さまざまな国で開催されるオリンピック。オリンピックでは、数多くのスタジアムや競技場で競技が行われますが、その中でひときわ目立つのがメインスタジアムです。2020年の東京オリンピックに向けて建設が進むメインスタジアム。オリンピックスタジアムはどういう設備が備わっているのでしょうか?施設までのアクセス方法についても、あわせて紹介します。また、過去の開催国のメインスタジアムはオリンピック開催後どのように利用されているのか、実例を紹介。完成間近と話題になるなど、注目されるメインスタジアム。詳しく見てみましょう。
オリンピックスタジアムの完成は2019年11月予定
2020年の東京オリンピックパラリンピックに向けて、スタジアムの建て替え工事が進んでいます。
東京オリンピック・パラリンピックのメインスタジアムは、建築家の隈研吾が設計を担当し、2016年12月に着工。
メインスタジアムとなるのは、国立競技場を建て替えた新国立競技場です。
2018年夏の時点で2000人を起用して建設が進められていたメインスタジアムですが、屋根の本格的な取り付けを行うために、新たに1000人以上のスタッフが増員されました。
現場スタッフの懸命な作業により、工事は順調に進行。
2019年11月30日に完成する予定です。完成した競技場の収容人数は68000人とされています。
元々の国立競技場のスタンドは、全席から最前列までゆるやかな傾斜の1層構造でしたが、新国立競技場は、3つの階層が連なる3層構造になっています。
特徴である鉄骨と木材を組み合わせた巨大な屋根が客席の上に突き出して、日陰を作る仕組みです。
客席は緑や茶色などの落ち着いた色を用いたデザインであり、観客が落ち着いて競技を観戦することができるような工夫が施されています。
メインスタジアム以外にも整備が進む
メインスタジアムだけでなく、カヌーとボートが行われる海の森水上競技場や、バレーボールの会場となる有明アリーナ、大井ふ頭中央海浜公園の大井ホッケー場や世界最高水準の水泳場である東京アクアティクスセンターなど、数多くの施設の整備が進められています。
一方で、「東京体育館」や「国立代々木競技場」、「日本武道館」や「馬事公苑」など、1964年の東京オリンピックで使用された施設も2020年オリンピックで使用される見込みです。
新設・建て替えが行われる施設と、既存の施設の組み合わせによって、東京オリンピックは行われるのです。
まさにハイブリットですね。
過去のオリンピックスタジアムの再利用
オリンピックの施設はオリンピック終了後も残ります。
しかし、オリンピック開催後の利用が課題となるケースも少なくないのが現状です。
過去のオリンピックでは、閉会後ゴーストタウンになってしまった施設が珍しくありません。
世界で有効利用されたケースから、東京でも活用できそうな事例を探してみました。
過去のオリンピックの中で収容人数が多かったのは、2000年のシドニーオリンピックのメイン会場となったスタジアムオーストラリア(11万人収容)です。
オリンピック後は収容人数を83000人と減らし、少しコンパクトになりましたが、サッカーやラグビー、クリケットやフットボールなどのプロの試合が開催できる施設となりました。
アトランタオリンピックのメイン会場「センテニアルオリンピックスタジアム」は、パラリンピック終了後、アトランタブレーブスのホーム球場に採用され、2016年までの19年間、メジャーリーグ球団のホームスタジアムとして活用されました。
新国立競技場はオリンピック開催後、スポーツや文化関連のイベントに使用される予定です。
巨大な施設がムダにならないように、国民全体で見守る必要がありますね。
座席下にファンがあり、スタジアム内に風を送る仕組みも
新国立競技場は、暑さ対策の設備が整っています。
例えば、座席の下に設置されたファン。
空気の循環を促すファンは185台設置され、競技者や観客を涼しくするために活用される予定です。
またファンに加えて、大きなひさしを作ることで、風を取り込む構造になっているのもポイントです。
また、ミストを噴射する設計もなされています。ゲート付近にはミスト冷却装備を8か所設置。
日本スポーツ振興センターの担当者は、「夏でも涼しい体験をしてもらえると思っています」と話しています。
47都道府県の木材を使用
新国立競技場の屋根の「のき」と「ひさし」には、47都道府県の木材が使用されています。
先述した通り、新たなスタジアムの屋根は木材と鉄骨を使ったミックス方式。
47都道府県の木材を取り入れたのは、周辺環境との調和をテーマにした、「もりのスタジアム」というキーワードが設定されているためです。
ちなみに、沖縄県では杉が育たないので、素材が似ている琉球松が使用されるとされています。
木材は、それぞれの方角に並べられる見込み。日本全体が一体となって大会を開催している感覚になりそうです。
オリンピックスタジアムへのアクセス方法は?
オリンピックスタジアムへのアクセス方法は、オリンピック開催中とそうでない時で異なります。
開催していない時は、
- JR総武線「千駄ヶ谷駅」「信濃町駅」下車徒歩約5分
- 都営大江戸線「国立競技場駅」下車徒歩約1分
- 東京メトロ銀座線「外苑前」下車徒歩約15分
- 都営バス「千駄ヶ谷駅前」下車徒歩約5分
大会開催時は、
- JR総武線「信濃町駅」「千駄ヶ谷駅」下車徒歩
- 東京メトロ半蔵門線、都営大江戸線「青山一丁目駅」下車徒歩
- 東京メトロ副都心線「北参道駅」下車徒歩
- 東京メトロ銀座線「外苑前駅」下車徒歩
- 都営大江戸線「国立競技場駅」下車徒歩
となります。
大会開催時のアクセス方法は暫定であり、追加や変更になる可能性もあります。
車でも来場できますが、大会運営としては公共交通機関の利用を推奨しています。
大会開催時には大勢の人が集まるため、大混雑が予測されます。
ギリギリの時間で行って、「競技を観ることが出来なかった」ということだけは無いよう、余裕を持ったスケジュール調整が必要です。
まとめ
2019年9月現在、オリンピックを開催するスタジアムの建設が進められています。メインスタジアムとなっている新国立競技場は、2019年11月に完成予定。オリンピック開催期間中はたくさんの人が押し寄せることが想定されるので、完成間近の今、オリンピックスタジアムを訪れてみるのも良いでしょう。
(TOP 写真提供 = Sergio Yoneda / Shutterstock.com)
《参考記事一覧》
オリンピックスタジアムの新国立競技場は47都道府県の木材を使用(OlympicChannel )