバドミントンに加えて、東京大会で復活となった野球・ソフトボールが描かれています。
また、100円クラッド貨幣には、空手やスケートボード、スポーツクライミングやサーフィンといった新規採用種目がデザインされたほか、伝統的な競技であるウェイトリフティングもデザインされています。
なお、パラリンピックの記念硬貨は、1000円銀貨に水泳が、100円クラッド貨幣にはゴールボールがそれぞれデザインされています。
第三次発行分の記念硬貨とは?
第三次発行分は、元号が「令和」と改元された2019年6月に財務省から発表がありました。
1万円金貨幣(1種類)、1000円銀貨幣(4種類)に加え、100円クラッド貨幣(5種類)が発行されることが公表されましたが、第二次では発行されなかった1万円金貨には「勝利」(野見宿禰像)と「栄光」(ギリシャの女神像)の絵柄に加えて、「心技体」の文字がデザインされています。
「野見宿禰」は日本書紀に登場し、相撲のルーツともされる伝説上の人物ですが、剛力無双の強靱な肉体を誇っていたとされています。
オリンピックの1000円銀貨のデザインには、体操や柔道、卓球という日本が得意とする競技が選ばれ、100円クラッド貨幣には、アーチェリーやカヌー、自転車競技が採用されました。
一方、パラリンピックの1000円銀貨には、花形種目とも言える車いすテニスが、100円クラッド貨幣にはアーチェリーと陸上競技の絵柄が選ばれています。
500円記念硬貨の図柄は一般投票で決定
第四次発行分では、オリンピック・パラリンピックの記念硬貨として初めて、500円の記念硬貨が2種類(オリンピック1種・パラリンピック1種)発行される予定ですが、そのデザインを決める方法として、3つの案から人気の高いデザインを一般投票で決めるというユニークな試みが行われました。
国が発行する貨幣のデザインを一般投票で決定するのは前例がなく、話題に上ったことから記憶に残っているという方も多いのではないでしょうか。
今回の候補は
A案=日本を代表する芸術作品「風神雷神図屏風」
B案=日本を代表する風景「富士山」
C案=東京2020大会の象徴・関連施設「国立競技場」
の3案です。
SNSやはがき、現地投票などの方法によって投票がなされ、集計結果が7月に公表されました。
投票総数は6万6318票であり、そのうち、2万8741票(43%)の得票を獲得した「風神雷神図屏風」の図柄が採用されることに決まったのです。
ちなみに、B案の「富士山」は1万6451票、C案の「国立競技場」は2万1053票でした。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックで発行される「記念硬貨」にスポットを当ててみました。
両面カラーコインの硬貨やデザインが一般投票で決められた硬貨など、初めての取り組みがなされている2020東京オリンピック・パラリンピックの記念硬貨。
発行枚数が限られているので、ぜひ手に取って見てみたいですね。
(TOP写真提供= Vladimir Wrangel / Shutterstock.com)
《参考記事一覧》
2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会記念貨幣(リオ2016-東京2020 開催引継記念)の図柄等を決定しました(財務省)
2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会記念貨幣(第一次発行分)を発行します(財務省)
2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会記念貨幣(第二次発行分)を発行します(財務省)
2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会記念貨幣(第三次発行分)を発行します(財務省)
2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会記念貨幣額面価格五百円貨幣の発行の決定及び当該記念貨幣の図柄(表面おもてめん)に係る投票の実施について(財務省)