日本郵政グループのオウンドメディア「JP CAST」ローンチから3ヶ月。スポーツコンテンツはどのような効果をもたらしたのか

日本郵政グループの自社メディア「JP CAST」がローンチしてから3ヶ月が過ぎた。かつてオウンドメディアは一部の企業だけのものだったが、ここ数年は大手企業でも持つ例が増えてきている。グループで社員40万人を擁する企業が取り組む意義、そしてその効果について、日本郵政広報部で当時立ち上げを担当した池辺恭平さんに聞いた。

「自分たちの手で情報を伝えていきたい」

日本郵政グループのオウンドメディア「JP CAST」

――今年1月1日に「JP CAST」がローンチしましたが、どのような目的でオウンドメディアを立ち上げようと思ったのでしょうか?

日本郵政グループは昨年で創業150年を迎えました。郵便局は全国に約2万4000局あり、毎日およそ3100万ヶ所に配達しています。社員は総勢40万人を数えます。そこでは様々なニュースが起きていますし、たくさんの良い取り組みが生まれているのですが、社員やその家族が知るすべがあまりありませんでした。

地域のため、お客様のために働いている社員などのニュースを報道で知ることも多かったんですね。「お客さま本位」の仕事を行うためにも、日本郵政グループに関するニュースを報道を通してではなく、きちんと自分たちの手で情報を伝えていきたいと思ったわけです。

――確かに、日本全国にいる社員同士がお互いの活動を知るのは難しそうですね。

そうですね。もちろん、社員やその家族の先にお客さまという存在も見ています。日本郵政は郵便・物流事業だけでなく、金融や物販、不動産など幅広い事業を手がけていますから、私たちの取り組みを多くの方に知ってもらいたいという目的もあります。JP CASTのCASTには「出演者」という意味もあります。日々努力している社員に光を当てたいという気持ちで名付けました。

――自社のメディアに対して、社員の方の反応はどのようなものでしたか?

さっそく「自分たちのことも載せてほしい!」という声も上がっています。日々、全国各地でバラエティ豊かな取り組みがありますし、どれを載せるか本当に悩むほどです。

オウンドメディアの当初目標はほぼクリア

日本郵政 池辺恭平さん

――オウンドメディアはどのような目標を持って運営されているのでしょうか。

実は、70年ほど続いた社内報があったのですが、オウンドメディアがスタートすることもあり、こちらもWebに移行しました。グループ報の閲読者数などからオウンドメディアの目標PVを算出したのですが、そちらの目標を大幅に上回って推移しています。今後もより多くのお客さまにご覧いただけるよう、しっかりと育てていきたいです。

――「JP CAST」ではどのような記事が人気ですか?

日本郵政グループのDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する新会社「JPデジタル」の記事や、特徴的な郵便局を紹介する「エモい郵便局図鑑」、北海道北見市の配達員が教える「配達員が語る運転の心得」などが人気です。最先端の技術もあれば、昭和の面影が残る郵便局もあり、リアルな郵便屋さんのスゴ技もある。コンテンツの幅広さが人気となっているのはうれしい限りです。

――日本郵政グループはスポーツにも積極的に関わっています。支援の意図を教えてください。

JP CASTでもご紹介させていただいており、そちらもご覧いただきたいのですが、それぞれ支援のきっかけや意図は異なります。バイクレースであれば、郵便配達で使っているホンダ製バイクの工場が地震で被害を受けたことをきっかけに、復興支援の意味でスタートしています。Bリーグでは、「地域に根ざして地域とともに発展する」という理念に共感してパートナーとなっています。

しかし大きな組織ということもあり、そうした意図が社内に認知されていないこともあります。「スポーツが好きな一部の人がやってること」と誤解されている場合もあったりします。スポーツ支援といってもただお金を出しているということではなく、きちんとした意図をもってサポートしていますので、その詳細をしっかりと伝えていければいいなと考えています。

――スポーツの記事についてはどのような反応が寄せられていますか?

ホンダのレーシングチーム支援の記事や、Bリーグの記事が人気です。もともと日本郵政グループに興味のなかった人たちにも興味を持ってもらえるのは、さすがスポーツコンテンツだなと思います。自分の好きなスポーツからJP CASTにたどり着いてもらって、少しでも日本郵政のことを知ってもらえるといいですね。

人は、自分の好きなものを応援している企業に、いい印象を持つという調査結果があるそうです。スポーツコンテンツにはそういったメリットがあると思うので、今後もスポーツを支援していきたいと思います。

日本郵政グループのオウンドメディア「JP CAST」は順調なスタートを切っている。多彩なコンテンツが展開されていくが、固定ファンを持つスポーツを使えば厚みも増す。守りから攻めへ。自分たちのユニークな取り組みに光を当てながら、新しいメディアとして成長していく。