【ニールセン】「ブランド認知」だけではない、スポーツ・スポンサーシップのもう一つの価値とは

プロスポーツチームからリーグ、国際大会まで、スポーツは「スポンサーシップ」を通して多くの企業にビジネス機会を提供している。一方で、その「効果」は不透明な部分が多いと思われてはいないだろうか。改めて、スポーツ・スポンサーシップの価値とは一体なにか?スポンサーシップの効果測定などリサーチ・コンサルティングを手がけるニールセン スポーツが解説する。(文=ニールセン スポーツ 北アジアVP マリオ・ロング氏)

スポーツ・スポンサーシップの価値とは

スポーツの持つ普遍的な幅広さと魅力は、スポンサーであるブランドにとって、ブランドの露出と消費者のブランド認知の両方において、効果的なタッチポイントであると長年考えられてきました。しかし、近年ではこのようなスポーツ・アクティベーションは、ブランドの認知度を高めるだけでなく、コンバージョン率の向上にもつながることが分かっています。このようなコンバージョンへの影響についてが明らかになるとともに、次のようなトレンドが見られるようになりました。

  • コロナ渦の2020年は世界的に広告が減少した一方で、ブランドのスポンサーシップは増加した
  • スポーツ・スポンサーシップに対して、ファンは高い信頼性を置いている

本稿では、ニールセンの調査やスポンサーシップ分析などを基に、ブランドの活動にとって、スポーツ・スポンサーシップがどのような価値を生むのかについて解説します。

コロナ禍でスポンサーシップへの支出は増加

ブランド広告は2021年を通して増加し、テレビやラジオといった伝統的なマス媒体に焦点が当てられるようになりました。ニールセン スポーツの調べでは、2021年の初めに世界的にスポンサーシップへの支出は前年比107%となり、以降もコロナ渦で縮小を余儀なくされた世界のスポーツが年間を通じて活気を取り戻したことで、ブランドによるスポーツ・アクティベーションが増加したことが明らかになりました。

スポーツファンは、スポーツイベントにおけるブランドスポンサーシップを高い信頼を置けるものであるとして見ているため、この分野への投資はまさに有効な支出であると考えられます。ニールセンが2021年に実施した広告信頼度調査では、世界中の回答者の81%が、スポーツイベントでのブランドスポンサーシップを「完全に信頼している」、または「ある程度信頼している」と回答しており、スポーツ・スポンサーシップの親和性の高さを示しています。

また、スポンサーシップにおける高い信頼性と、消費者の購買行動との間には強い相関関係もあります。ニールセンが2020年から2021年にかけて、20業種、世界7地域で行われた、100案件のスポンサーシップを分析したところ、スポンサーシップによって、ファン層の購買意欲が平均で10%上昇したことが明らかになっています。ブランドは「認知度」だけではなく、多くのことをスポンサーシップか得ることができると言っても過言ではないでしょう。

アクティベーションで、消費者を顧客に変える

このような認知度向上からコンバージョンへの移行のケースは、マーケティングファネル全体を通じて、スポンサーシップの重要性が高まっていることを示しています。そしてこの傾向は、今後も続くと考えられます。

ニールセンの分析では、「認知」と「検討」のブランド指標が平均で1ポイント上昇すると、売上が1%増加することが分かっています。また、認知向上などのアッパーファネルの取り組みは、多くのケースでセールス活動の効率化を促進するさまざまな付随的な利益や機会を生み出します。

スポーツ業界では、スポンサーシップのアクティベーションの価値は、単に「ブランドの認知度を上げること」から、「消費者を顧客に変えること」へと移行しています。ニールセンがコロナ禍に測定した13の業界において、スポンサーシップに接したファンの購買意欲の上昇率は、ブランドへの親近感のスコアの上昇よりも上昇幅が大きいことが分かっています。

とはいえ、多くの業界においてよりバランスのとれたマーケティング活動に焦点が置かれる中で、ニールセンはこのトレンドが少し減速していくと予想しています。しかしながら、スポンサーやライツホルダーはファンからの、コール・トゥ・アクション(CTA)の機会を生み出すことに注力し、その構造の改善に積極的に取り組んでいます。

スポンサーシップは新興ブランドに有効

例えば、昨今注目を浴びている暗号資産の業界では、テレビやソーシャルメディアなど他のメディア分野での露出の増加を反映し、過去2年間でスポンサーシップにも積極的に取り組み、他のどの業界よりも存在感を高めています。とはいえ、暗号資産は海外を中心に消費者の生活に徐々に浸透してきましたが、誰もが認識するような通貨と呼べるようになるまでには、まだいくらか地固めが必要です。

そこで、スタジアムの命名権やユニフォームのロゴブランディングによるブランド認知にとどまらず、興味・関心といった「次のファネル」に誘う取り組みが必要な時期がやってきます。スポーツファンは他の一般消費者に比べると、もともと認知度や利用意向の面で感度が高いため、つまるところ、スポーツ・スポンサーシップへの投資は理想的な選択肢であると言えるのです。

暗号資産のような新興のブランドや業界にとっては、独自のバリュープロポジションを確立し、ファンとの関係を一方通行から、「啓蒙による共感」と「信頼構築」に裏打ちされた双方向のコミュニケーションへと進化させることが重要です。

ニールセンが今年発行した、「2022年グローバル スポーツ マーケティングレポート:ファンがゲームチェンジャーになる」では、さらに多くのインサイトを紹介しています。詳しくはぜひ一度ご覧ください。

レポートの内容:

  • 消費者とファンの行動変容
  • スポンサーシップモデルへの影響
  • スポーツメディアとコンテンツ配信への影響
  • ブランドとスポーツライツホルダーのためのヒント

ダウンロード(無料)は【こちら】からか、以下のバナーより。

◇ニールセン スポーツ

スポンサーシップ分析とファンインテリジェンスの世界大手で、スポーツ団体などのコンテンツホルダーとスポンサーである企業・ブランドを対象として、ファン行動、メディア消費、エンゲージメントなどに関する専門知識を通して、ビジネス成長をサポートしている。グローバルでは、1万5000以上のチーム、リーグ、イベントと15万以上のブランドにまたがる、17万件以上のスポンサー契約をモニタリングしている。 https://nielsensports.com/

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