世界のスポーツビジネスの第一線で活躍する海外の講師から、オンラインで直接実学を学ぶことのできる『HALF TIME Global Academy』。約20名を迎えた第1期の8月講座が終了し、この10月には第2期がスタートする。アカデミーでの実体験について、第1期の受講生である大西由起さん(外資系代理店勤務)と小玉翔平さん(日系総合商社勤務)の2人に聞いた。(聞き手はHALF TIME編集部の横井良昭)
「スポーツビジネスのインプットの場」
――記念すべき第1期生としてHALF TIMEアカデミーを受講いただきました。まずはお二人自身について教えていただけますか。
大西由起 (以下、大西):アメリカの企業であるスポーツマーケティング代理店で、日本国内でのオリンピックアクティベーションのオペレーションを担当しています。本来は今頃落ち着いている時期でしたが、現在も継続的にオリンピックに向けた準備をしています。現職は昨年の6月からで、その前はベトナムで旅行代理店に務めていました。業界は違いますが、法人営業やイベントオペレーションといった経験が生きています。
小玉翔平 (以下、小玉):私は日系の総合商社で働いています。アパレル関連商品を扱う部署の中で、保有ブランドの物販拡大・ブランド価値向上を目的にスポーツ選手のマネジメント業務からスポンサーの支援まで幅広い業務を行っています。選手マネジメントでは、日本国内やアメリカなどで日本人アスリートに帯同します。選手の現地コーディネーター兼マネージャーのような役割ですね 。
とはいえ、会社がスポーツ事業に本格的に注力し始めたのは2・3年前。私も以前はラグジュアリーブランドの商品企画、在庫管理、販売、アフターサポートといった物販の一連の流れを担当し、ブランド商品の面白さや難しさを経験してきました。会社としても私自身としても(スポーツビジネスの)経験が浅い中、日々勉強しています。
――お二人ともスポーツビジネスに携わっていますが、業種もバックグラウンドもそれぞれですね。このコロナ禍、多くの「スポーツビジネス・スクール」が立ち上がりましたが、HALF TIMEアカデミーを受講いただいたのは、何が理由だったのでしょうか?
小玉:これまでもスポーツビジネスについてインプットができる、様々な場所に参加していました。その中でも、私の現在の仕事が国内だけではなく海外でも行っているので、実際に世界で活躍されている方の講義にとても興味が湧いたんです。アカデミーで日本、アメリカ、欧州と各地域のスポーツビジネスについて話が聞けたらと思い、受講しました。
大西:私も何か「インプットする場」がほしいと思っていた時にアカデミーを知り、受講してみようと思ったんです。コロナ禍で時間もあるし(笑)。もともとスポーツは、大学時代に勉強していたんです。その頃からずっと興味がありました。
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講義を通し、知識の深堀と体系化に
――4回の講義を振り返っていただいて、心に残っていることはありますか?
大西:私が印象に残っているのは、デジタル・テクノロジーの活用です。全ての講義でキーワードになっていたと思います。現在のコロナ禍ではスポーツをリアルに体験できず、これまでのスポーツの価値を発揮することができません。その中で、企業のアクティベーションとして提案されつつあるのが、デジタルの活用です。私が日々行っている業務が、世界的なスポーツマーケティングの流れに合っているのだなと振り返ることができました。
講義の中で好きだった言葉が「ストーリーテリング」。スポーツは人々のエモーショナル(情緒的・感情的)な部分とリンクしているので、スポンサーシップやアクティベーション により生かせます。(スポンサーシップに)ただお金を出して終わってしまっている企業 も世の中にあるので、ストーリーを大事にしていきたいと改めて思いました。
小玉:私もストーリーテリングは大事だと思いますね。マネジメント業務で、日々選手の近くにいると選手の人柄などがわかってきます。ストーリーテリングを生かした会社の事業にできないかとも感じました。
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―― 小玉さんは、会社もご自身もスポーツに注力し始めたばかりだと仰っていました。その点からはいかがでしたか?
小玉:世界での取り組みを知ることができたのは、受講してよかったことですね。特にスポンサーシップに興味を持っていたので。第一講のディエゴさん(ラ・リーガ グローバルパートナーシップセールスマネージャー)からこれまでのスポンサーシップの変遷を聞くことができ、スポンサーシップからパートナシップへの考え方の転換、そしてeスポーツのパートナーシップもその後の講義で話されました。スポンサーシップに関わる立場から、進んで取り組みを行わないといけないと思いましたね。
実際、私は契約している選手に新たなスポンサーを獲得するための営業を行っています。お金を出してもらうリターンに、ロゴの露出や広告価値だけでは反響はあまり良くありません。今後はデジタルのソリューションを持って、スポンサー企業と「eパートナシップ」の戦略を一緒に考える必要があると感じました。
アカデミーの学びを、次に活かす
――小玉さんはスポンサーシップについての理解を深め、大西さんは日々のスポーツマーケティング業務を体系的な知識として得られたような印象を受けます。今後は、どのようにその学びを活かしていきたいと思いますか?
大西:日本でもスポーツビジネスが段々と拡大しているので、今後そのスポーツビジネスのグローバリゼーションを見ていきたいですね。どう外(の市場)にリーチしていくのか、またローカライゼーションしていくのかを考えていけたらと思います。個人的に興味があるのが、東南アジアのサッカー熱です。スポーツを舞台に、自分が日本と世界をつなげていきたいですね。
小玉:スポーツビジネスと一言でいっても、多くの人が色々な分野、切り口で、様々な地域でビジネスを行っていることを知りました。一般的にインターネットなどで知っていることだけでなく、今の仕事の選手マネジメントやスポンサーシップだけでもなく、知識の幅が大きく広がったと思います。今度はその様々な切り口を、つないでいくことを考えています。
――HALF TIMEアカデミーは第2期、3期と続いていきます。お二人から、未来の受講生へ一言メッセージをいただけますか。
大西:私の場合、講義を通してスポーツ業界で必要になる知識や、現場がどのようなこと を行っているかを学ぶことができました。他にも講義とは別に、オフ会やこのインタビューを通して違う業界で働かれている他の受講生とつながることができ、新しい考えを学ぶこともできました。
「女性が流行を作り、男性が文化を作る」という言葉があります。様々な方がアカデミーで学び、いろんな視点が入ることで、よりスポーツ業界の幅が広がると思います。ですので受講生のコミュニティがダイバーシティになっていってほしいですね。スポーツ業界の「外」にいる人や、単純にスポーツに興味があるという人にも、ぜひ受講していただきたい。
小玉:HALF TIMEアカデミーはインプットの場だと思います。ぜひ、様々な業種の方との人脈を築くためにも受講してほしいですね。私自身はスポーツビジネスに精通しているわけではありませんが、初心者の私でもスポーツ業界について学ぶことができました。スポーツビジネスといってもいろいろな切り口があります。球団運営、スタジアム運営、スポンサーシップ、アクティベーション。幅広い分野を学ぶことができ、とても良い機会になりますよ。
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