2020年に開催される東京オリンピックを前に、多くの企業がスポーツをマーケティングに活用しています。
テレビなどのメディアによる発信をはじめ、ネットワークを利用してデータを集めて、対象となる人々にダイレクトにメールを発信するなど、その手法はさまざまです。
この記事では、スポーツマーケティングの流れや成功例など、スポーツマーケティングについて分かりやすく紹介します。
マーケティング手法の細分化
かつて、プロスポーツというとプロ野球のみ、というイメージがありましたが、今や、JリーグやBリーグ、Tリーグなど、さまざまなプロスポーツのリーグが誕生しています。
そして、プロスポーツの種類が増えたのに伴って、マーケティング手法も細分化されています。
ここでは、細分化されたマーケティング手法について詳しく見ていきましょう。
他企業とのコラボ
30年前は、プロスポーツといえばプロ野球しかない、という状況にありました。
しかし、最近では、サッカーのJリーグをはじめ、バスケットのBリーグ、卓球のTリーグといったさまざまなプロリーグが出来ています。
それに伴って、スポンサー料に幅が生まれて、多くの企業がスポーツビジネスに参入しています。
そして、単体でCMを流すという流れから、他の企業とコラボしてグッズを作成したりするという流れへの変化もみられています。
・SNSを活用
プロリーグの増加に伴ってチーム数が増えたスポーツ業界では、より多くのビジネスチャンスが生まれ、新規参入企業もスポンサーとしてスポーツに携わる機会が生まれました。
一方で、いままで力を持っていた巨大なスポーツ団体が、従来のやり方ではなかなかうまくいかなくなっています。
例えば、プロ野球というとテレビでの中継が当たり前のようにありましたが、今では、テレビではなくネットワークを使った試合の配信などがおこなわれています。
ネットワークをつかった情報配信のポイントは、ダイレクトにアピールすることができるということ。
ダイレクトにアピールしたり、感動を共有することによって、マーケティングの成功につなげることができます。
世の中の動きや価値観の移り変わりに伴って、マーケティング手法も替わってきているのです。
○SNSを活用したマーケティング事例
SNSを活用したマーケティングの事例として
- 横浜・Fマリノス
- アンコールタイガーFC
- チェルシー
- 川崎フロンターレ
の事例を紹介します。
・横浜・Fマリノス
横浜マリノスでは、顧客の情報を分析することで、リピートしてもらう仕組みを作り上げました。
以前は、エクセルなどで顧客データを管理していましたが、ECサイトによってデータを収集。
これによって、顧客の動向を分析することが可能となりました。
デジタルマーケティングの目的には、新規観客のリピーター化が挙げられます。
顧客の情報を集めて、何が求められているのかを分析する。
それによって、観客の増員に成功した例といえます。
・アンコールタイガーFC
アンコールタイガーFCは、カンボジアの国内1部リーグに所属しているサッカーチームです。
アンコールタイガーFCは、Twitterやラインを利用し、日々の活動について情報発信しています。
アンコールタイガーのSNS活用で特徴的なのは、オーナーとGMのやり取りがグループラインによって閲覧可能なところ。
グループラインは、幅広く開放されており、毎日やり取りが行われているので、スポーツマーケティングや経営に興味がある人にとって、興味深い内容になっています。
オーディエンスとのやり取りも可能であり、質問に対しての回答もしてくれるので、ファンとの意見交換も可能です。
観客も参加型のシステムを取り入れているのが、面白いところです。
GMとオーナーが日本人であり、日本語でのアカウントもあります。
・チェルシー
チェルシーは、Twitterやインスタグラム、フェイスブックやYouTube、スナップチャットやVineなどの公式アカウントを使ってさまざまな情報発信をしているチームです。
そして、SNSによって優勝決定戦の試合を発信する取り組みをしたことでも知られています。
具体的にどのような取り組みをしたのかというと、世界各国での試合開始時刻を記載してどこにいても観戦時間が分かりやすいようにしたり、試合中のベンチの様子や、GIF動画でのゴールシーンの発信、優勝決定後の裏側などの情報を発信しました。
SNSによってテレビだけでは知ることができない情報を知ることができるため、結果としてSNSのフォロワー数の増加が期待できる取り組みとなっています。
SNSを活用した成功例として参考になることでしょう。
・川崎フロンターレ
川崎フロンターレは、7年連続で「地域に大きな貢献をしているクラブ」第一位を獲得しています。
それを推し進めているのがサポーターとの交流です。
サポーターを、応援してくれる人々として扱うのではなく、感情を共有する仲間として向き合っています。
その例として、アウェイの地域で見たり感じたことをSNSで投稿し、コメントをする。
「体験を共有する」という観点からのSNS利用といえるでしょう。
○SNS活用の際のポイント
さまざまなチームでSNS活用の取り組みが進められていますが、SNS活用のポイントとして
- 普段の姿の共有
- ブランドイメージの向上
- スポンサーとの関係づくり
などがあります。
それぞれのポイントについて紹介します。
・普段の姿の共有
SNS活用のポイントとして、選手やチームの普段の姿を共有することが挙げられます。
試合中には、戦うアスリートである選手たちですが、試合以外では可愛くほのぼのとしている姿も魅力的です。
そんな選手たちの普段の魅力をみることができるのが、SNSによって共有される情報です。
試合だけでなく、普段の姿を配信し、ダイレクトにファンと繋げられるのが、SNSの強みと
いえるでしょう。
現在は、多くのスポーツチームがSNSで選手の普段の姿を配信しています。
・ブランドイメージを向上できるもの
ブランドイメージを向上できるものを配信するのもSNS活用のコツです。
SNSは、不特定多数の方が見ています。
その中で、ブランドイメージアップを図ることができれば、そのメリットは計り知れません。
スポーツ情報の配信とともに、ブランドイメージを向上できる情報を配信することができれば、スポンサー企業とのウィンウィンの関係が成り立つのです。
・スポンサーとの関係作り
SNSでスポンサーとの関係を発信することは、そのスポンサーとの関係を円滑に進めることにもつながります。
例えば、通常の試合の中では、スポンサーとコラボした企画を発信することで大きな話題を作り、拡散するという取り組みが行われています。
リクシルと鹿島アントラーズの協賛試合では、キャプテン翼とのコラボが行われるなどSNS上で大きな話題をよびました。
このようにSNSを利用してスポンサーとの関係をつくることは、今や競技団体の命題となっています。
・スポーツの生み出す効果
現在、SNS上でもなかなか表立って感情を表現しない人が多い中で、スポーツは、感情の起伏や欲求を掘り起こす手段として効果的です。
感情の起伏によりそうことで、「一緒に応援している」「ともに見ている」ということを印象付けることができる結果、顧客へアピールに繋がります。
○スポーツマーケティングの成功によって変わるもの
スポーツマーケティングが成功することによって変わるものには何があるのか、分かりやすく紹介します。
・ファンの獲得
マーケティングを成功させれば、ファンを増やすことが出来ます。
その例として、カープ女子で有名な広島カープは、広島市民球場からマツダズームズームスタジアム広島への本拠地移動の際に、アメリカのMLBの球場をモチーフとしたボールパークを作り上げました。
このボールパークは、観戦する方法に工夫を凝らしています。
寝そべりながら観戦ができるエリアやバーベキューしながら観戦ができるエリアなど、従来の観戦スタイルとは異なる観戦ができるエリアの整備をはじめ、子どもが喜ぶ遊具の設置などがなされています。
それによって、男性ファンのみならず老若男女に愛される球場になりました。
・地域の活性化
実際に試合に足を運んでもらえるようになると、フィールド周辺の地域の活性化が見込めます。
地域の経済発展に貢献すれば地域との連携がしやすくなり、より一層地域に根づいたチームとして成長させることが出来るように。
前述した広島カープでは、ボールパークの建設によって、来場者数の増員に成功しました。
その結果、地域に根づいたチームとしてブランド力を高め、地域経済の発展にもよい影響を与えています。
・スポーツ界が盛り上がる
スポーツビジネスの目標として、2025年に15兆円規模の産業にすることが掲げられています。
2012年に比べて事業規模を約3倍に拡大するという大きな目標ですが、この目標を達成するためには、さまざまな競技団体がスポーツマーケティングを成功させ、スポーツ界を盛り上げなければなりません。
つまり、スポーツをもっと身近なものにすることが必要なのです。
○まとめ
いかがでしょうか。
スポーツマーケティングの成功には、SNSやネットワークの利用といったアプローチが必要です。
デジタルコンテンツでどのようなことを発信し、収集したデータをどう生かしていくのか、を考えることが、スポーツマーケティングを成功させる大きなカギといえそうです。
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