スペイン代表イニエスタがヴィッセル神戸に加入したのが2018年5月。以降、クラブは常にJリーグの中心にいた。ビジャやボージャンなど次々と一流選手が加入し、2019年天皇杯で初タイトル獲得、2023年からリーグ2連覇と一気に強豪クラブへの道を駆け上がる。
ビジネス面でもコロナ以降に売上を約2倍の80億まで伸ばし、スポンサー収入も約8億上積んだ。成長を続けるヴィッセル神戸の千布勇気社長に、クラブのビジョンと未来への人材戦略、その中で求める「チャレンジ精神」について聞いた。
◇千布 勇気(ちふ・ゆうき)氏
楽天ヴィッセル神戸株式会社 代表取締役社長
2011年楽天株式会社(現楽天グループ株式会社)に入社し、営業、人事、社長室、企画、新規事業立案に携わった後、2019年楽天ヴィッセル神戸株式会社 常務執行役員に就任。2022年より現職。東京大学大学院卒。東京大学ア式蹴球部(サッカー部)出身。
ヴィッセル神戸が背負う震災からの30年、次の30年
ヴィッセル神戸というクラブを語る上で欠かせないのが、1995年の阪神・淡路大震災だ。震災当日に初練習を予定していた稀有な歴史を持つクラブは、30年以上にわたり神戸・兵庫の人々に元気を与える存在であり続けてきた。
「私たちは震災の日から始まったクラブ。だからこそ震災を忘れないこと、震災復興の象徴として地域の活性化に貢献することがクラブの大義としてあります」(千布氏)
2004年に兵庫県出身で楽天グループ創業者の三木谷浩史氏個人が神戸市からクラブ経営権を取得した後、クラブは2015年には楽天グループの100%子会社に。すると2017年からは、元ドイツ代表ポドルスキなど大型補強を進め、翌年にはイニエスタを獲得。以降、J屈指の魅力的なチームを作り上げていく。

三木谷氏がナンバーワン志向だった影響も大きいが、神戸という“街の特性”も、そのスタイルにマッチしていた。
「神戸は港町で、常に新しい文化を取り入れてきた国際性豊かな街。多少の困難にも負けないチャレンジ精神を持っています。それは様々な壁を乗り越えて大きくなってきた楽天グループ、一喜一憂してきたヴィッセル神戸も同じ。いい年もあれば悪い年もあり、2022年は最下位も味わいました。そうした“苦境を乗り越えていく精神”を共有しているのかなと思います」(千布氏)
クラブ創設から30年を経て、目線は次の30年に移っている。「the No.1 Club in Asia ~一致団結~」という力強いスローガンを掲げて、目指すは世界だ。
「アジアNo.1に向けてチャレンジして、魅力的で強いチームを作っていく。それを通じて神戸市、兵庫県が注目を浴びて地域が活性化する。それが我々の目指す姿です」と、千布氏はクラブのこれまでと、これからを表現した。
売上規模は80億まで拡大。データ・AI活用を徹底
着実に競技成績を伸ばしてきたヴィッセル神戸は、ビジネス面でも順調だ。コロナ禍を経て、2024年度の売上規模は約80億円に拡大。事業全体が右肩上がりに推移している。
「イニエスタ選手やポドルスキ選手らへの投資により、ヴィッセル神戸のクラブとしての『格』が1つ上がったと感じています。それに引っ張られる形でチームも強くなり、事業側も全体的に押し上げられました」(千布氏)
特筆すべきは、「データの徹底活用」だ。楽天出身の千布氏は2019年のクラブ入社当時、常務執行役員としてデータ分析部門の立ち上げを担った。データを蓄積して、怪我の傾向や定量的な意思決定の材料を監督・コーチに渡す仕組みを構築。その経験は近年だと、AI活用にも大きく役立っている。
「AI活用については、おそらくJリーグで一番進んでいる自負があります。楽天グループのAIを使える環境にあり、社内資料の自動生成、リリースやグッズの紹介文案作成、ホームタウン活動のレポート作成、さらにメールのチャットボット対応など、あらゆる場面で活用しています」(千布氏)。高いデジタルリテラシーが身につき活かせる環境は、ヴィッセル神戸ならではとも言えるだろう。

そしてこれから先、クラブは2030年を目途に売上100億円、全試合満員を目指していると千布氏は話した。
「まだ具体的に各部署のどういう戦略で実現するかまでは描けていません。ただ2035年、2040年に圧倒的な強豪クラブになるため、2030年にはもう一段上のクラブになっていたい。そんな想いから、ひとつのマイルストーンとして置いています」(千布氏)
正確なデータは重要だが、数値に縛られない一握りのロマンも忘れない。その絶妙なバランス感覚が、夢のような物語を実現するベースにもなるのだろう。
クラブが求める「No.1へチャレンジできる人材」
クラブの意欲的な目標へ向かうために、クラブスタッフの充実は不可欠だ。千布氏は、採用方針として明確に「No.1を目指してチャレンジできる人材」を求めている。
「ヴィッセル神戸は現状維持ではなくチャレンジをしていくクラブ。業界をリードする存在でありたいので、やはり成長意欲のある人が向いていると思います」(千布氏)
俗にサッカー界はスタッフの評価・査定が難しいと言われるが、社員に対して明確な評価制度を導入しているのもクラブの特色のひとつだ。
2016年から楽天グループの「グローバル人事制度」を取り入れ、結果だけでなくプロセスや個人のコンピテンシー(行動特性)を客観的に評価する仕組みを整えた。「待遇面を含め、業界の中でもしっかりとした評価制度を持っている方だと思います」(千布氏)。
ヴィッセル神戸で働く魅力は、「コンフォートゾーンに入らない成長環境」にもある。「安定を求める人には向かないかもしれませんが、野心的で業界を引っ張りたい方には、刺激的な環境だと思います」(千布氏)。
こうした環境で培われるスキルは、スポーツ業界内外で広く通用するものになるはずだ。千布氏も「社員には、『ヴィッセルで働けばスポーツビジネスにおける広範なスキルが身について、他クラブからも別競技の会社からも引き合いがある。そんな人材になってください』と伝えています。要求水準は高いですが、その分成長ができ、待遇も働く環境も業界内で高い水準かと思います」とクラブの魅力を説明した。

事業拡大で積極採用中。営業、イベント、ファンクラブも
現在、事業拡大フェーズにあるヴィッセル神戸では、スポンサー営業やイベント推進、ファンクラブ担当など、複数ポジションで広く優秀な人材を求めている。
ヴィッセル神戸ではスポーツ業界に特化した採用サービスを展開するHALF TIMEを活用し、この2年で経営企画、広報、スタジアム管理、アカデミー部門と4名を採用している。
「HALF TIMEさんから紹介いただく候補者は別の媒体では出会えないような方も多く、採用実績にもつながっています。良質な母集団を持ち、スポーツに対する強いパッションを持つ方が多いのが特徴だと感じています」と千布氏は評価する。
「ヴィッセル神戸は大企業のように何から何まで不自由なく揃っているわけではありません。自ら手を動かし、様々な課題を乗り越えていく必要があります。だからこそ、スポーツへの情熱を持ち、自発的に行動できる方がマッチするのだと思います」(千布氏)
最後に、千布氏はこう結んだ。
「ヴィッセル神戸は競技成績でも事業規模でもブランド力でも、真のアジアNo.1クラブを目指しています。2025年のクラブ創設30周年では、記念チャリティーマッチでFCバルセロナを招いたり、欧州・北米の海外クラブと提携したりと、他にはないダイナミズムを味わえる環境です。
日本のスポーツビジネスを牽引し、高い目標に向かって共闘してくれる、そんな野心的な方の挑戦をお待ちしています」(千布氏)
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データの力で合理的な経営を行いながらも、最後は「人」のパッションを大切にする。知性とロマンを兼ね備えたヴィッセル神戸は、自身のキャリアを一段上のレベルに引き上げたいビジネスパーソンにとって、これ以上ない挑戦の場となるはずだ。
◇法人の方(採用企業の方)
HALF TIMEではスポーツ業界に特化した採用サービスを展開。3万人以上のサービス登録者データベースをもとに企業の採用ニーズにお応えします。詳しくは〈こちら〉。
◇個人の方(転職者の方)
HALF TIMEでは「求人紹介を受ける」ことや「メルマガへの登録」などが可能です。求人一覧は〈こちら〉からご覧いただけます。

