スポーツ業界で働くことは狭き門だといわれる。スポーツ界の最前線である人気競技のチームやリーグであればなおさらだ。古澤直也さんは1年前、HALF TIMEの転職支援サービスを通して、B.LEAGUE(以下、Bリーグ)への転職を決めた。
直近、りそなグループ B.LEAGUE 2024-25シーズンの総入場者数は史上最多の484万5109人を記録。2026年には「B.革新」と呼ばれるリーグ構造改革が本格的に始動し、さらなる躍進が期待されている。いかにして古澤さんはその座をつかんだのか?これまでのキャリアを振り返ってもらい、スポーツ業界でキャリアを築くヒントを探る。
2026年「B.革新」が始動するBリーグ
「もうやり切ったと感じてスポーツ業界を一度離れたんですが……すぐに、やっぱりスポーツっていいな、また戻りたいなと思ったんです」
昨年7月から公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ(Bリーグ)で新たなキャリアを築く古澤直也さんは、当時を振り返りそう笑う。
高校までは陸上競技に打ち込み、「夢や希望を届けられる選手になりたい」と将来像を描いていた。だがその望みは叶わなかった。
「前職でスタートアップの方と話す機会が多くあったのですが、事業について本当に熱く語っていました。それは熱く語れるだけの原体験があるから。自分にも強烈な原体験があるはずのに、なぜそこから離れているのか……スポーツ業界に戻ろう、と」(古澤さん)

現在、古澤さんはバスケットボールオペレーショングループで競技運営に関わる業務に従事している。古澤さんが所属するチームでは、Bリーグのあらゆる試合がリーグの定めたレギュレーションに準拠して開催されるよう管理したり、シーズン開幕前に実施される選手向けの研修を体系的に整備するなど、Bリーグの価値の源泉である「試合」「選手」のクオリティーを下支えして高めることをミッションとして活動している。
その中で古澤さんは、主に新しい研修やプロジェクトの立ち上げを担っている。Bリーグでは2026年から「B.革新」が本格始動し、NBAに次ぐ世界2位のリーグを目指すと表明している。その実現のためには、リーグはもちろんクラブの成長を欠くことはできない。そこでクラブのオーナー企業を含めて経営層、GMに向けた研修の立ち上げ準備をしている。
JOC、スキー連盟、民間企業を経てBリーグへ
古澤さんがスポーツビジネスの道を志したきっかけは、陸上競技を離れた大学生の頃、ファンとして応援していた地元のJリーグクラブ、横浜フリューゲルスが消滅したことだった。
当時の日本はまだ“スポーツビジネス”という概念が一般的ではなかった時代。「選手としてはかなわなかったが、マネジメント側として夢や希望を届けられるようになりたい」と考えるようになった。
カナダにあるウィンザー大学でスポーツビジネスを学んだ後、日本のスポーツ団体・組織への就職を考えた。だが当時は今と違って一般公募の求人はほとんどなく、とにかく履歴書を送ったが返事は一つも無かった。その後「スポーツ界で働ければ、タダでもいい」と覚悟を決めたことで、JOC(日本オリンピック委員会)が興味を持ってくれた。

面接では、覚悟や熱意を試す問いを受け、古澤さんはこの機会を逃すまいと即答。その結果、一年間働く機会を得た。「あの方がいなければ、今の私はない。本当に感謝しています」(古澤さん)。
その後は、全日本スキー連盟で約10年を過ごし、国際競技連盟(IF)との連携・調整・折衝や国際大会の運営を経験。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会では約6年を過ごし、コロナ禍の開催で難しい局面に見舞われたが、ボクシング競技運営の統括マネージャーとして、スタッフ・ボランティアを合わせて170名以上からなる大規模プロジェクトをまとめ上げた。
東京オリンピック後、先述のようにスポーツ業界から離れ、外資系の人材会社に就職した。自身のキャリアで初めて民間企業に勤めて感じたことは、「“価値”を届ける設計の差」だ。
「民間企業では、自社の商品・サービスの“価値”をどのようにして顧客に届けていくのか、しっかりと設計されています。一方、スポーツにはものすごく“価値”があるのに、スポーツ業界は設計の部分が弱いと感じました」(古澤さん)
HALF TIMEは「求職者に対する理解が深い」
古澤さんは転職活動にあたり、心に決めたことがあった。「磯田さん(磯田裕介:HALF TIME代表)から紹介された会社の採用選考は全て受けてみる」ことだ。
理由の一つは、求職者に対する理解の深さ。「磯田さんはかなり密にコミュニケーションを取ってくださり、自分の強みや意向をしっかり理解してくださっていた」(古澤さん)。実際、紹介された企業は全て「自分に合いそうだ、強みを生かせそうだと感じた」と古澤さんは話す。
選考企業側の古澤さんに対する評価も軒並み高かったという。「企業側が求める人材像に対する理解も深く、そういう人が紹介する会社であれば全て受けてみようかなと思ったんです」(古澤さん)。
もう一つは、HALF TIMEの企業としての姿勢だ。「HALF TIMEは採用という枠だけにとどまらず、企業の課題に寄り添って一緒に解決に当たっている。さらにはスポーツビジネスカンファレンスを開催することで、スポーツ業界全体の課題にも向き合っている。それだけスポーツ業界を良くしていきたいんだという熱い思いを感じました」(古澤さん)。
転職活動を成功に導く3つのヒント

古澤さんはいかにしてBリーグへの転職をつかんだのか。そのヒントとなり得るエピソードを3つ聞いた。
1つ目は「キャリアの棚卸し」だ。自分の強みはどこにあるのか、他の人との違いは何か、自身のキャリアを振り返り、徹底的に洗い出した。
2つ目は「情報のインプット」。Bリーグではさまざまな情報発信をしており、特に島田慎二チェアマンのnoteは隅々まで読み込んだ。Bリーグが何を目指していて、現状どんな立ち位置なのか。どんな価値観を有していて、何を求めているのか。自身のキャリアとフィットする部分を明確にした。
3つ目は「引き出しの準備」だ。転職活動全般にいえることだが、同じ企業の中でも経歴や職務、価値観や性格の異なる社員が在籍しており、候補者を見る目も少しずつ異なるのが現実だ。当日は面接官の言動や空気感を読みながら、より適切な内容を話すことができるよう、「事前に何通りもシミュレーションして、数多く引き出しを作った」(古澤さん)。
古澤さんは将来的に、自分の経験や“知”を、スポーツビジネスを志す次の世代に伝える仕事をしたいという。
「競技連盟やリーグからオリンピック組織委員会まで、さまざま貴重な経験をしてきました。これまで蓄積してきた“知”を構造的に捉え、体系化・言語化して伝えることで、スポーツ業界を底上げすることに貢献できるのではないか。今Bリーグで取り組んでいる仕事は、将来の自分の目標にもつながると信じて、目の前のプロジェクトを成功に導いていきたいですね」(古澤さん)
担当コンサルタントの分析

HALF TIME株式会社
代表取締役 磯田裕介
キャリア面談の際に感じた古澤さんの特徴は“自己分析力の高さ”です。特に今後のキャリアで何を実現したいのかが明確で、「一度スポーツビジネス業界を離れてみて、スポーツの魅力を再認識し、今後のキャリアではスポーツの発展のために尽力したい」という覚悟を感じました。
「なぜBリーグを志望するのか」「入社したらどう貢献できるのか」を面接前にしっかりと整理し、面接時にアピールできたことにより、多くの求職者が応募される中で、狭き門であるBリーグへの転職を成功させられたのだと思います。
※
HALF TIMEではスポーツ業界の転職を目指す方に、コンサルタントがあなたに合った求人を紹介するサービスを提供しています。無料のメールマガジンへの登録は〈こちら〉、コンサルタントとの面談は〈こちら〉か以下のバナーから。

〈こちら〉からは現在公開されている求人一覧をご覧いただけます。